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March 31, 2013

2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (3/3)

からの続き)

スキージャンプ女子の課題

今季はスキージャンプ女子のワールドカップが大きく取り上げられるようになったこともトピックの一つである。高梨沙羅の活躍によって日本でも大きく報道され、男子とはまた違う魅力をもってファンを獲得しつつあると思う。高梨の好感度がイチローや浅田真央を上回りすべてのアスリートでトップになったというニュースはびっくりした。来季のオリンピックで彼女があまりプレッシャーを受けることのないように祈っているが・・・。

ただ、競技そのものをよく見るとまだ苦しい面がある。ものすごく厳しく言えば、ワールドカップレベルに達しているジャンパーは数えるほどしかいないということになるだろう。歴史が浅く、競技人口が少ないのだから当然なのだが。競技レベルの底上げとよりいっそうの普及が求められている。そのためにも、競技環境の整備が必要だと思う。日本では、高梨以外のジャンパーや指導者に対しても、競技に集中するためのサポート、ぶっちゃけた話、最低限の金銭的援助が必要だと思う。おそらく選手にとって必要なのは生きていくのに必要最低限のサポートだ。私はSクラスは必要なく、年数十万円レベルでの幅広いサポートの方が必要とされていると個人的には思っている。

ちょっと気にしていること

今季は風などの状況もそれなりに良かったと思うし、飛距離が抑えられたことで試合も安定していたと思う。それなのに着地後の転倒事故と、それに伴う膝の負傷が多かったように思う。浮力減少により飛行曲線が高くなったことは原因の一つだと思うが、それだけなのだろうか?

このあたりは選手ならすぐに答えられることなのだと思うのだが、新しいビンディング、特にポストの曲がりが大きく足を固めた状態では着地の際にスキーを地面と平行にするのが難しいのではないか?そして降りるときに膝やすねへの負担が大きいのではないか?またビンディングが外れにくいようにしてあって、その結果として変な体勢で降りたときに膝を痛めるケースが多くなっているのではないか?と思うのだ。スキーを履いていない状態で歩いているジャンパーのぎこちなさや、ランディングで横に大きく脚を開くジャンパーが多いことなどは、それらを示唆する状況証拠である。

アニャ・テペシュはオスロでの事故で3本の靭帯を損傷して選手生命の危機に瀕しているが、このジャンプにおいて、彼女は転倒して靭帯を痛めたのではなく、降りたときに靭帯を切ってしまって、それで立てなくて転倒しているのだそうである。これが偶然の出来事なのか、それとも起こるべくして起こってしまったことなのか・・・こういうことが度々起こるのではないかと危惧している。ビンディングの安全性についての議論がなされるべきではないだろうか?

来季に向けて

振り返ってみて、改めて今季のスキージャンプは良かったと思う。基本的には来季も今季のような熱い戦いが続いて、オリンピックでは新たなドラマが生まれることを期待できるのではないだろうか。日本チームもなんとか勝負に入っていけていると思うし、ポーランドとスロヴェニアの進境は著しいし、おそらくオーストリアも黙ってはいない。個人ではアマンがどうするか興味津々である。彼はオリンピック・シーズンには何かやるからね。

あと、オリンピック自国開催で盛り上がるであろうロシア、そしてアホネンとオリの復帰で捲土重来を期すフィンランドが勝負に加わってくると、さらに争いは混沌とする。とにかく、できるかぎり多くの選手たちが良いコンディションで来季の開幕を迎えられることを祈っている。

(おわり)

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Comments

いつも拝見させて頂いております。
来年こそは、久々に興奮した冬のオリンピックをみたいと思っています。
日本での報道は小さいのですが、私と同郷の葛西選手が未だに第一線で活躍していると言うことは、大変なことだと思います。ヨーロッパでは、どのように報道されているのでしょうか?
今度こそ、彼にオリンピック個人のメダルを手にしてもらいたいと思っています。
来年も詳しい解説を楽しみにしています。宜しくお願いします。
下川生まれのジャンプファンより

Posted by: Born in Shimokawa | April 08, 2013 at 06:08 PM

ありがとうございます。
葛西選手のドイツでの評価と報道についてですが、感覚的に言えば「全現役スキージャンパーの中でもっとも尊敬を受けているジャンパーである」と言って差し支えないと思います。日本人という枠を完全に超えた存在です。プラニツァでの活躍は「信じられない、凄い」「どうやってモチベーションを保つのか」「新しい技術への貪欲な挑戦」といった感じで報道されています。

ただジャンプ競技そのものはドイツにおいてもある意味「ニッチ」な存在なので、平地の一般の人がカサイと聞いて知っているかどうかといえば、聞いたことあるぐらいのものでしょうけど・・・。アマンやマリシュの名前を知っている人が東京にどれぐらいいるかというのに似ているかもしれません。

Posted by: かずやん | April 08, 2013 at 08:19 PM

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