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February 16, 2014

ストッコ、王者の力 葛西の執念を上回る ソチオリンピック ラージヒル 個人

表彰台に並んだ3人のゼッケンが48番、50番、49番だったことが、明快に、この戦いが「総合力」を問う戦いであったことを示している。ワールドカップ上位3人が表彰台で、ゼッケン46番の総合5位、フロイントが4位。そして、ゼッケン47番のシュレリーが7位に沈んだことは、彼の力が戻らなかったことを示している。

戦前の私の理性的な予想は、みんなが普通に飛んだ場合、葛西は残念ながらメダルには届かず4位か5位というものだった。葛西を最後の最後まで見くびっていたのだ。

ヴィリンゲン以降の流れを見ると、明らかに「調子カーブのクロスオーバー」が起こっていると思った。ストッコとフロイントがグーンと来て、葛西・プレウツが徐々に落ち始めていた。だから、トレーニングを見る限り、ラージの台はノーマルに「似てはいるが非なる」台で素直に力を反映しそうな感じだったので、今回は「金銀」はストッコとフロイントの争い、残りの銅メダルをプレウツ、葛西、ヴェリンガー、ハイベックで争うと言うのが見立てだった。

だが、葛西が予選をキャンセルするなど「順調でない」と聞いて、ひそかに、これはいけるのではないかとも思っていた。というのも、彼の好成績は何かのトラブルを抱えているときに集中している。どうも、順調すぎるとそれが力みにつながって、本番で力が出ないようなのだ。

彼は大倉山ワールドカップのときに、ポイントを稼いで上位3人に入りたい、そうすればメダルのチャンスがあると言っていた。この言葉・・・・深い。オリンピックでの展開を何百回も頭の中でシミュレートしていたのではないだろうか。さまざまなメダル獲得のプランが頭の中にあり、今回はその中の一つに当たった。一度心の中で体験してしまったことなら、それをトレースするのは比較的容易だったのではないだろうか。

46番のフロイントと上位3人の差は・・・・運だった。微妙な差だが、勝負を左右するのには充分な風の差があった。本当の勝負のとき、強い奴にはいい風が吹く。上位3人に入っているということは、一番強い奴が集まっているところで飛ぶ・・・いい風が来る可能性がそれだけアップする。そして、本当に負かさなければならない相手と同じ条件で飛ぶということにもつながる。上位3人に入っておきたいという言葉の裏には、風の運に左右されたくないという意味も含まれていて、つまり、風が同じなら勝負できるという凄い自信の言葉なのであった。

そして、葛西の金メダルプランは、完璧に実行された・・・・はずだった。誤算はストッコのとんでもない力だった。ラストジャンパーのプレッシャーを受け、失敗しながらあそこまで行くなんて。トップ・パフォーマンスに確実な差があったことを認めざるを得なかった。ただ、単に、強い。金メダルにふさわしい。

ヴェリンガーやハイベック、ディートハートあたりは完全に風にやられてしまった。風の有利不利がかなりある戦いだったこともまた事実。ただ、それがフロイント以外でメダルの行方を左右したわけではなかった。

そして・・・アマン。結局、魔法のスピードブーツを元の古いものに戻して本番に臨む決断をしたそうである。結果は23位。今回は魔法が入り込む余地の無い戦いだったということだろう。

日本勢は、9位伊東、10位清水、13位竹内・・・・みんな素晴らしいジャンプだった。特に伊東は風にあれだけ翻弄されながらよくこの順位にとどまったと思う。ちょっと・・これって団体いけるんとちゃう?数字上は、長野のときと同じぐらいのチーム力があるように思える。大エースもいるし、4人に穴がまったく無い。上位の力は拮抗している。流れでどうにでもなりそうな感じ。

月曜が楽しみだなぁ。こんなに楽しいオリンピックは久しぶりだ。

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Comments

いつも楽しく拝見しています。
私も葛西は5位くらい、良くて銅メダル、と冷静に(?)考えていました。
それが堂々の優勝争い。本当に夢のようで、興奮で眠れませんでした。

国別の状況もなんだか日本にチャンスがある状況になってきたと思います。
2週間前はスロベニアが金かなぁと思っていましたが、分からないもんですね。

団体戦が本当に楽しみです。

Posted by: 北きつね | February 16, 2014 at 07:40 AM

いつも拝見させていただいております。jump-watcherとして、長野以降の16年、寂しいかぎりでした。今日のLHで溜飲をさげたようにも思いますし、葛西選手の頑張りにはただただ敬意を表するのみです。さらに、清水選手という粋の良い若手も出てきたことを喜ばしく感じます。
次はLH団体、金を期待してしまいますけれども、何色でもよいからメダルを取ってほしいものです。

Posted by: おの | February 16, 2014 at 12:24 PM

確かに私も、葛西は銅メダル争いで、運が良ければ獲れるかなと思っていました。今回は飛距離でストッコ、プレヴツと互角以上に渡り合えたのが意外でした。それにしても2本目の飛型点、厳しかったですね。

団体は、スロベニア、ポーランド、ドイツが今のままであれば、メダル争いは十分にできそうですね。特にテぺシュ、ジラ、フライタークの不調はそうすぐには改善しそうもない気がします。まあ、他国の脱落を待たず、実力で勝負きる土俵に上がったことは確かですね! 

Posted by: こたろう | February 16, 2014 at 01:37 PM

みなさん、書き込みありがとうございます!
本当に団体戦、楽しみですね。選手たちが納得のできるジャンプができることを祈っています。そして・・・それができたときには結果がついてきそうなことに、わくわくします。メダルの色は他のチームとの兼ね合いや運で決まることでしょう。とにかく、みんながハッピーな試合になることを祈ります。無心で応援します!

Posted by: かずやん | February 16, 2014 at 04:40 PM

やや遅れてしまいましたが。本当に、夢のようなひとときでした。

自分でも失敗したとコメントしていましたが、ストッコにとってラージヒルの2本目は、ソチに来て初めて、真にライバルの脅威とラストジャンパーの重圧を感じながら飛んだジャンプだったのではないでしょうか。葛西のあのパフォーマンスがあったからこそ、ストッコもまた、真に王者たるにふさわしいパフォーマンスを引き出されたのだという気がします。

ではでは、団体戦、私も本当に楽しみですし、無心で応援する所存です。

Posted by: まちびと | February 17, 2014 at 12:13 PM

どうもです。
いよいよですね。こっちまで緊張してきました・・・・。

ストッコがサッツでちょっと失敗して、実はあの瞬間、葛西が勝ったと思いました。それが・・・あれでほぼ無風で130mを超えるなんて、本当に信じられません。

一部ではストッコと葛西の飛型点について不満の声があるようですが、審判員も人ですからあの状況では正常な判定は不可能です。こういうとき、審判はいままでストッコが築き上げてきた、彼のフォームに対する信頼感を元に点数を入れる。何十回と、繰り返し、しっかりとテレマークを入れてきたことがここで利いたんだと思っています。だからこそ、私は総合力でストッコが上回ったというふうに、納得しています。ストッコは強かった。

Posted by: かずやん | February 17, 2014 at 05:31 PM

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