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February 15, 2015

250mを超える戦い フリーガーの新しいかたち ビケルスン

カーニバルウイークはとても良い気候となった。スキージャンプもフライングの祭典。しかし、オーストリアとポーランドは基本的にパス。オーストリアはBチーム、ポーランドはフライングを飛ぶことを望んだ数人だけをモンスターバッケンに送った。

土日ともに基本的に無風もしくは穏やかな向かい風の吹く、フライングとしてはこれ以上ない条件だった。しかし・・・この好条件に「悩まされた」のがテクニカルディレクター達だ。台があまりにも向かい風にセンシティヴだからだった。そよ風程度の向かい風がとんでもない飛距離をもたらしてしまう。彼らは、トップフリーガーに風の設定ウィンドウの上限の風が吹いたとしても飛びすぎないゲートに設定するしかなかった。それは、ゲート7とか9とかそういう範囲であった。そのゲートからでは、もっとも速いジャンパーでも100キロの飛び出しスピードがやっと。フライングとしてはとんでもない低速設定である。

その状態で風が凪ぐと、誰も150m以上飛べない状況になる。それはそれで危険なのだ。日曜の予選でその悩ましい状況を端的に示すことが起こった。向かい風を受けたヴァシリエフが、土曜にプレウツが出した250mの世界記録を超える254mを飛び、転倒。ゲートが8に下がったが、すぐにそのゲートでもステヤネンが230mを超える。さらに下がって最後はゲート6。こうなると飛び出しスピードは98キロ台だ。その状況でおそらく世界記録更新を狙ったのだろうプレウツがあまりにも低い飛び出しをしてしまい、こぶを超えたところでこらえきれずに落ちて、転倒。幸い何事もなかったが・・・。でも、その条件でもその次のフロイントがようやく「何か掴んだ」フライトをすると238.5mに到達してしまうのだから、テクニカルディレクターとしてはたまらない。

もちろん、そのゲートからではフリーガーではないジャンパーにとっては「降りるだけ」の状況である。つまり勝負は翼を持つ数人、今回の場合はファンネメル、フロイント、プレウツ、葛西、フォアファング、ステヤネン、そして驚くことにヴァシリエフ-の7人だけの勝負であったと思う。

しかし・・・土曜のファンネメル、プレウツ、そして日曜のファンネメルの251.5mのレコードは凄かった。飛びすぎで転倒したのは予選のヴァシリエフ一人にとどまり(彼はその影響か本戦では散々だった)、テクニカルサイドの人々もホッと胸をなでおろしたことであろう。にしても、この台は改修が必要だと思う。ランディングバーンの角度が深すぎるのだ。37度はもはや、今のマテリアルには対応できない(同じことが大倉山にも言えるのだが・・・・)。

でも、それらのフライトは以前のフリーガーのフライトと根本的に異なっていた。彼らのフライトは、アマンやマリシュの延長線にある、スピードジャンプの進化型であって、浮力に依存する従来型フリーガーのものではない。別の言い方をすれば、落ちないことで角度を保つのではなく、落ちる前に前に進んでしまうことで角度を保っているのである。そして浮力に依存する従来型フリーガーたちは高さが取れずに距離を伸ばせなかった。

この結果から垣間見えることとは、スーツのレギュレーションが緩和されたことによる浮力の増加は限定的であって、スーツやマテリアルの進化は飛び出しスピードを上げる方向へと進んでいるということだと思う。

今回、アマンとクラフトが不在だったのがちょっと残念。彼らこそ、そのトレンドの最先端にいるからである。

日本的には、栃本のフリーガー適性が明らかとなったし、最後の最後にやっと風が当たった葛西の240.5mの日本記録で溜飲が下がったので、良かった。

ただちょっと心配なのは、飛びすぎたプレウツ、ファンネメル、そしてヴァシリエフが、その後のジャンプでおかしかったことだ。何かが崩れた感じ・・・・。マルティン・シュミットは解説でフライングからノーマルの変化は違いすぎてあまり問題にならないと言っていた。ノーマルはただサッツでカンテに力を伝えることだけに集中すればいいから・・・ラージからノーマルの方が、自分にとってはずっと問題だったそうだ。とにかく、怪我人も出ず無事に終わって良かった。

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Comments

J sportsでLIVEでしたので、2戦とも見ることができました。250m合戦、堪能しました。

ただ、私が見慣れたせいもあるのでしょうが、エベンセンとかの時の、何か見てはいけない、やばいものという、一種卑猥な魅力はあまり感じず、理論に裏打ちされた静かな興奮といった感じがしました。

かずやんさんの言う、スピードジャンプの進化型、浮力に依存しないという解説を拝見して、感じていたことはそういうことか!と一人納得しております。

葛西の240mよかったですね。これが見たくてファンをやっているようなものです。

ランディグバーンの改修ぜひともですね。あとウィンドファクターについても計測点とか平均値の取り方に改善を望みたいです。

さあ、これで世界選手権に集中できます。

Posted by: こたろう | February 16, 2015 at 03:15 AM

エベンセンのような、一旦沈んでからグワーッと浮くようなフライトは魅惑的ですよねぇ・・・今回、その感じがあったのはステヤネンだけでした。テペシュやクラニェッツは向かい風があっても浮ききれずにパタンと落ちてました。ファンネメルやプレウツらは高いところをまっすぐ250mまで行く感じで、それも恐ろしくはあるのですが・・・・。まさに、「卑猥さ」がもの足りないんですね、そのとおりです。見るほうは勝手ですね。マテリアルの塩梅という意味では健全だと思います。その手の楽しみは新しくなったプラニツァに期待しましょう。

Posted by: かずやん | February 17, 2015 at 05:55 AM

こんにちは。
一つ前の話題へのコメントからになってしまいますが、「年間追い風ランキング」、確かに面白そうですね。ハイベックあたりも上位に来そうです。
彼とクラフトの、ジャンプ週間後の明暗の分かれぶりを見ると、「地位が人を作る」とはよく言ったものだといいますか、ジャンプは本当に自信が重要な競技なんだな、と思います。

今季は、バーダルの苦戦、ロイツル・ヴァンク・渡瀬のW杯レベルからのフェードアウト、と重量級ジャンパーが苦しんでいると感じるのですが、一方でクラニェッツやヤンダのように、いくら空中が巧くてもサッツで高さやスピードが全く出せないとやっぱりダメ、ということで。
スピードは最重要、しかしその上でパワーも空中もそれなりに必要、みたいな、おっしゃる通り「スピードジャンプの進化型」的な飛び方が必要になっているのかもしれませんね。

ではでは、また世界選手権でお会いするのを楽しみにしております。

Posted by: まちびと | February 19, 2015 at 01:56 PM

どうもです。年間追い風・・・私も今のところハイベックが本命です。2位は以外にもプレウツじゃないかと・・・。

確かに重量級ジャンパーが総じて苦しんでいますが、ヴァシリエフやデズマン等の例外もあります。体重がなくてもスピードが出せるようになったことで、相対的には体重があることの利点が少なくなったとは言えるでしょう。体が大きいとロスを少なくするのが難しいというのもあると思います。一方で軽い、清水とかツォクラフスキーあたりも苦しんでいて・・・彼らはどちらかというと他に追いつかれて利点が失われた感じかもしれませんね。結局はレベルが高くなって、総合力かつ台への対応力が勝負を決めるようになってきているんでしょうね。厳しいです。

Posted by: かずやん | February 20, 2015 at 10:45 PM

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