« 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (1/5) | Main | 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (3/5) »

April 02, 2014

13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (2/5)

(からの続き)

ワールドカップを16勝もしているジャンパーに、好成績を挙げていないと言うのは失礼だとは思う。でも、私はこの実績でも彼の力に見合っているとは到底思えないのだ。葛西はアホネン、マリシュ、シュレリーレベルの記録を残せてしかるべき、そういうレベルのアスリートだと思っているのである。

その理由を探るべく、こんなグラフを描いてみた。

Kasai_2Kasai2


ひとつ目のグラフはシーズン別の獲得ポイントの変化を示したものだ。黄色の線が葛西のポイント、青線が国別対抗における日本のポイントから葛西のポイントを除いたもの(日本-葛西)である。実は当初の目論見としては、ジャンパー個人の成績はチームの成績とは無関係ではありえないという結論を導き出そうと思ってこのグラフを書いたのだった。しかし・・・・実際は違った。ふたつ目は葛西のポイントと(日本-葛西)のポイントの相関関係を見たグラフだが、相関関係はほとんど無いという結果になった。国別対抗の成績には葛西が出場した団体戦のポイントも入っているはずだから、多少の相関関係はあってしかるべきなのだが・・・・。

つまり、ものすごく平たく言えば、葛西の成績は日本チーム全体の調子と無関係だったということだ。これは、個人の調子とチームの調子が噛み合ったときにだけ本当の意味での好成績が出るという、ジャンプという競技の性質から考えたら驚くべきことだ。

このことはおそらく、次のふたつのことを反映しているのだと思う。

ひとつ目は、葛西の運、いや、間の悪さだ。チームにも選手にも調子の上下動があり、いい年と悪い年があるのは仕方ないのだが、そのバイオリズムが日本チームと葛西で「ずれて」いたと思う。チーム全体がいいときに怪我をしたり、調子がいいときに限ってマテリアルなどでのビハインドをチームが抱えていたりということが、偶然というには多すぎるぐらいあった。具体的には94/95シーズンの骨折以降の度重なる怪我や苦難、長野五輪の直前の怪我により当時のチームの勢いに乗れなかったことや、逆に好調だった00/01シーズンや03/04シーズンを含む00年代はチームがずっと下降線だったことなどが挙げられる。最近では伊東大貴と共に日本が調子を取り戻しつつあった11/12シーズンは腰痛の影響でまともに飛べず、2回目に進むことが難しい状況だったことが記憶に新しい。

ふたつ目は葛西というアスリートの特質が、他の日本人ジャンパーとは異なっているためにチーム全体の方向性と噛み合わなかったということはないだろうか。他の日本人ジャンパーがルールの変化に器用に対応していくのに対し、彼は柔軟にスタイルを変えられなかった(性格的なものもあるかもしれない)というようなことがあったのではないか。逆に、チームの調子が悪いときでもポイントを獲得できているということは、葛西のアスリート能力が日本人離れしていることの証左ではないだろうか。

結論としては、葛西は「個」の要素においては強いジャンパーだが、そこにチーム的なアシストがうまく噛み合わずにこれまで来てしまったということが言いたいのである。

では、そういう一匹狼的ジャンパーが、何故今年はうまくいったのだろうか?その答えを探るべく、対照として今季は振るわなかったシュレリーを解析してみることにしよう。

(続く)


|

« 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (1/5) | Main | 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (3/5) »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/59395989

Listed below are links to weblogs that reference 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (2/5):

« 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (1/5) | Main | 13/14シーズン回顧 「個」の時代へ (3/5) »