« ノルウェーのチーム力がもたらしたミラクル プラニッツア | Main | 2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (2/3) »

March 29, 2013

2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (1/3)

今季のスキージャンプを振り返ってまず思いつくこととは?と問われて、迷わずに言えることが一つある。それは「面白かった!」ということ。

では、何故こんなに面白かったんだろう?その答えは簡単だ。とにかく、接戦が多かったということなのだ。誰が勝つかわからない、降りた瞬間にもまだわからないような試合が続いた。

そして、最後の最後にたった6点差での国別対抗ポイントの逆転劇が起こった。それも、その試合において、たった1.2点のポイント差で。これは偶然だろうか?

この疑問を掘り下げていくことで、いくつか見えたきたものがあった。私は、今季のこの絶妙な(いろんな意味での)バランスをもたらした二つの必然性があったと思っている。一つは、ルールがジャンプの飛距離差を抑えることに成功したこと。もう一つは、ビンディング技術の革新とグローバル化にともない、選手間の差が小さくなったことである。

ピチピチスーツのもたらしたもの

今季からスーツのレギュレーションが大きく変わったことは周知の通り。スーツは体に密着するようカットされることになった。シーズン序盤は運用面ではいろいろと問題があり、どのあたりまでの遊びが許容されるのかで混乱があったようだが、後半はそれも安定していった。

その結果スーツの発生する浮力は劇的に減少したと思う。それが良くわかるのがフライングにおける選手の飛行曲線の変化だ。ジャンプ後半の落下角度が深くなり、以前ならランディングバーンと平行に飛べていたような選手(いわゆるフリーガー)であってもパタンと落ちた。BMIルールの度重なる厳格化によって以前からスキーは短くなっていたから、言い方は悪いが、すべての選手が羽を切られた状態に陥ったのである。

落下角度が深くなると、必然的にジャンプ間の飛距離差が少なくなる。ものすごくデフォルメして描けば、下の図のようなことである。


Hikyori_2


浅すぎる落下角度はジャンプ間の飛距離差を大きくし、飛び出し速度を減少させて試合を不安定にする。これはV字の発明以来ずっと続いていた問題であり、度重なるルール変更はそれに対処するためのものだった。しかし、ルール変更と技術革新による浮力増加のいたちごっこは常に技術が勝ってきたため、本質的な改善には至らなかった。今季、初めてFISは技術に勝って、浮力の本質的削減に成功したのだ。

その結果、ジャンプは風の影響を受けにくくなり、ジャンプ間の差が少なくなり、コンディション・コンペンセーション・ルールによる公平化も上手く働くようになった。接戦が多くなるのは当然の帰結である。

続く


|

« ノルウェーのチーム力がもたらしたミラクル プラニッツア | Main | 2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (2/3) »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/57060919

Listed below are links to weblogs that reference 2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (1/3):

« ノルウェーのチーム力がもたらしたミラクル プラニッツア | Main | 2012-13シーズン回顧 スキージャンプ、新しい時代の始まり (2/3) »