« 500 | Main | 2015/16シーズン回顧 トレンドの究極プレウツの覇権、一方で多様化の流れが見られる »

March 20, 2016

"Peter der Große" ペーター・プレウツ、我が世を謳歌 プラニツァ

真っ青な空、きりっと冷えた空気、穏やかな向かい風、4万の自国の大観衆。
これ以上ない舞台で、勝利を決める完璧なフライトを飛ぶ。
それがどういう体験なのかは、本当に限られた人間しか知らないこと。

"Peter der Große"、ユーロスポーツのダーク・ティーレはいつしか彼をそう呼ぶようになった。日本でいうところのピョートル大帝だ。一代で辺境国ロシアをヨーロッパの列強に押し上げた巨人に彼を重ねた。小さなスロベニアという国のアスリートが、北欧・中欧の雄たちをねじ伏せる・・・それを痛快に思わないスロベニア人はいないだろう。

とにかく、強い。その強さは、マテリアルがどうとかルールがどうとかそういう細かいことを考えることなく、ただ単に強いと認められるものだ。この感覚はアホネン以来久しくなかった。しかも、アホネンにあった精神的な脆さは、ペーターにはない・・・。

彼は今季、少しだけクラウチングを変えた以外は技術的には何も変えていないという。後は、秋の陸トレを減らし、ジャンプトレーニングを増やしたことがうまくいったと言っていた。確かに今季は昨季にみられたような飛び出し速度の問題がなくなり、サッツの完成度が上がった。その小さなステップアップが、最後のピースがパチりとハマるように、とんでもなく前に進む孤高のジャンプに結実した。深いクラウチングからの超速サッツ、それでいて高さを失わない体勢移行、そして最後落ちずに伸びる・・・・言うは易いが、実現は難しい。クラウチングを深くすればサッツのスピードは落ちる。それを無理に体勢移行すればスキーに体を早く寄せすぎることになり、高さが失われる。スピードを上げるために短いスキーを履けば、最後の浮力が失われる。これだけ速さを志向したジャンプでありながら、充分な高さを確保して多様なジャンプ台を克服することは凡人には不可能だと思う。天から与えられた才能・・・としか言いようがない。

ノルウェーの国別対抗、7000点台もとてつもないものだと思う。何度も言うけど、それがバーダル・ヤコブセンの2枚看板が抜け、しかも昨年の世界選手権覇者ヴェルタがスランプに陥ったシーズンに達成されたことが恐ろしい。次の数シーズン、これに勝てるチームがあるとは思えない。

この4日間の試合を見て思ったことは、改修後のプラニツァは素晴らしいということに尽きる。確かに気候は良かったが、風の状況はそれなりに変化していた。そのなかで、個人戦の表彰台に上った3人、そして上位15人の顔ぶれにはほとんど変化がなかった。つまり公平でコンディション・コンペンセーションがうまく働いていた。しかも、一番低く飛ぶクラフトから、高いアマンまで、誰でも最高のジャンプをすれば240mまで行けるという懐の深さ。去年思った、「スーパーラージヒル」という称号を、もう一度与えたいと思う。

今日の葛西は本当に惜しかったなぁ。あのフライト2本で表彰台に上がれないか・・・・でも、今のフォアファング、そして地の利200%のクラニェッツにここまで迫れたのは自信になるだろう。そして・・・43歳にして、最終戦の安堵感に包まれるのではなく、それをすごーく悔しがっている若さが、凄い。

素晴らしい戦いをありがとうございました。
来期もこんな風に、最終戦を喜びとともに迎えられることを願います。
ジャンパーの皆さま、オフを楽しんでください。

|

« 500 | Main | 2015/16シーズン回顧 トレンドの究極プレウツの覇権、一方で多様化の流れが見られる »

Comments

プラニツァの4連戦はジャンプも観衆も最高の試合でしたね。
葛西がポディウムを逃したのはちょっと残念でしたが、素晴らしいジャンプがたくさん観れて楽しめたので満足です。
クラニエツの低い飛び出しからグングン伸びていくフライトはフライングの醍醐味そのものでしたし、アマンのもの凄い高いフライトには度肝を抜かれました。

葛西の「ちくしょー」という言葉、来年、再来年に向けてのモチベーションが一層高まるのでは、と期待を抱きました。

本当にプラニツァ最高でした。

Posted by: 北きつね | March 21, 2016 at 06:00 AM

北きつねさん仰る通り、最高でしたね!

フライングがフリーガーだけの特別な聖域では無くなったのが、若干ロマンが削がれますが、十人十色のスタイルで楽しませてくれる最高のイベントでした。かつてのF1のような面白さというか。

それにしても、競技内容といい、観客といい、景色といい、神々しいまでに素晴らしく、表彰式なんて、ロードオブザリングのような神話の世界の出来事の様でした。プレフツはネ申ですか(笑)

Posted by: こたろう | March 21, 2016 at 07:14 AM

北きつねさん、こたろうさん、今期も最後までお付き合いくださってありがとうございました。お二人のおっしゃるとおりです。これ以上はありえないぐらい素晴らしい試合でした。昨季のドラマチックな結果も凄かったですが、そこからちゃんと今回にストーリーが繋がっている。スキージャンプって、本当にすごいですね。

Posted by: かずやん | March 21, 2016 at 08:44 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/63373773

Listed below are links to weblogs that reference "Peter der Große" ペーター・プレウツ、我が世を謳歌 プラニツァ:

« 500 | Main | 2015/16シーズン回顧 トレンドの究極プレウツの覇権、一方で多様化の流れが見られる »