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November 04, 2012

Arkadiaの相手選び 10

からの続き)

二日後。仕事で遅れ焦りながらHifi Aterierにたどり着いた。Creekのコンビが既にセットされていた。CreekのDestiny 2 CD Playerはオーソドックスなトレイタイプ。ボタンなどの質感は価格相応だが、トレイの開閉と操作の反応はキビキビしていてとても気持ちいい。この点は気に入った。青いディスプレー表示もクールだ。

まず、この前と同じように「ます」をかける。あぁ、これでいい、と思わせる弦の音とバランス。しなやかで柔らかく、スーッと上に伸びている。バスの音もかなり下まで感じられる。ブレンデルのピアノがコロコロと愛らしく鳴る。ベートーヴェンも、ヒステリックになりそうな所が上手く丸め込まれ、音楽に浸ることを妨げない。楽器間のバランスもいい。交響曲も箱庭的ながら下ざさえもしっかりしていて、また、シューベルトの闇の部分もちゃんと聞かせる。ジャズトリオも小ぶりながらも質感高く旋律が歌う。ただジャズのスイング感ではNaimに及ばないから、これが大事な人には駄目だろう。村上ゆきのボーカルもしっとりと、少し遠いながらも発音も適切で違和感がない。うーん、自分にはこれでいいかも、と思った矢先・・・・あれっ?・・・ピアノってこんな音だったっけ?ピアノの高い音をペダルを踏まないで打ったときの「カキン」という音が・・・・丸いのだった。それを確かめるために、引き続き「花紀行」を聴く。やはり丸い。音が立たないように感じられる。ブレンデルのピアノをもう一度よく聴いてみると、やっぱり本当のピアノの音のアタックが出ていないように感じられるのだった。

そこでそろそろアンプをOctaveに替えてもらおうと思っていたらTitzerさんに仕事関係の来客があり、すぐ戻るからと言って彼は出て行ってしまった。取り残された私はCreekコンビでさらにいろいろ持ってきていたディスクを聴いた。どのディスクもバランスよく、いくぶん控えめに、箱庭的に鳴った。その感じを比喩的に表現すれば「12号ぐらいのキャンバスに描かれた、素晴らしい構図の緻密で写実的な絵画を客観的に鑑賞している感じ」である。決して写真ではないが、印象派のようなぼやけた感じはない。そして押し付けがましさや過度な演出が一切ない。Creekはある枠内できっちりとバランスよくほんの少しデフォルメして音楽を提示してくれる。これは一つの世界だ。そして質感・バランスのレベルは非常に高い。ただ・・・・その美点が欠点にもなる。弦の音を綺麗にまとめることと、シンバルやピアノの音が寝てしまうことはトレードオフの関係にあるのかもしれない。Naimという非常にわかりやすい対照を直前に聞いているから、わかることなのだ。たぶん、これだけを初めに聞いていたら、これでOKとなったと思う(逆にNaimのオーディオ的能力の高さをようやく知った)。

30分ほどしてようやくTitzerさんは帰ってきた。Creekの印象を伝えると、“アタックの部分は最後のファインチューニングの領域だ。そこは聴く場所に設置してからケーブルなどで調整できる”と言うのだが。“替えるか”「ビッテ」。彼はこの前と同じように、床で通電されていた重いV70SEを「よぅ!」と掛け声を発しながら持ち上げた。申し訳ない。

続く

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