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April 05, 2014

13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (4/5)

からの続き)

うまくいった葛西とうまくいかなかったシュレリー。両者の違いは何か?

表面的には、いままで「個」の力で戦ってきた葛西と、「チーム」の力の庇護の下「個」の力を低下させてきたシュレリーの間に、力のクロスオーバーが起こったということ。そして、こうなったのは、「チーム」の力の影響力が低下したからだと思う。

選手のパフォーマンスは「個」の力と「チーム」の力の合算したものだ。チームの力の影響が特に大きかった00年代後半は、「個」の力でなんとかできる範囲は限られていた。だから、葛西はアスリートとしては非常に高いレベルにあったにもかかわらず、成績は振るわなかった。しかし、2010年以降、カルテンベック・アマンタイプのビンディングの完全な普及と細くなったスーツによって、チームによるマテリアル・技術面でのプラスポイント(下駄)が小さくなり、相対的に「個」の力の配分が大きくなってきた。その結果、今季になって、葛西はようやくその能力が素直にポイントとなって現れるようになり、逆にシュレリーはトレーニングの方向性の微妙な失敗(筋量の過剰?)によるパフォーマンス低下を露呈させることになった。

今季、オーストリアは国別対抗で勝利した。しかし、前回示したグラフで明らかなように、獲得ポイントは10/11シーズン以降、まっすぐに落ちてきている。今季は3人の新顔(ディートハート、クラフト、ハイベック)が総合15位以内にジャンプアップしたのに、落ちているのだ。そのためにチームはゴタゴタしているわけだけど、私にはこれはチームの影響力が低下したからであって、オーストリア・チームの問題ではないように思う。

結論としては、今季、スキージャンプは選手個人の能力が素直にパフォーマンスに現れる「個」の時代に突入したと思っている。この見方を裏書きするもう一つの現象がある。それは、今年の総合上位7人が全員、違う国の選手だったということだ。私が調べた限り、このようになったことは一度もなかった。これは、今季はチーム間の格差がなくなり、各国のエースが同じ土俵で戦えていたということに他ならない。素晴らしいことじゃないか?

FISが公平な立場で真摯にチーム間格差を無くす努力をし、グローバル化を推進してきたことが実を結んのだと思う。ホファー氏の仕事に敬意を表したい。この状態を維持できれば、中韓、北米、東欧・CIS諸国も、努力しだいではもっと勝負にかかわるようになることが期待できる。そうなって初めて、本当の“ワールド”カップになるのだと思う。今季がスキージャンプ競技が本当のグローバルな競技になる為の一里塚だったと、振り返って思うようになるのかもしれない。

今回、葛西の成績を調べる過程で、過去20年にわたるFISの戦いをルールの変遷と共に概観することになってしまった。時間はかかったが、いろいろと気づくこともあった。せっかくなので、近いうちにきちんとまとめようと思っている。その中で、今季引退した選手についても触れることができると思う。

(まだちょっと続く)

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