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May 11, 2013

enchantMOONのこと

ずっと前から、iPadが欲しいと思っていた。今やネットを通じた情報の受け取りは必須のこととなり、そのためのデバイスとしてiPadは今も最強の存在であろう。miniじゃなくてフルサイズのRetinaディスプレイの搭載されている方だ。電子書籍リーダーも含めて7インチ級のデバイスは、私には中途半端な大きさに思える。目は悪くなる一方だろうから、あの大きさだと小さな文字をチマチマと拡大しながら読むことになっていくだろう。それでは閲覧性なんて、あったものじゃない。さらに言えば4インチディスプレイのスマートフォンは、基本的にコミュニケーションそのもの、つまり「つながり」のためのものだと思っている。それは私には必要ない。この点においては、情報をきちんと閲覧するにはそれなりの画面サイズが必要だと言っていたスティーブ・ジョブズに賛同する。

しかし、実は今だに買えないでいる。やはり、まだ10インチクラスは重い、重すぎる。第3世代iPadが出た時買う寸前までいったのだが、iPad2から後退した重さ-Retinaの無理さ-を最終的に許容できなかった。iPadの使いすぎで腕が上がらなくなることを「ゴリラ腕」と言うそうだが、私にはそれが容易に想像できた。第5世代iPadがIGZO液晶で500g以下になることに期待しているのだが・・・カスタムハードとソフトウェアの融合によって、汎用デバイスではまねのできないiPadの減量を成し遂げられるかどうかで、Appleという会社の今後が見えると思っている。Android勢に迎合したスペック競争に踏み込んで本質を見失うかどうかを見ている。

買えないでいる理由に、iPadでできそうで、やりたくて、でも無理で・・・ということがもう一つあった。それは紙に書いたメモ・アイディアの蓄積を検索だ。私は、仕事も含めて何かを考える時に紙に何かを書く必要のある人間だ。それは、何かを作り出すとき、ぼんやりとした頭の中のイメージ・・・・言語化されていないもの・・・を図として描き出すことによって、他人にも理解できるテキストに変換するという作業なのである。言ってみれば、アイディアの図形化-中間言語へ落とし込みである。

この紙に書かれた中間言語、は私には理解できるし、閲覧性・保存性は非常に高い。だが、それを書き止めたものを後から「あの時、何を考えたんだっけ?」と思って探し、見つけるということに今だかつて成功していない。手書きの手帳はモレスキンを含めていろいろ試したが、結局、ものぐさで一貫性のない私には、検索性を持つ状態にメモを整理するということができないのだ。その辺の紙にパッと書いたものの束が散乱するという状況になってしまう。

また、仕事柄、大量のデータが示されたプレゼンテーションの情報をグラフなどを含めて書き留める必要があるのだが、それを後から検索することも、ほぼ成功していない。何ヶ月か経つと、誰が発表したことは覚えているが、いつどこでかは良くわからないという状況になる。こうなるともうお手上げである。

記憶力の低下とともに、この問題は仕事上においても、大きな問題となりつつある。

で・・・iPadが出て、7notesが出て、これなら図とテキストの混在したメモの蓄積と検索ができるかも・・・と思ったのだが、そうは問屋が卸さなかった。あの、シリコンシートの向こう側に書くようなスタイラスペンの感覚に、一瞬以上は耐えられなかった。一方、紙に書いたものを記録するペン型のデバイスはコンセプト的には良さそうなんだが、これも結局は中途半端な感じがして、コンピューターを使っているのにその強みが限定的にしか発揮できず、情報が整理されないまま溜めっぱなしになるという危険性がプンプンしていた・・・・。

結局、iPadを含めたタブレットは情報を受け取る、パッシヴな行為を助けるデバイスであって、情報の創造と発信といういわゆるアクティブな行為においては、コミュニケーションツール以上のものを提供するようにできていないのだという結論に至った。いや、初めからジョブズはそう言っていたし、そのコンセプトが揺るがないのなら、今後もこれが大きく変わることは無い。サムソンのGalaxy Note 10.1が出た時、おっ、と思ったが、そのスタイラスペンもコンセプト的にはコミュニケーション・ツールの一つでしかなく、既存のタブレットの枠を超えたものではなかった。

アクティヴとハッシヴの両方を行うということでは、WindowsやAndroid系OSを搭載したコンバーチブル型ノートやサーフェイスと言う手もある。しかし、これらはキーボードを入力デバイスとしてキープすることを目指した形であり、手書きメモの保存という目的にそぐわないことは明白だった。

うーむ、無理なことをしようとしているのか・・・・とあきらめ気分だった。しょうがない、他の人がやっているようにノートを持ち歩くしかない。Thinkpad Twistを買うかと思いながら何気なくPCウォッチを見ていたら・・・

同じようなことを考えている人たちが日本にいたのであった。
enchantMOON
何も考えず、注文してしまった。

本当に使えるかどうかは微妙な所だ。大きさもちょっと微妙に小さいと思うし、デモで見る限りペンの描画速度ももう一歩頑張って欲しい感じ。どれくらい感覚面でのパーソナライズを許容してくれるかが鍵だと思う。でも、このコンセプトそのものがうれしかった。そして、わくわくした。そのわくわく感は、昔、初めてパソコンを買った時の感覚を思い出させた。それだけでも、買う価値がある。いやもう既に、価格に見合ったものを私に与えてくれていると思っている。

最終的には、今のiPad程度の機能をenchantmoonが取り込むか(マルチコア化・高解像度化・シェル切り替えなどで)、他のタブレットが進化してenchantmoonぐらいのことが朝飯前にできるようになり、一つのデバイスですべてが完結するのが理想。その方向に向う流れが生まれたことを素直に喜び、応援したい。その流れに乗って漕ぎ出してみる日のことをわくわくしながら待っている。

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