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December 18, 2016

新しい、素晴らしいエンゲルベルク

今年は週末とクリスマスがばっちり重なっていて、しかも大晦日と元日も週末である。振替休日などという気の利いた制度があるのは、そうでもしないと休まない国民を持つ日本だけ。ということで4日も休みを損したドイツの一般市民はブーブー言っている。この二つの休日と週末を有給休暇で繋げて大型連休にしてしまうのが一般的だが、今年はその技も使えない。

一方、この日程はジャンプ関係者にとってみれば非常にありがたいだろう。エンゲルベルク大会とジャンプ週間の間が10日以上あり、普通にゆっくりクリスマスを過ごせるから・・・。日本チームも帰国即渡欧という感じではなく、国内でじっくり調整ができそうだ。

エンゲルベルクは巨額の費用をかけて改修され、MANA TOP SPEEDセラミック/氷のトラックが設置された。もともとナチュラルに素晴らしいランディングバーンはそのままのようである。ヒルサイズが140mに拡大されたということは、少し後ろに飛び出し位置がずれているということ。昨今の飛行前半のフラット化に対応するためのプロフィールの変更だろう。そのせいで多少坂が急になっているようで、飛び出し速度も上がっているのでタイミングは合わせずらそうな感じである。

土曜の大会は凄い追い風だったが、風速はかなり一定で、しかもここは非常にウインドファクターの効きがいい台なので不公平感は少なかった。何人かのジャンパーは4m以上もある上の追い風でスキーを叩かれていたが・・・。こういう条件で、しかもフラット化した台ではパワーがものをいう。最高の飛び出し速度とパワーを持つハイベックの勝利は自然の帰結だったと言えるだろう。びっくりしたのはコフラーの2回目のジャンプだ(日曜の2回目も)。彼の爆発的なサッツが帰ってきたことがうれしい。条件とか浮力などまったく関係がないジャンプ・・・・彼のジャンプは往年の原田のいい時を思い出させる。今回、実はひそかにポーランドのクバツキを応援していた。彼は全ジャンパーの中で一番高いところを飛ぶので、こういう時こそ表彰台に上るチャンスだった。しかし、1回目4位で迎えた2回目は硬いジャンプで追い風に叩かれて失速してしまった。がっくり。
そんな条件下でもドメン・プレウツが2位に食い込んだことに驚愕せざるを得なかった。伊東が5位に入ったのにも失礼ながら驚いた。感じていた日本チームの「マテリアル的ビハインド」が払しょくされたようだ。新しいスーツが投入されたのかな?そして、この結果は彼が今やフィジカル上位のアスリート系ジャンパーになっていることを如実に物語っている。竹内・葛西もそれぞれにステップアップしていて、日本チームとしてもジャンプ週間に向けてとりあえず体制が整ってきたといえるだろう。

日曜は追い風がずいぶん弱くなり、一転してスピード勝負となった。今のドメンにこの条件で勝つのは難しい。1回目2位だったタンデの2回目は飛びすぎて立てなかった。残念。1回目と同じくゲートを下げて勝負していたら、もしかしたら勝っていたかもしれないが・・・。今日のストッホは2回とも素晴らしいジャンプだった。世界最高の技術を持つ彼が2回完璧に飛んで、それでドメンに10点以上差を開けられている・・・どういうことなんだ・・・。ドメンのパフォーマンスは理解不能の領域である。弟の爆発の一方で兄ペーター・プレウツの不振はかなり深刻なようだ。飛び出しスピードが出ない上に、解説のスヴェンによればサッツ時に上体が立って少し上に出てしまっているとのこと。おそらくelan撤退によるスキー変更への対応が長引いて、滑りの重心が定まっていないのだろう。

それなりに風の影響がありながらも、土日ともにいい試合だった。今回の改修でエンゲルベルクはさらに素晴らしい台になったと思った。

それにしても、今期は競技レベルがものすごく高い。今大会は地元のスター、アマンにいいところがなかったが、素人目には彼のジャンプ自体(ランディングはさておき)になんの問題も感じられない。彼自身も失敗したような素振りを見せていない。しかも新造台での戦いだった今回、彼には特別な地の利があったはず。仮にアマンの進歩が止まっていると仮定しても、今の上位20人ぐらいは数季前のアマンレベルに達しているということになる。同じようなことが葛西にも・・・。彼の今日の2回目はとても良いジャンプで条件も良かったが、それで(2回目のポイントで)17位・・・さすがに少し心配になってきた。そう思わせておいてそれを良い意味で裏切ってくれるのがレジェンド葛西だと信じよう。

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