« 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (2/5) | Main | 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (4/5) »

April 04, 2014

13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (3/5)

)からの続き

オーストリア黄金期と共に現れたシュレリー

シュレリーが華々しく登場したのは06/07シーズンだった。オーストリアチームはBMIレギュレーションの始まった04/05シーズンからトップに躍り出て、トリノオリンピックの05/06シーズンからはまさにタイトル独占状態の黄金期に突入した。彼のキャリアはその黄金期とぴったり重なっている。

Schreli_2

葛西のときと同じようなグラフを書いてみると、それが良くわかる。そして、シュレリーの場合、期間が短いこともあるが、あまりにもチームの調子が良すぎて相関関係の解析は意味をもたない。特に07,08,09,10,11の5期はオーストリアの得点は7000点前後となっていて、これはシュレリーが優勝すれば他のオーストリアのジャンパーの得点を削ることになる、つまりチーム内での争いになってしまう飽和状態である。例えば10/11シーズンは怪我で離脱した影響でシュレリーは総合9位に終わったが、この年はその穴をモルギーが埋めることになった。

つまり、彼の場合はチームの力が強すぎて「個」の要素がまるで見えてこないのだった。意地悪な言い方をすれば、チームのアシストによってパフォーマンスが大きくかさ上げされている状態である。だからといって、これが彼の「個」の能力が低いことを意味しているのではない。そうだったらチーム内の競争を勝ち抜いて52勝なんてできっこない。ただ、強力な光に照らされれば、多少のしみはかき消されてしまうものだ、ということが言いたいのだ。

実は最近、フリーガーの飛行曲線を確認するために少し前のフライングの映像をチェックした。その中でシュレリーが出てきた頃の映像を偶然に見ることがあったのだが・・・・ちょっと驚いた。なんという速さ、そして軽さ。比べてみると、今のシュレリーはあの頃よりジャンパーとしての物理的パフォーマンスにおいて「落ちて」いることが明らかだった。成長と共に骨量と体重が増し、パワータイプに変化せざるを得なかったのだ。

パフォーマンスの低下は少しづつ、でも確実に起こっていた。また彼は足首の可動域や付き方がもともと理想的だったため、ビンディングの革新の恩恵がほとんどなかったのではないか、とも思う。その結果として、ピーク・パフォーマンスにおける他のジャンパーに対する彼のアドバンテージは年々小さくなっていった。しかし、チームの力とシュレリー自身の技術的・精神的成長によって補償されることで、それが顕在化することなく勝ち続けて来られたと言うことだと思う。昨シーズンまでは・・・・。

昨年、シュレリーは怪我などもなく、順調にハードなトレーニングを積んだという。オリンピックで勝つという、唯一残された夢をかなえるために。しかし、その努力は報われなかった。そして、最後の北欧シリーズにおいては、得意なはずのジャンプ台で、飛び出し速度も出て完璧に飛びながら勝負に入れないという、信じられない姿を我々に見せることになってしまった。

(続く)

|

« 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (2/5) | Main | 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (4/5) »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/59401686

Listed below are links to weblogs that reference 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (3/5):

« 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (2/5) | Main | 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (4/5) »