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April 03, 2015

シーズン回顧2014-2015 史上最高の競技水準に達したスキージャンプ (1/3)

今季はシーズンが長く感じた。コーデルカの初勝利から始まって、アマンと葛西の同点優勝、シュレリーの復活優勝、ファンネメルの台頭、クラフトとハイベックのルームメート間争いとなったジャンプ週間、新春ジャンプでのヤコブセンの驚異的パフォーマンス、ストッホの地元での意地、世界記録の競演となったビケルスン、ヴェルタとノルウェーチーム対フロイントの世界選手権、そしてフロイントの怒涛の連勝とプラニツァでの信じられないほどドラマチックな結末・・・・。すべてがこのシーズンの4ヶ月に起こったことなのだ。

もっとも特徴的なことは、上に書いたたった数行の回顧の中に、チェコ、スイス、日本、オーストリア、ノルウェー、ポーランド、ドイツ、スロヴェニア計8カ国のジャンパーが関わり、勝っているということだ。どこかのチーム、少数のジャンパーが勝利を占有することがなく、すべての国、すべてのジャンパーにチャンスがあったということを示している。しかも、それがどんぐりの背比べでは決してなく、ものすごく高いレベルでの争いだったことは、誰の目にも明らかだった。

非常に高いところでトップジャンパーの実力が拮抗しているため、調子や台との相性といった小さな差が勝負を決めることになった。それが日替わりの勝者を生み出した。「地の利」が効くので、地元のスターが勝つという状況が多くなり、各国での開催は大きな盛り上がりを見せた。ジャンプ週間、ザコパネ、ヴィリンゲン、世界選手権、プラニツァ・・・それらの開催での観客の熱量は素晴らしかった。

私自身、今季はもうスキージャンプを昨シーズンまでのようにはフォローしないだろうと思っていた。しかし・・・見ているうちに、結局その面白さに巻き込まれてしまった。

スポーツの面白さを決める大きな要素がふたつあると思っている。ひとつは競技全体のレベル、そしてもうひとつはドラマ性と条理性のバランス。今季のスキージャンプはそのふたつを非常に高いレベルで兼ね備えていた。試合における公平性とギャンブル性のバランスが絶妙だったし、選手の体格と競技力の関係性も史上もっとも適切な状況になった(これがパーフェクトになることは、物理学的にあり得ないのだから)。スキージャンプはもともとドラマ性は非常に高い競技だから、公平性が高まれば面白くなるのが当然の帰結。今季、スキージャンプは競技としての成熟度が史上最高のレベルに達したと思う。

その高い競技力を、非常に不安定な気候条件のもとでも保つことができたことも特筆すべき点だ。気候変動の影響でヨーロッパの冬はどんどん暖かく、風も強くなり、スキージャンプを行うことが困難な状況になりつつある。その影響をマテリアルの進化、台の施設の更新、コンディションコンペンセーションルールの運用によって最小化することができていた。

スーツのレギュレーションの微調整も適切なものだった。浮力がほんの少し戻ったことで、落下速度が減少しランディングはかなり楽になったようにみえる。ビンディングの進化により空中の安定性もかなり上がった。横風秒速6mみたいなとんでもない条件ですら、見た目には普通に飛び出せてしまうような安定性だった(もちろん、飛距離には大きな影響があるのだが)。

それでも、ニック・フェアオールやアマンのような大きな事故はあった。ただ、これらの転倒は空中でバランスを崩したものではなく、ランディングにおけるものだった。今季はそのような転倒が多かったことは間違いなく、ランディング時にビンディングが外れるケースもかなり多かったように思う。ここは残された改善点だろう。

上記のような感じのことは、実は2012-13シーズンの回顧でも書いていた。その後の2年間でさらにスキージャンプの競技力、グローバル性とジャンパーの安全性は上昇している。それらの改善がジャンプ競技の成熟、そしてマーケティング力に繫がるということを、ホファーさんはよくご存知だ。マーケティング力=お金であり、今のご時勢、それが競技のレベルを大きく左右する。一ファンとして、彼の仕事に敬意を表したい。このままの努力を続けていって欲しいと切に願う。

(次はチーム別回顧)

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