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February 11, 2014

フォクト、初代王者に輝く ソチオリンピック 女子ジャンプ

僅差の勝負だった。
この癖のあるジャンプ台で、プレッシャーのある中、2回揃えることはほぼ不可能。どれだけ外しても飛べるか、その「余裕度」が、神様によって冷酷に審判されるような、そういう戦いだった。

そういう意味で、高梨には余裕がなかった。

なだらかな、氷のアプローチ。気温はプラス。この条件がどれだけ軽量の高梨に不利だったか。
勝ったフォクトは172cm。体重差は15キロ以上。

余裕がないとサッツのタイミングは、ずれる。それがスキージャンプ。だから、ジャンパーにとって一番必要なものは、普通に飛べば大丈夫という「自信」なのだ。それを作り上げることが、オフィシャルトレーニングと試技の目的。

結局のところ、高梨はそれを築くことができずに本番を迎えてしまったということだろう。完璧でなければ勝てないという心理状態で、いままでにないプレッシャーを受けて、それで完璧なジャンプを2本するなんてことは、人間には不可能なことなんだ。

イラシュコだって、同じ。彼女も1回目に大失敗と言っていい失敗をしている。高梨に勝つには2本完璧でなければならなかった。

男子ノーマルヒルの総括でも書いたが、台との相性、気象条件、これは「運」である。
高梨には運がなかった。人智を尽くしても、運がなければ勝てないのがスキージャンプなのだ。それに抗っての4位入賞は、胸を張れる成績だと、私は思う。

そしてフォクトは2本、自分のできるジャンプをすることで、その運を引き寄せた。

おそらく、新聞などの記事では「テレマークが」みたいな論評が出るだろう。でも、この台の条件で、ジャリジャリのランディングバーンに、高い飛行曲線からテレマークを入れようとするのは女子選手にとっては「無謀」に近い。飛型点17点でも勝てる飛距離が出せなければならなかった。それができたのは、フォクトとイラシュコだった。マテルはこの条件でもテレマークを入れられる特殊な飛行曲線で飛んで、メダルに届いた。

素晴らしい戦いだったと思う。

次までは長い。でも、その長いときを6回も過ごして、ようやくメダルへの道がみえてきたジャンパーだっている。まだまだ、これからだ。

(補遺)
伊藤有希の7位入賞は見事だった。特に2回目のジャンプは胸のすくような素晴らしいものだった。今大会で彼女は大きな自信を得て、自分の向かうべき方向性を見出したのではないだろうか。条件によっては高梨沙羅を脅かすレベルに到達しつつある。「日本の大型ジャンパー」として、「バーダル型」を目指して欲しい。
一方、山田優梨菜にとってはとても厳しい大会になった。高梨と同じく、軽量の彼女はここでは輝けない。どんどん自信を喪失するような場所だったと思う。これが尾を引かねばよいのだが。この経験を糧に、違う方向性を見出して、前を向いて進んで欲しいと切に願う。


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