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March 23, 2014

ファンの熱が支えるスロベニアとポーランドの躍進 プラニツァ

寒冷前線が通り過ぎ、花冷えといった感じになってきた。スロベニアの方ではその前線が停滞しているようで、しとしとと雨が降り続いていたが、それでも試合に大きな問題はなかった。新造の台が備えるアプローチの冷却機構はすごい。日曜は風が収まったこともあり、非常に公平な試合になっていた。

プラニッツアの台も他の新造台と同じくフラットだ。ラージヒルで飛び出し95キロ前後。新しい台は傾斜がゆるいから、HSに近くなるとランディングの際の膝への衝撃はかなりのものだろう。しかも高温と雨でランディングバーンはベチャベチャ。葛西の膝が大丈夫か、ヒヤヒヤしながら見ていた。

こういう条件になると、基本線はバーダル対フロイントとなる。でも、そんな中でも、葛西のジャンプはサッツの速さの点では他のトップジャンパーすら凌駕していて、飛距離もまったく遜色がなかった。条件次第で勝てる力を示していたが、風神がちょっと意地悪だったなぁ。日曜なんて、なんで彼のときだけ追い風なんやろ。

総合上位6人のジャンプはみんな、究極に近い完成度だった。今季シュレリーが何故弾けなかったのかを考えていたのだけど、これを見て、シュレリーの力が落ちたのではなく他の力が上がったのだと感じた。シュレリーですら完璧でなければ勝てないレベルでの戦いになっていたのだという、至極単純な理由だったのだと思う。

ストッホの総合王者は順当だろう。勝負どころでの強さは光っていた。総合ポイントが1000点を超えたジャンパーが5人もいるという事実だけを見れば、上位は僅差の戦いだったようにも見える。それでも、今季はストッホのシーズンだったという印象は揺るがない。彼には点差以上に余裕があった。勝負どころだけちょっとアクセルを吹かして、他に差をつけるという感じだったと思う。

オリンピック後、燃え尽きた感じで調子を落としていたプレウツが最後にスーパージャンプを出して、故郷に錦を飾る勝利を挙げた。プレウツとフロイント、そして葛西とバーダルの総合順位争いは最後まで熱かった。フロイントは1位、2位でもプレウツとの29点差を逆転できずに総合3位にとどまった。そして、葛西とバーダルのアトサキなんだけど・・・・最後、日曜の2回目、バーダルが伸びなくてその時点で(その日の試合の)3位に落ち、よし、その時点で4位の葛西が逃げ切ったと思ったんだが、ラストジャンパーのストッホがバーダルと葛西の間に割り込むなんてね・・・・。まぁ、最後の方のバーダルは強かった。葛西もずーーーっとシングルに入り続けているのになぁ。

あと、今大会はスロベニアの選手層が厚くなっていることを思い知らされた。開催国枠の選手も簡単に2回目に進むんだから。つまり、誰かが怪我とかしても、すぐに代わりに誰かが出てくるということだ。スロベニアは小さい国だし、経済も強くない。でも、プラニッツァに大規模な投資をしているし、ジュニアの育成にも力を入れている。その成果が出つつある。

もう一つ印象的だったのはワールドカップ総合の表彰式において、ストッホをたたえるポーランド国歌の大合唱が起こったことだ。プラニツァはポーランドから近いとは言いがたい場所。その場所に1000人規模の応援団がいた。

スロベニアとポーランドは国別総合でノルウェーを上回り、3位と4位となった。とうとう3強の一角が崩れたのだった。そして、この流れは今後も続くことになるだろう。この2国の躍進を支えているのは、間違いなく国内にある「熱」だ。ファンの後押しがあるから、スポンサーもつき、選手のモチベーションも高いし、子供たちにも魅力的に映る。それがポジティブスパイラルを生んでいるのだと思う。

この熱は、日本のオリンピックだけの一過性の熱とは質が違う。日本は、北海道、東北、甲信越のそれも一部地域だけで戦っているようなものだ。それじゃぁ、太刀打ちできないのは当然なんだと思う。選手の質の問題じゃない。ジュニア世代まで含めた継続的な経済的支援と応援なしに世界で戦い続けろと言われても、そんなの無理だよ。

女子の方では、高梨のワールドカップ18戦全戦表彰台、勝率83.3%の記録は、もう今後出ることのない不滅の記録だと思う。また伊藤が総合3位に上がり、国別対抗では日本がトップだったことも、もっと称えられてしかるべきことだろう。彼女たちだけにではなく、もっと幅広い支援が女子ジャンプにもたらされることを切に願う。なにもかもが一過性に終わらないよう、願う。

長い長いシーズンもようやく終わりを告げた。
シュミット、岡部、コッホの引退の一方で、アマン、ロイツル、ヴァシリエフ、そしてヤンダも現役続行を表明した。さて、モルゲンシュターンはどうするかな。来季に向けての戦いはもう水面下では始まっているだろう。

シーズンの回顧はいずれまた。
ジャンパーの皆様、とりあえずゆっくり休んで傷ついた体をいたわってください。

(追記)
葛西の膝、やっぱり重症だったか。そうじゃないかと思っていた。

(追記2)
ロマーレンも引退だそうです。飛行曲線が高くなって、飛行姿勢もH字からV字に変わっていて、えらい変わったなぁ、努力したんだろうなと思っていたんだけど・・・・。ちょっともったいない気もするけど、選手にしかわからないところで、何か決断に至るものがあったんだろう。

(追記3)
湯本も引退か・・・・・彼は日本でも一番フラットに飛ぶタイプだったから、細くなったスーツの影響をモロに受けてしまったのだと思う。彼の技術は独特のもの。指導者としての期待が大きいのだけど・・・・今後はどうするんだろう??

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Comments

葛西、十字靭帯が切れかけていたとか。大変ですね。

ベテラン勢、相次いで現役続行の知らせ、うれしい限りです。そんななかアマンは全くテレマークが入りませんね。なにか改良中なのでしょうか。

スロベニア、ポーランドに比べて日本ときたら・・・全くといって良いほど、オリンピック以外のジャンプには関心を持っていないようです。選手も多く排出している長野県でもそんなものです。プラニツァの圧倒されるようなジャンプ台群をみて、寂しい気持ちになりました。

ただ、選手たちは大変前向きで、日本女子チーム全員のインタビューが聞けたのですが、それぞれが自分の課題をしっかり把握してそれを来シーズンに向けてどうするか明確になっているなと思わせる、素晴しいものでした。

シーズンの回顧、楽しみにしています!

Posted by: こたろう | March 24, 2014 at 04:43 AM

こんにちは。
先日のオスロ大会のTV放送で解説の竹内さんが“シュレリーは来シーズンを休養するかもしれない、との噂が出ている”と言っていましたが、どうなんでしょうね?

先のことを考えると休養するのも悪くはない、と思いますが、シュレリーがみれないとなると、ちょっと寂しいです。

Posted by: 北キツネ | March 26, 2014 at 02:18 PM

シュレリーを含めて、オーストリアチームがどうなるのかについては憶測ばかりが先走っていて、良くわかりません。ポイントナーが勇退して、指導陣全体を刷新するという話まであります。オーストリアチームは日本からみたらこれ以上なくうまく機能していると思えるのですが・・・。シュレリー自身がオフィシャルブログなどの公の場で休養の可能性について触れたことはないと思います。

イースター明けぐらいにはなにか見えてくるでしょう。

Posted by: かずやん | March 26, 2014 at 09:19 PM

僭越ながら、今季末の日本チームの動きを私的にまとめてみたものを、書き込ませていただきます。私も北海道民ではないので、地元紙や引退セレモニーで出たという情報はじかに確認できておらず、確かなソースを示せない部分も多いですが、ご容赦ください。

・雪印
岡部孝信選手が引退。
来季は東海大の小林潤志郎選手、札幌日大高の佐藤幸椰選手が入社内定。
斉藤浩哉監督が退任、原田雅彦コーチが監督に、岡部孝信氏がコーチに就任。
ソース:ttp://www.sponichi.co.jp/sports/news/2014/03/11/kiji/K20140311007750330.html
 ttp://mainichi.jp/sports/news/20140315k0000m050049000c.html

・東京美装
湯本史寿選手が引退、日大の渡部弘晃選手が来季入社の模様(ネット上に公式ソースなし)
須田健仁コーチが退任 
ソース:ttp://www.ski-japan.or.jp/official/saj/visitor/140327_01.html
金子祐介氏がコーチ就任
ソース:ttp://ameblo.jp/uskgla/entry-11805337812.html

・日本空調サービス
今季限りで廃部。佐々木悠兵選手、吉泉(葛西)賀子選手、小山内理修コーチが引退。 高柳太郎選手は伊藤杯で現役続行を表明した模様(来季の所属先等は不明)
ソース:ttp://www.nikku.co.jp/news/docs/20140307.news1.pdf

・北野建設
モーグルの上村愛子選手が引退、複合の渡部善斗選手が入社内定。
その他の選手・スタッフの異動の情報は現時点でなし。
ソース:ttp://kitano-ski.com/skiclub-information/info-staff/2579  

・土屋ホーム
現時点で人事異動の情報なし。オフィシャルブログの書きぶりを見る限り、吉岡和也選手、高橋大斗選手を含め全員問題なく現役続行の模様。

・その他、社会人で引退が判明している選手
小浅星子選手 ソース:ttp://www.rise-jc.jp/4699.html
田仲翔大選手 ソース:ttp://eita8.laff.jp/blog/2014/03/post-6558.html
遠藤晃太選手 (ネット上に公式ソースなし)
ちなみに、シーズン前に引退を宣言していた讃良貴志選手が伊藤杯で復帰して、来季も現役続行の模様。 ソース:ttp://koushowkai.seesaa.net/article/392110012.html

斉藤浩哉監督はナショナルチームではチーフコーチを務めていましたが、その後任を含め、来季のナショナルチームのスタッフ編成に関する情報はまだ出ていないようです。

個人的に、まだ第一線で戦える力がある多数の選手の引退は勿論のこととして、斉藤浩哉、須田健仁両コーチがコーチ業から手を引いて社業に専念するとの話も、とても惜しく思います。
(ヘッドに横川朝治、チーフに斉藤浩哉、コーチに宮平秀治・須田健仁というここ4年の代表コーチ陣は、当代の技術派・理論派指導者が顔を揃えた黄金体制として、後世語り伝えられることになるかもしれませんね。)

では、突然の長文、失礼いたしました。

Posted by: まちびと | March 30, 2014 at 01:46 PM

>まちびとさん
ありがとうございます!
本当に斉藤さんはコーチ業から手を引かれるんでしょうか?だとしたら残念で仕方ないです。
代表チームは今季、限られたりソースと選手に起こったアクシデントを考えたら、これ以上ないほどの実績を挙げたと思います。変える必要があるとは思えません。

>こたろうさん
シーズン回顧、手間取ってます(汗)。今しばらくお待ちを・・・。

Posted by: かずやん | March 31, 2014 at 08:11 PM

オーストリアチームはポイントナーとの契約を更新せず。
ハインツ・クッティン(現在はヴィラッハのコーチで、モルギーのプライベートコーチでもある)が後任となるそうです。
日本のナショナルチームはどうなるんでしょう?

Posted by: かずやん | April 12, 2014 at 08:25 PM

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