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April 15, 2017

スキージャンプ、台とジャンパーの相性についての考察 (5)現実の試合で起こったことを検証してみる

ここで述べてきたことを実体感を持ってつかんでもらえるよう、現実にあるふたつの台のパラメーターを比べて、ここはフラット、ここは落下型・・・という比較ができる対照的なペアを探したのだが、なかなかいい具合な組み合わせをみつけられなかった。というのも、それぞれの台のパラメーターには微妙な違いがあるため、例のようにHSやαが同じかつフラットと落下型みたいな、比較に都合の良いペアになってくれない。そこで、一つの極端な例として、一番最初の解説のくだりに出てきたヴィリンゲン(落下型)とラハティ(フラット)を比較してみることにする。

HS(m) h/n β/βL(°) α(°) Vo(m/s)
ヴィリンゲン 145 0.590 35.0/32.5 11.0 26.00
ラハティ 130 0.562 34.7/32.2 10.5 25.70

両者の大きな違いはHSとh/nである。

ヴィリンゲンは非常に大きなラージヒルでしかもh/nが大きい。h/nはおそらくラージヒルでは世界最大値で、標準的なフライングヒルの値0.600にかなり近い。つまり基本の形がフライング的な、大きく落下型の台である。しかも、βの35.0°は現在の標準よりも大きな値で、ランディングバーンの傾斜も急である。その結果、Voは26.00m/sという小さめのラージヒルのような小さな値となっている。現実の試合においても88km/h程度の飛び出し速度になることもある、世界でも有数の落下型低速台である。
したがって、ここ数年は飛行曲線の低いスピード型のプレウツ・ストッホ・フロイントの争いになっていたのだが・・・・今年は様相が少し違った。個人戦でヴェリンガーが勝ったのである。いつものように向かい風が吹いていたので、パワージャンパーが特に有利になるような条件でもなかった。ここは彼の地元であり地の利もあったとは思うが、この結果を見て、ヴェリンガーは今までのパワージャンパーの枠を超えたスピードを持っていると確信したのだった。

一方、ラハティはHS130mの小さな台で、しかもh/nは0.562という小さい値である。この値は標準的なノーマルヒルの値0.550にかなり近い。つまり、この台は基本の形がノーマルヒルに近い、小さくフラットな台である。ただ、βの34.7°は小さくはない値であり、ランディングバーンの傾斜はそれなりにあるということになる。これはどういうことかというと、飛び出しから斜面にたどりつくまでの平らな部分の距離が他の台よりも長いということである。今回の世界選手権でドメン・プレウツが低すぎるジャンプで傾斜が深くなるところまでたどりつかなかったことがあったことを思い出す。あれは極端な例だけども、あの試合で低い飛行曲線のジャンプがパタンととんでもなく短い距離で落ちてしまうことがあったのは、この台の特殊なプロフィールに起因している。そういうジャンプが出ないようにカンテの角度(α)は10.5°に立ててあって、飛び出しに上向きの修正が入るようになっているのだと思う。一方で、傾斜のあるところまで必要な高さを持ったままたどりつくことができれば、そこからは深いからスピードのあるジャンパーは距離を延ばすことができる。基本的にフラットな台なのに、なぜクラフトがヴェリンガーを抑えることができたのか、これで納得がいくのである。

(ピョンチャンの台はどうなのか?(最終)に続く)

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