« シュレリー、オーストリアを引っ張る 沙羅、サラに完敗 オスロ | Main | 2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (1/3) »

March 24, 2013

ノルウェーのチーム力がもたらしたミラクル プラニッツア

3月も終わりだというのに、マイナスの気温とはどういうことなんだろう??日は高く明るいのに寒風が吹きすさぶ。この感じ、子供の頃にひーばあちゃんと散歩した、冬休みの播州を思い出す・・・・・。

さて、長い長いスキージャンプのシーズンがようやく終わりを告げた。いつもはお祭り気分のプラニッツァのフライングだが、最後まであきらめていない奴らがいた。シュテッケルとノルウェーチーム。

金曜の個人戦から、ノルウェーのジャンパーたちは悲壮な感じだった。それが、プラニツァのフライングという場においてマイナスに働いた感じがした。ここのフライングの台は、以前はリスキーに行くだけ行った者勝ちみたいなジャンプ台だったが、スーツが細くなった今年は飛び出しの方向性にとてもセンシティブな場になっていた。上に行き過ぎても、踏み外して高さが取れなくても全然だめ・・・。少しの力みが如実に結果に現われてしまうのだった。予選トップだったヤコブセンは打倒シュレリーに燃えていたのだろう。それなのに1回目に失敗し、そのふがいなさに激怒していた。そして、2回目・・・・アドレナリン全開のジャンプはものすごい高さで行ったが、ギリギリまで伸ばそうとして、しかも体勢があやしいのにテレマークを入れに行き転倒・・・恐らく降りたときの衝撃で既に膝を痛めていたのだろう。立ち上がれず。右副側靭帯断裂の重症で、すぐに手術を受けたとのこと・・・。

結局シュレリーに勝たれ、ノルウェーはステヤネンの7位が最高で、しかもエースを欠いた。これで終わったと思うのが普通だ。

しかし、終わっていなかった。いや、エースの意思はチームに残ったのだ、としか思えない。土曜のチーム戦、ノルウェーは方向性を掴んだヴェルタが飛び出し、ヤコブセンの代役となったレネが何とか踏ん張り、風に翻弄されながらもバーダルが繋ぎ、ステヤネンがしっかりと締める。そういう戦いでなんとかオーストリアを抑えて50点を詰めた。

そして、不安定な風の中行われた、今日の個人戦。私は、昨日の団体戦でトップの成績だった葛西の勝利を夢見ていた。ポイントの少ない彼は早い時間に飛ぶ。風の状況しだいで勝てるはずだ、お願い神様と祈っていた。しかし・・・その葛西は試技で転倒し、しかもスキーが壊れたとのことだった(追記:なんと、古傷の靭帯を再び痛めてしまい、痛み止めを打って出たとのこと。しかも1回目はまだそれが半分しか効いてなかっただって?)。なんでそんなことがこういうときに起こんねん、いっつも!そんな中で迎えた1回目、あのひどい風でよく207mまで行ったものである。実は飛べるだけでも凄いのに。しかし、勝利の夢はほぼ潰えたと思えた。
しかし、葛西の2回目はまさにその潰えかけた夢をかすかな希望に変えてくれるものだった。その217.5mの大アーチは、41歳という年齢を考えずとも信じられないパフォーマンスだった。直後のロイツルやステヤネンがそれほど大きな失敗をしていないのに200mに届かないのをみて、「もしかしたら・・・」と思った。が・・・次のヴェルタがその夢を打ち砕いた。スムースで美しいフライトだった。スイスの審判が20点を出した気持ちがわかる。葛西と飛距離は同じだが、飛型点で大きく差をつけてトップに立つ。あとはもうオーストリアもノルウェーも誰もいない。シュレリーは1回目にひどい風に当たり、2回目は伸ばしたものの10位以下がほぼ確定していたため、もしヴェルタが最終的に2位に入れば団体のポイントで上回ることができるのだった。

5位のフロイント、4位のストッコ、3位のノイマイヤーも伸びず。条件はあまり変わっていないのだから、いかに葛西とヴェルタのフライトが凄かったかがわかる。

しかし、1回目2位、1位のスロヴェニア勢は1回目の貯金が10点以上あり、地の利があり、しかも1人じゃない。2位プレウツのフライトは、彼らしい高い飛行曲線から伸ばして212.5m、完璧なテレマークで降りたからこれでノルウェーの夢も潰えた・・・と思ったら、なんと1.2点足らず。狂喜乱舞するノルウェーチーム。ウィンドファクターの差が3点「も」あったのだった。

1位のテペシュは彼らしいサッツでの突込みから、ある意味1人だけ「去年のフライト」をして214mまで伸ばし、1回目の貯金を利して逃げ切った。こちらもお祭り騒ぎ。ジャッジタワーでは感無量の表情の父テペシュが、地上の喧騒を見守っていた。

最終的なオーストリアとノルウェーの差はたったの6点だった。シュレリーのような絶対的エースのいないノルウェーが上回ったのは、チーム力だったとしか言いようがない。シュテッケルの、チームを鼓舞しまとめる力は凄いと思う。逆に、この逆転劇は苦しかった王者オーストリア・チームを象徴する出来事だった。一つの時代の終わりになるのだろうか?

それにしても、今大会の葛西のパフォーマンスは信じられない。これで表彰台に上がれないのも彼らしいといえばそうなのだが、少なくともこの競技において「年齢は関係ない」という強烈なメッセージとなった。足を固めるというシュテッケルシューのアイディアを取り込み、20年来の彼の懸案だったサッツ時のスキーの下がりを完全に抑えることに成功したことが、今回の強烈なパフォーマンスに繋がったのだろう。怪我の影響もあり完璧じゃない状況でこれだけできたことは、自信となるはず。ファンとしては来年以降も楽しみである。

最後まで手に汗握る戦いをありがとう。
ジャンパーの皆様、とりあえずはゆっくりと痛んだ体と心を癒してください。
今季の回顧はまたイースター休暇にでも。

|

« シュレリー、オーストリアを引っ張る 沙羅、サラに完敗 オスロ | Main | 2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (1/3) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/57027413

Listed below are links to weblogs that reference ノルウェーのチーム力がもたらしたミラクル プラニッツア:

« シュレリー、オーストリアを引っ張る 沙羅、サラに完敗 オスロ | Main | 2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (1/3) »