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March 26, 2017

クラフト、圧倒的なパフォーマンスでシーズンを締める プラニツァ

季節は完全に春。風も出たが、改修後のプラニツァは多少の風なら大丈夫だ。金曜のように追い風ならジャンパーが、土曜の団体のように向かい風ならフリーガーが光る。

が・・・一人だけ、完璧なハイブリッドがいた。クラフト。最高の速度を持ったまま、しかも高く飛び出すから、最後まで高くて落ちない。HSのところで何メートルも上にいる。ジャンパーの代表と言えるヴェリンガーはそこからスッと落ちる。フリーガーモードの葛西はそこでの高さに余裕がない。彼らのフライトが悪いのでは、全くない。彼らは彼らとして最高の、これ以上ないレベルの洗練されたフライトをしている。しかし、クラフトはそのふたつの方向性における最高を同時に実現している。信じられない。これと同じことを技術的にやろうとしているのは、ストッホとアイゼンビヒラーの2人だと思う。しかし・・・ストッホはほんの少し、クラフトに比べるとスピードが足りない(あれで足りないと言われるのは心外だろうが)。アイゼンビヒラーは、クラフトのように両方が完璧にうまくいくことは10回に1回ぐらいしかない(今日のはかなり理想に近かった)。

今日のファイナル一本勝負はクラフトの強さに完全に脱帽、それが今季であったと再確認するのに充分だった。ウィルス性腸炎さえなければ、ジャンプ週間も取って全てを手にしていたことだろう。

ヴェリンガーのフライトはジャンパー(空中での特別なフライト感覚を持たないもの)にとって、これ以上はありえないものだったと思う。本当に・・・今季後半は「相手が悪かった」の一言に尽きる。

今日の葛西のフライトは、彼としても満足のいくものだっただろう。「フリーガーモード」に入った葛西は、クラウチングを浅めにして飛び出しにおける動きを最小化し、最大限のスピードを維持して飛び出すという方向に特化していた。空中はブレーキに繋がる無駄な動きをせず、前傾も抑えて速度維持に専念。これらの洗練化により最後の伸びを実現する。しかもサッツにおいて腰の位置を維持したまま前にスッと出るから、高さを失うことはない。フライングにおける一つの理想形だった。ドメンよ、このフライトから学んでほしい。

ポーランドの国別対抗王者獲得は当然だと思う。今季はポーランドのシーズンだった。ストッホも例年ならば簡単にクリスタルトロフィーを取っていたであろう。シーズンを通して安定したパフォーマンスだった。潜在能力は明らかながら伸び悩んでいたジラ・コット・クバツキらのサッツにおける高さとスピードの両立を実現させた、ホルンガッヒャーの手腕はすごい。クバツキがビケルスンでヒルサイズを超えるなんて、昨シーズンであれば考えられないことだった。

長く、しかも無茶なスケジュールのシーズンだった。いちスキージャンプ・ファンとしても、選手に大きなアクシデントなく終わったことが嬉しい。非常に高いレベルの試合が続き、ほんのちょっとの失敗・コンディション悪化が成績を上下させるというプレッシャーの中を戦い抜いた選手達は消耗していることだと思う。ようやくたどり着いたオフシーズンを楽しんでください。素晴らしいシーズンをありがとうございました。

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Comments

今シーズンも楽しく読ませて頂きました。
今年はリーダービブがどんどん変わって観ている方としては楽しいシーズンで、また劇的なシーズンでした。
来年も楽しみです。

Posted by: 北きつね | March 26, 2017 at 12:15 PM

終わりました。かずやんさん、今シーズンもありがとうございました。濃密なシーズンでした。

フロイントの離脱、ペテルの苦悩、主役が不在で物足りないと思いきや、ドメン、ヴェリンガー、アイゼンビヒラー、コット、ストッフそしてクラフト。1シーズンで様変わりするトップ争い。選手からしたら怖い競技ですよね。

終盤に葛西選手の凄みを見せつけられました。まだシーズンが続いて欲しいと思いました(笑)

来シーズンは平昌。W杯を疎かにしないで欲しいですね。

寂しいですが、250メーター合戦の余韻に浸りながら、こちらも暫しの休憩にします。

最後に一言、このブログはサイコーですね!

Posted by: こたろう | March 27, 2017 at 08:39 AM

北きつねさん、こたろうさん、今季もこのような勝手なことを書き散らしているブログにお付き合いくださって、ありがとうございました。

当初は、今季はあまりちゃんとフォローできないと思っていたのですが、気づいたらどっぷりハマっていました。それだけ魅力のあるシーズンだったということですね。

シーズン回顧は来週末にアップする予定です。

Posted by: かずやん | March 27, 2017 at 09:41 PM

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