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September 21, 2012

音の泉 Musikquelle

オーディオを次のステップに進めたいと思いながらも、ずーーーっとそのままにしていた。自分の重い腰と優柔不断には我ながら呆れる。しかし、そうであるのにはそれなりに重い理由が一つならずある。金が無いというのは深刻ですべての面に陰を落としているとは思うが、おそらくそれは本質的な問題ではない。

一つは、オーディオという趣味は地に足がついていていないとできないということ。その、地に足がついている感覚を心の底から実感することは、今、かなり難しくなっていると思う。私は本格的なオーディオが普通の人々を離れ、金持ちの道楽と化している理由が本質的にそこにあると思っている。人々は音楽を求めてはいるが、それにのめりこむことを許されていないのだ。明日、すべてが崩れてしまうかもしれないと思っている人が、100万円以上する持ち運べないオーディオセットを買うだろうか。iPhoneが供給する音になら、のめりこむことはないから大丈夫というわけだ。そういう思いを心の底に抱きながらオーディオ誌に登場するオーディオファイルの人たちを見ると、その一般感覚からの乖離ぶりがアホらしく思えてくる。そうか、だから何百万円もするものばかりが華々しく登場して、市井の人が買えるレベルの値段では本物を作ることができなくなっているのだと気づく。わが身を思えば、ふるさとから遠く離れた場所に住んでいる限り、その、地に足がついた感覚を得ることはとてつもなく難しいことに思える。

次にオーディオ的な面では、何をメインのソースにするかで迷っていた。ドイツではソースのことをQuelle、泉と言う。この言い方は好きだ。そのMusikquelleをディスクにするのかファイルにするのか。ディスクではCDかSACDかBDか、ファイルではUSBかストリームか。そしてもう一つ、アナログ(レコード)もある。どないせえちゅうねん、と頭を抱えていたのだが、そのことについては、今回のステレオサウンドの特集は大いに参考になった。え、あれが参考になったって?あんたどうかしてると思った人は、おそらく私と同じものあの特集から読み取った人である。そう、この件について誰もこれといった核を示せない混沌とした状況であるということがよーくわかったということなのだ。

そして、その混沌に便乗し盛んにいろんな媒体でいろんなファイル形式で音楽を売っている。おそらく、同じ音楽をアナログ、CD、SACD、SHM-CD、ハイレゾFLAC、DSDと買わされている人がたくさんいる。高価なSACDプレーヤーとストリームプレーヤーとUSBDACを全部持って比べなさい、と言うわけである。できたらアナログも始めなさい、ってね。

決めた。向こう5年はCD一本で行く。狂想曲に乗せられて散財するのはあほらしい。LAN端子とUSB端子とDSPがプリアンプに標準的に搭載され、ハイレゾPCMとDSD音源を手軽に入手し再生できるようになるまではファイルオーディオをしない。高いリマスターSACDを買うなら、その金で少しでもいいCDプレーヤーを買い、世に山ほど、信じられない安価で売られているCDたちからいい音を救い出してあげよう。私一人が飲める水の量は限られている。私のこのささやかな乾きを、この30年で世に出た万余のCDたちから湧き出す水で満たせないはずはない。

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