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February 24, 2013

勝負を分けた、プレダッツオNHの二面性 世界選手権ノーマルヒル大会

また寒の戻りがあった。今日の朝、外は雪景色に変わっていた。春に向けて緩み始めた体に寒さが堪える。周りでも体調を崩している人が多い。

男女の個人戦を見て、ここのNHはフラットでけっこうトリッキーな台だという認識を新たにした。NHだからといってサッツでの上へのモーメントが重要かといわれれば、そういうわけでもないのである。

いつもは追い風ばかりのプレダッツォの台なのだが、今週は全体としていい向かい風が吹いていた。そのためか、今回は特に追い風のときと向かい風のときにまったく台の性質が変わってしまうことが気になった。追い風のときは、いわゆるNH向きのアスリート系パワージャンパーが台頭し、向かい風のときは逆に前へのモーメントを重視して低い飛行曲線を採るジャンパーが台頭するのである。

土曜の男子の個人戦はそれが顕著に見えた試合だった。1回目は全体として向かい風、2回目は全体として追い風だったからだ。例えば、ストッコ、ヒルデ、クラニェッツあたりが1回目が良くて2回目伸びなかった一方、モルギーやヴァンクが2回目に大きく順位を上げたことがそれを端的にあらわしていた。結果、総合力と悪条件への対応力を問われる大会となり、その面では最高の存在であるバーダルが勝ったのは当然なのである。日本勢の7位、15位、21位という成績は順当というか、やるべきことはきちんとやったと評価されるべき成績だと思う。特に、3人とも1回目と2回目の順位が変わらなかったことは、総合力のアップ、特に伊東のアスリートジャンパーへの脱皮を示すものだと高く評価している。2回目に進めなかった葛西は・・・あれはないだろうと叫びたくなるぐらいの不運。風が回るのは仕方ないにせよ、その上で寒い中待たされるわ、ゲートが上がるわで(ゲートが上がるのは基本的にはマイナスでしかない)、運命を受け入れるしかないという心境でのジャンプだったに違いない。それが、ここ一番で起こってしまうのが葛西・・・・なんでや!ソチにおいて、今までの不運を全部返してもらう瞬間があることを願って止まない。

日本人としては、もし、男子のような試合展開が金曜の女子の方にあったなら・・・・・と思ってしまう。試合を通じてずっと向かい風が吹くとは・・・しかもこの台では向かい風を必要とするサラ・ヘンドリクソンに2回とも最高レベルの向かい風が吹くとは・・・・。高梨のジャンプは2回ともほぼパーフェクトで何をこれ以上できるというものではない。ただ風の条件が2回とも間違いなくヘンドリクソンより悪かった。着地の差と言う事はできるけど、これはそもそも高梨とヘンドリクソンの飛行曲線が違うことが本質的な差としてあるのであって、技術の差とは言えない。HSに迫る飛距離において、高梨の高さからの57点の着地は非常に高い技術と筋力を要求されるのに比して、低いヘンドリクソンはそれが比較的容易なのである。ゲートを下げたら良かったという見方もあるが、ここの台はゲートの変更に時間がかかるのでリスクがある。男子のシュリーレンツァウアーは2回ともゲートを下げたが、下げている間にいい風が消えてしまってバーダルを捕らえきることができなかった。結局は全部、結果論だ。とにかく、今回はヘンドリクソンが勝つ可能性のある唯一の条件が揃った所で、ヘンドリクソンはやるべきことをちゃんとしたということだ。彼女は能力だけでなく勝負勘を兼ね備えた凄いジャンパーだと思う。高梨はライバルに恵まれた。いい試合だった。

今回、高梨が注目されたことでジャンプの報道を多く目にすることになった。しかし、高梨がヘンドリクソンに負けた必然性に踏み込んだ報道は皆無だった。せっかくの、ジャンプの面白さを伝えるチャンスだったと言うのに残念で仕方がなかった。

ジャンプは大会の条件とジャンパーの特性の相性が明暗を分けるスポーツだ。そこに必然性と偶然性が絡み合ったドラマが生まれる。そういう意味ではモータースポーツF1と同質のものだ。F1の報道においては、路面温度とタイヤの関係、コース形態と車およびドライバーの特性の相性などが複雑に絡み合うさまがちゃんと描かれる。ジャンプの報道もそうあって欲しいと切に願っている。

さあ、今日はジャンプの華である混合団体だ。どこが勝つかわからない。どのチームにも弱点はあり、条件や流れしだいでどうにでもなりそうな感じだ。もちろん、日本にもメダルの大きなチャンスがある。存在価値が失われつつあったノーマルの団体を混合でやるというアイディアは本当に素晴らしい。今後、女子ジャンプの層が厚くなり別に団体戦が行われるようになったとしても、これは残して欲しいと思う。

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