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February 05, 2017

オーベルストドルフのフライング ふたつの最適解

先週入ってきた暖かい湿った感じの空気が、ドイツに居座っている。
もう少しいい条件でフライングができたら良かったのだが、仕方がない。今日の2回目が中止になったのはとても残念だった。

オーベルストドルフのフライング台は改修され、生まれ変わった。こんな、フラットなフライング台を待っていた!と手放しで喜べるような、素晴らしい台になっていた。ここで風の助けなくヒルサイズまで行くには、力とスピードと方向性の調整力が全て必要だ。

ヴェリンガーとクラフトの頂上決戦を心から楽しめた。
まったく違う飛行曲線から、同じところまで飛ぶ。自分の体に合わせた、彼らの最適解を見せてもらった。ヴェリンガーのパワー全開の高いフライトには痺れさせてもらった。それに比べるとクラフトのフライトはものすごく簡単に見え、なんかちょっとズルいと感じてしまう。しかし、その、前に進むスピードを上げるためにすべてを削ぎ落したフライトは、一つの頂点であろう。

もし、ドイツのシュスターコーチにヴェリンガーのゲートを下げる決断ができていたら、もう少し勝負が面白くなったであろう。ただこれはシュスターのミスではない。まだ、ヴェリンガーはシュスターの信頼を得るには至っていないということである。

ヴェリンガーはようやくそのポテンシャルを開放し始めた。成長期が終わり体が固まってきて、おそらく、今季はギリギリまで体を削って勝負をかけている。パワーを生かせるサッツの方向性も見出した。メンタルも強い。あとは技術の安定性だけだと思う。

葛西のフライトは技術的には完璧だった。飛行曲線の似ているクラフトとの差は空中後半のスピードだけ。スーツの差じゃないかなぁ・・・・。

次はアジアツアー。今季はピョンチャンのプレ五輪大会があるのでアジア4連戦となる。だからみんな行ってくれるといいな。

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Comments

ご無沙汰しております。今季も更新お疲れ様です。

日本チームの現状、五年前まではこれが日常だったじゃないかと思いつつも、当たり前に表彰台争いに絡める状態に慣れて心が贅沢になったのか、いまいち観戦に身が入りません(苦笑)。
マテリアルに関しては本当に、何かしらあるのでしょうし、スタッフを信じて待つしかないですね。

日本の国内戦の映像や写真を見ていて感じたのですが、いかにも"葛西コピー"っぽい飛型の選手がちらほら出てきたように思います。で、当たり前の話ではあるのですが、痛感したのは、日本の学生ですらこうなのだから、ヨーロッパのトップチームはこの3年の間に、葛西の技術に対して、単に真似をする以上の、深いレベルでの分析と取り入れをやってきたんだろうな、ということ。
ソチの頃、マテリアルの面で対等になったことで日本チームの技術が生きるようになった、とコーチや選手たちは語っていましたが、今は逆で、技術の面で葛西(あるいは日本)のマージン、特長だった部分が吸収されて均されて、マテリアルやコンディションの面でのほんの少しの遅れやばらつきがセンシティブに反映される状況になっているんだろうな、と。
ソチの後、技術的にはもう変えるところはない、と言っていましたが、たぶん、葛西はまた、飛び方を改造し始めるんじゃないでしょうか。(それは、必ずしも 「平昌の五輪」には間に合わないかもしれませんが。)そんな予感がします。

ドイツで見られない、とのことなので、女子ジャンプのことを少し書きます。日本では、高梨が50勝だ、"シュレリーの記録越え" だ、というので、連日かなりの報道ぶりです。
勝てなかった日本ラウンドは、札幌は柔らかい新雪が積もってゆるい助走路、蔵王は寒波・降雪・強風の超悪天候という条件だったので、現象としては五輪や前回世選の時と同じで、不思議の負けではありません。
ただ、不利な条件やプレッシャーがかかった時の、パワー系ジャンパーに対する高梨の "それでも残っているマージン" が、今までになく目減りしている印象を受けました。安定した条件での彼女は未だ鉄壁ですが、悪条件での高梨の負けはもはや「不調」でも「番狂わせ」でもない、というのが私の現状認識です。

一方の伊藤、パワー感はそのままに、今季急激に、空中姿勢への移行の仕方が、それこそ "葛西風" になった印象を受けます。もしいま世界選手権に「女子ラージヒル」の種目が存在したら、圧勝するのではないでしょうか(笑)。
反面、大きな台にも通じる技術を身につけすぎてしまった結果、ノーマルヒルの試合に感覚を合わせづらくなっているようでもあります。世界選手権は、伊藤自身のジャンプ台へのフィット能力が試されることになるのではないでしょうか。

これは技術的な話では全然なくて、まったくのイメージ論なのですが、伊藤が葛西に似てきたのに対して、なんだか最近、高梨の小さな体が、岡部の姿にとてもダブって見えてしまいます。あれですね、高梨も勝てない時は、斉藤浩哉にコーチしてもらうといいんじゃないでしょうか(笑)。

簡潔にしなければと思いつつ、書き出すとつい長くなってしまいます。コメント欄で長々と失礼いたしました。


Posted by: まちびと | February 08, 2017 at 04:39 PM

深い洞察をありがとうございます。
このようなブログのコメント欄にはもったいない・・・です。感激しております。

日本選手は常に、技術面では最先端でいなければトップレベルで戦えない・・・これは欧州が中心の競技では致し方ないところでしょう。まちびとさんのおっしゃるとおりで、ルールの安定とともに技術の水平移行が進み、技術面でアドバンテージを得ることが難しくなっているのでしょう。

しかも、現在はマテリアルとジャンプ技術は一体のものになっています。私には、日本選手はまだ浮力にすがっているような気がしてなりません。ヴェリンガーたちのジャンプはもう、前に進むスピードだけを見ている・・・そしてマテリアルもその方向に進んでいるのではないかと思っています。日本選手では、伊東大貴がもっとも世界を見ているのだけど、彼に応えられるマテリアルが日本にない感じがしています。どうでしょう。

おそらく、高梨も・・・そしてその二人の技術背景には岡部・・・。いや、本当に漠然と思っていたことをズバリと言っていただけた感じです。岡部のジャンプの先進性にいまさらながらに刮目しています。というか、今のクラフトなんて岡部そのもののように思えてきました。

Posted by: かずやん | February 09, 2017 at 09:37 PM

今、オーベルストドルフのヴェリンガーとクラフトのジャンプをユーチューブで見直したんですけど・・・・岡部x原田ハイブリッド VS 岡部x葛西ハイブリッドに見えました(汗)。ヴェリンガーの空中が原田にすごく似てる・・・・。

Posted by: かずやん | February 09, 2017 at 10:51 PM

お返事、ありがとうございます。
恐縮です。私は気が向いた時だけ人様に乗っかってコメントしているだけですから、楽なもので。継続的に見、書き、思索を続けられているかずやんさんの活動に、頭が下がるばかりです。

3~4年前から今に向かって、マテリアルがどう変化しているのか私には掴めていなくて、浮力が戻ってきたのだろうか? などと言っていたわけですが。おっしゃる通り、むしろ空気抵抗を削って、よりスピードを極限まで上げる、ということが追求されているのかもしれませんね。それに対応したジャンプが求められている、と考えると、確かにいろいろなことが納得できる気がします。

大倉山の試合をまだ見られていないもので、どうなっているか気になりますが……。こちらこそ、貴重なご教示をありがとうございました。

Posted by: まちびと | February 12, 2017 at 01:23 PM

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