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January 06, 2013

シュレリー、絶対王者へ ジャンプ週間第4戦 ビショフスホーフェン

ずっと吹いていた追い風が止まった。ビショフの風神も固唾を呑んで勝負に見入ったかのようだ。
差は11点。ヤコブセンは覚悟を決めた男の、ふっと突き抜けたような顔をしていた。
120%、リスキーな乾坤一擲のサッツだった。139m。テレマークが決まらなかったから得点は伸びなかったが、上にいる奴にプレッシャーをかけるという意味では充分なジャンプだった。
雨がしとしと振り、時おり追い風が吹く。シュレリーでも、ちょっと早く立ったら風次第では130mに届かない。しかし、奴のサッツは、アドレナリン全開のものすごいゲインだった。まるでコフラーが乗り移ったかのような、風なんて関係ないジャンプだった。勝つという意思そのもの発露だった。137.5m、完璧なテレマーク。影を踏ませない完全勝利だった。

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シュリーレンツァウアーはこれまで、闘争心がコントロールしきれずに、勝負どころでポカをするという感じがあった。しかし、今季のジャンプ週間で彼はそれを競技力へと昇華することができていた。8本、1本も大きな失敗しなかった。ヤコブセンはピーク・パフォーマンスでは1枚上手だったが、2本失敗した。その差が出た。今大会を通じて、シュレリーは絶対王者への階段をまた一歩登ったと思う。

今日の1回目、予選で失敗したシュレリーは早い時間にヤコブセンよりもずっといい条件で飛ぶことができた。これも大きな勝負の分かれ目だったように思う。1回目でヤコブセンの方が何点かでも上にいたら、また違っていたかもしれない。とはいえ、今日はほんと、2人の勝負を堪能した。素晴らしい戦いだった。

3位に入ったクラフト、あそこで完璧なジャンプができるとは恐れ入りました。末恐ろしい・・・・・パワーと技術を併せ持っていて体のバランスもいいので、ロイツルのように長く活躍できそう。

もう一人・・・マルティン・シュミットは4大会すべてで2回目に進み、ジャンプ週間総合で10位に入った。ラッキールーザーに拾われるのは、運がないのにそれを実力でカバーしたという証。素晴らしいと思う。まだまだできる、そう思わせるのに充分なパフォーマンスだった。

今日は葛西が2回目に進んでポイントを獲得した。波に乗り遅れた形の日本チームの中でもちゃんと最低限の結果は出すのはさすが。もう、こうなったらどんな最年長記録も最多記録も全部塗り替えていってください。あと、伊東の最後のジャンプは少し、何かを思い出した感じがあった。たぶん、大丈夫だ。

今大会を通じて思ったことは、全体のレベルが高いということだ。5位と20位の差が5点ぐらいしかないということがよくあった。だから、ほんのちょっとした失敗、ほんのちょっとしたマテリアルによるサポートで大きく順位が替わってしまう。相当に強いジャンパーでも、簡単には2回目に進めない。モルギー、コフラー、フロイント、アマン・・・・彼らですら、KOされた。だからこそ、マルティン・シュミットはフロックじゃない。今のレベルでは、ギリギリのジャンパーは絶対4回残れない。パフォーマンスに余裕があるから残れるのである。

そんな中、日本チームは厳しい戦いを強いられていた。しかし、差は紙一重。きちんと調整して、新しいマテリアルを試して後半戦に臨めば、ちゃんと戦えると思う。あんまり悲観的になる必要はない。

やっぱりジャンプ週間は面白い。ありがとう。皆様、まずは戦いに疲れた体を休めてください。

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Comments

ジャンプ週間のレポート、お疲れ様でした。
ビショフスホーフェンの試合は見られなかったのですが、最終戦もシュリーレンツァウアーとヤコブセンのパフォーマンスは凄まじかったようですね。

個人的に、昨年一昨年のシュリーレンツァウアーは、ビッグタイトルを取りはしたものの、自身のべらぼうなポテンシャルとオーストリアチームの一員であることによる有形無形の有利さに助けられて、技術面精神面が万全でないのに勝ってしまった、という印象が拭えませんでした。しかし、今年は本当に、文句のつけようのない見事なパフォーマンスだったと思います。やはり、ヤコブセンという強力なライバルの存在も、互いに力を引き出し合う大きな意味があったのでしょうね。

まあ、今年の安定した試合進行を見ていると、昨年の伊東にせめて今年なみの天候とコーチ判断でのゲート下げがあったならば……、なんてこともつい思ってしまいましたが、言っても仕方ないことなので、後半戦での日本チームのコンディション上昇に期待したいと思います。

Posted by: まちびと | January 09, 2013 at 02:04 PM

そうですね、日本チームも世界選手権までには流れをつかんで欲しいですね。何かスーツ関係で問題があったみたいですしね・・・。

今回のシュレリーの集中力は鬼気迫るものがありました。流れは完全にノルウェーに行っていた中で、よく勝ったと思います。一皮むけたと思いました。

表面上は穏やかで安定している見えましたが、現地の天候は今年もそうとうに酷かったと思いますよ。風・雨・高温・・・。特にビショフの雨は凄かった。すべての台のアプローチに最新型の設備があって雪の確保が万全だったからなんとか、大きな事故もなく終わりました。関係者の努力に感謝ですね。

Posted by: かずやん | January 10, 2013 at 08:08 PM

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