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April 05, 2015

シーズン回顧2014-2015 史上最高の競技水準に達したスキージャンプ (3/3)

今季はジャンプ技術的には大きく変わらなかった。ただ、レベルが上がった。ものすごいサッツスピードをトップジャンパー全員が出すようになった。勝負を決めるのは全体のバランスと、身体能力。弱い部分があるジャンパーは自分に合う台でのみしか勝負に入れなかった。トップ10のパフォーマンスレベルは、おそらく2期前のシュレリーを全員、完全に越えていた(シュレリー自身も)。その中で勝つのは、何らかの飛びぬけたものを持っているジャンパーが、その特性に合った台や条件で、2本揃えたとき・・・だから飛んでみるまで誰が勝つかわからず、試合が面白いということになった。そんなハイレベルにおいて終盤に違うタイプの台で連勝したフロイントの能力、技術、精神力は史上最高のものだったと思う。来季も基本的にはフロイント本命で、クラフト、ハイベック、ファンネメル、コウデルカ、そしてプレウツがそれに挑みかかる構図になるだろう。もちろん、ストッホと葛西もやる気と調子次第で勝負に入るはず。フロイントにとっては、来期はシーズンを通しての安定性と、ジャンプ週間の克服が課題となるだろう。

もう一人、忘れてはいけない男がいる。それはシュレリーだ。今季、彼は総合10位に沈んだが、昨季よりもずっとポジティブなシーズンだったと思う。迷いが感じられた昨季とは違い、今季はまっすぐ行くべき道が見えている感じがした。表情も明るく、何か吹っ切れているように思う。来季は帰ってくる、そう予感させるものがあった。具体的にはバーダル・タイプとして、どんな台、どんな条件でもポイントを取り、悪条件や混戦で勝ちをもぎ取る、そういうジャンパーへの脱皮だ。今までの感覚を捨て去り、変わった自分に合った飛び出しの最適方向を見つけた時、2011シーズンのバーダルのように、いつの間にか総合トップに立っているという彼の姿が見られることになるだろう。

昨季の回顧ではハイベックを注目選手としたが、今季は次のシーズンに勝負に関わってこれそうな“上がり選手”は見つけられなかった。もちろんヴェリンガーは怪我さえ治れば勝負に入ってくるだろうが、それでも本当にトップを争えるかと言うと難しいと思う。今は本当にトップのレベルが高い。ルールとそれに伴う技術が安定していることで、来期はさらに全体のレベルが上がるだろう。怪我でちょっと遅れたら、追いつくだけで1年ぐらいはかかってしまうのではないか。

最終的には絶対的アスリート能力が勝負を決める時代になったと思う。おのおののジャンパーがオフにどれだけ積み重ねられるかで成績は決まるだろう。非常に真っ当な状況だが、そうじゃなかった時期がいかに長かったかについては、これを参照していただきたい。

ロイツル、バーダルだけでなく、今後ベテランの引退が相次ぐ可能性がある。このハイレベルを身をもって体験し、自らの伸びしろを鑑みたときにそういう結論に達してしまうのだと思う。イースター休み明けには動きが出てくるだろう。そういう一般的な論調が通用しない葛西は超人的。引退の「い」の字も出ないほどの伸びしろをまだ抱えているのだ。オフにトレーニングできず、膝も腰も万全じゃなくてあのパフォーマンスなんだからなぁ・・・。

最後に、女子ジャンプについても一言だけ。正直に言うけど、イラシュコのワールドカップ制覇は嬉しかった。女子ジャンプ黎明期を支え続けた彼女は、報われるべきだと思ったからだ。高梨にはまだ先がある。女子アスリートの宿命で次の数年は結構苦労するだろうと思うけど、その先にはおそらく長い長い、彼女が女子ジャンプを支えなければならない年月がくる。女子ジャンプが今の男子ジャンプのようなレベルに達するまでの、長い道のりはまだ始まったばかり。今季のイラシュコと高梨の戦いは、黎明期から成長期へのクロスオーバーを象徴するものだったと思っている。

来季の冬はもう少し、スキージャンプに適した気候でありますよう。そして、世界が穏やかでありますように。
(了)

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Comments

かずやんさん、今期もこのブログのお陰でジャンプW杯を2倍楽しむことができました。ありがとうございました。回顧も一気に読ませて頂きました。個人的には伊東大貴とクラニエッツが後半伸びずストンと落ちるシーンに何度も歯痒い思いをしました。来シーズンは長野県民としては、竹内択と岩渕香里の飛躍に期待します。それでは。

Posted by: こたろう | April 07, 2015 at 02:53 PM

こちらこそ、こんな勝手なブログにずっとお付き合いくださってありがとうございました。

伊東とクラニェッツ・・・この2人についてはピチピチスーツの導入時にもっとも影響を受けるジャンパーとして取り上げました。彼らは空中技術では最高の2人ですよね。しかし、今は空中でできることは限られていて・・・体のキレが落ちて飛び出しスピードが落ちると、最後はストンです。2人ともソチで無理してまだ回復途上ですから、今季は仕方ないと思います。来季に期待しましょう。

私個人の注目は、アマンとヤコブセンがどうするか、です。この2人はまだまだやれると思う・・・ピーク・パフォーマンスではほとんどフロイントと差がないと思います。この2人のall or nothingのジャンプが見られないと寂しい・・・。

Posted by: かずやん | April 07, 2015 at 08:38 PM

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