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July 19, 2015

ストリーミング配信とオーディオのすり合わせ

ドイツの夏の気候が変化してきている。仕事に行こうと早朝に家を出ると、昔、夏休みの朝にラジオ体操にいくのに外に出たとき、を思い出させるような空気感があった。生暖かさの中に、ひんやりとした、湿気を含んだツブツブを内包する空気・・・。

Apple Musicはまだ飽きずに聴いていて、だいぶわかってきた。その絶対的な音質は、ニール・ヤングが指摘するまでもなく、アーティストが音に込めたすべてを明らかにできるほどのものではない。よくよく聞くと、なにかこう、テクスチュアに(いい意味での)ざらつきがなく(手触りがないという感じかな)、そしてバックグラウンドには、もやっとした不透明感がある。この音源をプロ用DACに入れて、いいモニタースピーカーにつないだらまったく楽しめない音がするであろうことは想像できる。

だが・・iPadで聞くと聞けてしまう。そういう欠点がうまいことマスクされ、程よいナローレンジ感で音質を気にすることなく音楽に浸れる。古い洋楽とか・・・びっくりするぐらいに上手く鳴る。ラジオや店の有線放送でふと流れてきた音楽に心を奪われるのと同じような感覚だ。この音作りは、新しい音楽に触れるという目的においては素晴らしい。多少の録音の瑕疵なんて気にしないでいいおおらかさがある。お勧めにしたがって続々と聴き、どんどんライブラリが大きくなる。

変な話だが、Apple Musicを聴けば聴くほど、音楽寄りに心が行き、オーディオから心が離れる。これはどういうことだ?その現象の裏は、いいオーディオの音を聴くほど、音楽から心が離れるということになる。そんなはずは・・・・・ない・・・・はず、だが?録音がなってない、と言われて排除されたCDがダンボールに溜まっていることが、それが正しいことを裏付けていないか?

ドイツのApple Musicにもやっぱりレーベルの壁は存在している。クラシックも、日本の会社が版権を持っているもの以外にも、かなりの新譜はApple Musicに提供されていない。一度聴いてみたかった、ヤルヴィ指揮ドイツカンマーフィルハーモニーブレーメンのベートーベン全集は配信されていなかった。シューマンの全集の方はあるのに。

そこで、それらについては中古CDを買うことにした。結構出回っていて、一枚10ユーロ内外で買えた。久しぶりにオクターブに火を入れて、序曲集と1番を聴いたのだが・・・。Apple Musicにかまけてほって置かれたオクターブ君が怒っていた・・・・ように聞こえた。それぐらい、ものすごく強い音が出た。このエネルギー感と空気感の両立は圧縮音源のストリーミングでは難しいだろう。ベートーベンの1番は好きなので良く聴くのだけど、ここまで「もぎたて」感のある演奏を聴いたのは初めてと言っていい。まったく「溜め」を作らず、ストレートに、若きベートーベンの野心、ある意味エゴを描き出す。その音楽が生まれた場で、人々がその音に驚き、戸惑ったであろうことが、まるでそこに居合わせたかのように感じられた。ピリオド的演奏が苦手な私にも得心がいく演奏だった。

で・・・やっぱりこういうのを聴くと、いい音楽はいいオーディオで聴かなければダメだと思う。

このふたつのまったく違う感慨をほぼ同時に得たわけだが・・・少しの戸惑いの後、私の中ではそれらは問題なく両立している。結局、ソフトに込められた音楽の本質に迫る方法を一つに決めるのではなく、作り手にあわせて柔軟にするべきだということなのだろう。ゼネラル・オーディオを意識して作られた作品はお手軽に聴くのがよく、そういうソフトをあまりに厳格なオーディオで聴いても楽しくない。一方で、お手軽に聴いたら、フーン、で終わってしまうソフトから音に込められた魂を引き出すには、それなりのオーディオ装置が必要なことがある。

このふたつを一つにまとめようとするから齟齬が生じるということに、ようやく気づかされたのだった。

だから、分けちゃうことにした。ストリーミングや圧縮音源はヘッドホン直差しやAir Playスピーカーでラジオ的に聴き、それにいいDACをあてがったりしてメインのオーディオにつなぐことはしない。逆にハイレゾ音源や録音のいいCDからリッピングした非圧縮WAVは、基本的にメインのオーディオでしか聴かない。それでいいんじゃないか。

DACやストリームプレーヤーをどうするかについてしつこく悩んでいたのだが、だいたい答えが出た。一時は何でも聞けるストリームプレーヤータイプ(たとえばPioneer N70Aとか)やipad/iphoneにつなぐことに特化したタイプ(micro iDSD等)に心が動いたのだけど、おそらく機能を絞ったUSB-DACタイプのものにすると思う。近々、いくつかのブランドの機器において世代交代がありそうなので、もう少し待って、導入することにしたい。

一方で、ダンボールに溜まっている、メインのオーディオではどうにも楽しめないCDたちはリッピングしてiTunesのライブラリに統合し、Apple Musicとともにお手軽に聴けるようにしていこう。

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