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February 10, 2018

ヴェリンガー ついに頂点に立つ ピョンチャンオリンピック ノーマルヒル

難しい試合だった。あまりにも強く冷たい向かい風が、選手とジュリーを苛立たせた。
ちょうどいい風が、ちょうどいい瞬間に吹くか、吹かないかが勝負を決める。しかし、風は変えられない。吹きさらしの台の上で待つ間に冷える体と心を奮い立たせ、自分のできることに集中するしかない。

アマンの2回目は、彼のスキージャンパーとしての強さを見せつけるものだった。散々待たされても全くブレず、今季最高のジャンプをそろえた。

自分のできるジャンプを2本そろえて、あとは、神様の助けを頼む。アマンには、今回は神様のひと押しが、二回とも無かった。しょうがない。

一方、ストッホは最高のジャンプができなかった。台が合わなかった。アイゼンビヒラーが言うには、ここはアプローチの感覚が特殊だそうである。多少古風ともいえるアプローチにはRのきつい場所があり、そこでGがグッとかかり、ふっと抜けて、微妙なタイムラグがあって、カンテが来る。感覚が合わないということがどういうことなのか、ジャンパーでない者には想像することしかできないが、サッツという反射で行う作業において、台のタイミングが体の覚えているそれとずれている状況がいかに難しいかは、なんとなくわかる。ストッホは何度飛んでも踏み外していた。

ヴェリンガーの2回目は凄かった。ここまでのすべてが、両脚に宿ってカンテを猛烈に蹴った、という感じだった。ドンピシャだった。一人だけ違う高さに入った。あのジャンプなら、少しの風の助けで充分だ。金メダルにふさわしいジャンプだった。彼のポテンシャルは誰もが認めるところだったが、いままで噛み合わず、大きな個人タイトルには恵まれてこなかった。ようやく、ここですべてがかみ合った。序盤の不調から、ほんと、良く間に合ったよ。

この台の落下型の特性から、向かい風の条件ではノーマルであってもフリーガー系のジャンパーがカギを握る、と思っていたが、ヨハンソンがメダルに届くとはね・・・。2回目はそれほどの特殊な状況だった。フォアファングはこういう条件ならメダルの可能性が非常に高いと思っていたので驚きはない。きちんと2本そろえたということだ。タンデは向かい風を想定した攻めのジャンプを貫いたが、一回目はエアポケットに入った感じだった。しょうがない。

1回目に最高のジャンプ、最高の条件でトップに立ったフラ・・・・2回目もきちんとしたジャンプだったけど、条件がかみ合わなかった。メダルには届いたと思ったが。実はかなり応援していた。彼のジャンプは本当に美しい、テクニックに優れたもの。こういうジャンパーがスポットライトを浴びることがあってもいいと思っていたのだが。

小林潤志郎とクバツキ・・・・勝機があっただけに、あの数分間の横風タイムに当たったのはかわいそうだった。4年に一度の舞台でこういうことが起こるのはやるせない。

小林陵侑の7位は今できるジャンプを2本出した結果。素晴らしい。伊東、葛西も2本きちんとそろえて、いまいち風の後押しは無かったけど、納得できる試合だったのではないだろうか。上がり調子で、ラージでの爆発を期待する。

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Comments

風… 数値上でもかなりの差がありましたが、もらっていても横気味、少なくてもほぼ正面など、今回も通常のW杯よりラック頼みの試合展開は五輪らしいといいますか(苦笑)

アマンの10分以上の戦い、僕のジャンプ観戦歴でも最高の感動の一つでした。本当に泣きました。他の選手も極寒との戦いでした。葛西も寒さの影響大だと思います。

本当にタラレバですが、潤志郎、五輪直前のヴィリンゲン参戦していたら、多分ランク下がらずに、もう2番上で飛べていた筈。逆にフォルファング、ヨハンソンは、潤志郎の様な事態になった可能性もある訳で…まあ、それだけ力は拮抗しているということで(笑い)

潤志郎の怒りが混じる無念なインタビューを見たせいでこんなネガティブなコメントすみません。

弟が仇を打ちました! メダル級の活躍、おめでとう! 本当にありがとう!

こんな状況なので、高梨は幸運の女神に少し愛されれば、ありそうですよね?

Posted by: こたろう | February 10, 2018 at 11:18 PM

お疲れ様です。

タラレバの話をするならば、運とかチームの選択とかいう問題ではなくて、なぜ、当然開催されてしかるべき札幌のワールドカップがドイツ人の都合で潰されなければならなかったのか……と、日本人としては思わざるを得ないわけですが(笑)。しかし、順番の当たり外れについては、オーストリアとアマンがヴィリンゲンに出ていれば……、ファンネメルが本選に出場していたならば……と、いくらでも"充分にあり得た異なる状況" は考えられるので、そこを問うても仕方がない気はします。>こたろうさん

むしろ、そうして上位に不条理に落とされる選手が続出する状況だったからこそ、その中で生き残る者には必然性があった。ヨハンソンの1回目のジャンプには痺れました。どうも私には、彼が飛んだ条件がクバッキや潤志郎より大幅に良かったとは思えないんですよね。なのに、あそこまで耐えて勝負に残った。ヨケルソイが乗り移ってるんじゃないかと思いました(笑)。そして、我慢のジャンプができずに、向かい風想定で突っ込んでしまったジャンパー(1回目のタンデ、クラフト、2回目のフライターク)は生き残れなかった。

あと、ビックナーだったりゾグラフスキだったり、能力はあるのにチームサポートが足りないうらみのあるジャンパーが2回目に進んだのが嬉しかったですね。アマンと日本チームもそこに含めていいかもしれませんが、台にも風にも癖があるからこそ、上位の国が確立されたノウハウとサポートの上で戦っている普段のワールドカップでは拾えない、ジャンパーの素の力が露出した部分がある気がして、これはこれで面白い試合だった、と感じました。

Posted by: まちびと | February 11, 2018 at 04:28 AM

お二人のおっしゃること、よくわかります。
みんなはどう思ったかわからないのですけど、私的にかなり感動的な試合だったんです。

まちびとさんのおっしゃった「ジャンパーの素の力が露出した部分がある」
これです。それがものすごく見えた試合だった・・・。

メダルを取るために、イチかバチかの勝負に出たジャンパー、
そうではなく、いつも通りを出すことに集中したジャンパー、どこかで怯んだり、折れてしまっていたジャンパー、どうしようもない風の意地悪にやるせない思いを隠せないジャンパー・・・。

もし、高梨・伊藤がルンビーに勝つとしたら、今日のように「ジャンパーとしての総合力」を問われる展開になり、彼女たちにアマンのような「それ」が備わっていた時、でしょうね。そういう選手を神様は見捨てないと信じて、こちらは応援するしかないのでしょう。

Posted by: かずやん | February 11, 2018 at 05:27 AM

まちびとさん仰るように様々な要因が重なった結果ですので、順番などは確かに仕方ない部分ですね(笑)

ヨハンソンも条件は良くなかったですね。ヨケルソイが乗り移った(笑)、そう、そんな感じですね。

今、再放送を観ていますが、選手も大変ですが、コーチ陣もよく見ると相当辛そうでした(笑) みんな風邪ひかず元気にラージヒルに臨んで欲しいです。

Posted by: こたろう | February 11, 2018 at 07:05 AM

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