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March 24, 2019

小林陵侑、空前絶後のシーズンを圧倒的勝利で終える  プラニツァ最終戦

抜けるような青空の下、すべての観客が彼のとてつもないフライトを期待する。自国のジャンパーがそれによって負けるとしても、そうせざるを得ない。それだけの輝きが、陵侑にはあった・・・。

彼のプラニツァでのフライトは恐るべき高さだった。飛び始めが高い上に、そのまま、まっすぐ行く。K点付近ではランディングバーンからはるか高いところにいる。その高いところからドーンと落ちるわけではなく、飛行機が着陸するときのように降りる。空中で効率よくスピードを高さに変換しているから、最後の降りるスピードがゆっくりなのだ。だから、ヒルサイズを超えてもテレマークが入る。その高い飛行曲線により風の条件が悪いのも歓迎だが、良ければどこまでも行ける。技術・運動能力だけではなく、精神的にもタフで、体に悪いところもない。しかも、若くまだ伸びしろがあることが見て取れる。こんなにわくわくさせられるジャンパーが日本に現れるとは。日本人の枠・・日本のジャンパーはこういう感じというこちらの先入観を、陵侑は完全に飛び越えてくれた。

今日の252mのフライトは、スキージャンプを愛するすべての人の脳裏に刻み込まれたはずだ。新しいフライングの姿として。

シーズンの総合優勝はもうずいぶん前に決まっていたが、フライングの総合優勝とPlanica7という2万ユーロの賞金をめぐる争いは、陵侑とアイザイの間で熾烈を極めていた。金曜の個人戦で陵侑は2回目に失敗+悪条件の二重苦で伸びず、2本素晴らしいフライトをそろえたアイザイに逆転負けを喫していた(アイザイ、W杯初優勝)。この結果、アイザイがフライング総合ポイントのトップに立ち、陵侑との差はたったの4点となっていた。つまり、最終戦での陵侑とアイザイのうちの上位者がフライング総合優勝者となるという状況となっていた。(注・厳密には二人ともが入賞圏外になればそうでないケースや同点優勝になるケース(陵侑7位とアイザイ8位)もあったが、そうなる可能性は普通の条件ではあり得ないことに思えた。)

が・・終わってみれば最終戦は陵侑の圧勝に終わった。陵侑の1回目252mを見たアイザイに、力を抜けと言っても無理だろう。バラバラのジャンプになってしまって万事休す。それでもヒルサイズ近くまで行くのだから、アイザイもすごい能力なんだけども。

三回目の君が代を聞きながら、大きいクリスタルクーゲルを手にした陵侑を見る。二人のチャンピオン、クラフトとストッホを両脇に従えて・・・。現実離れしたこの光景なのだが・・一方で、今後、これを何度も見ることになるような気がしている。

土曜日の団体戦、1回目が終わった後、ロベルト・クラニェッツが最後のフライトを行った。偉大なフリーガーだった。空中の効率と感覚において、彼は歴史上最も優れたジャンパーの一人であったことは疑う余地がない。まさに“滑空している”と感じられる彼のフライトが大好きだった。しかし・・ルールとトレンドの変化により、彼の翼を活かせる余地は少なくなっていった。そして、膝の靭帯損傷。彼の引退と陵侑の252mは“フリーガー”の終焉を象徴する出来事だったと思う。今季の回顧として、次にそのことを書いて終わりにしたいと思う。

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