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March 31, 2012

シーズン回顧の補遺

回顧するにあたり一応いろいろなソースを読み返したりしてみたのだけど、ビンディングの位置変更が見送られた件については確認が取れなかった。公式なステートメントや信頼できるソースでこの件について発表されている情報を探しているのだけど。

いくつか、書きそびれたことがあるのでここにまとめておこう。

シュリーレンツァウアーは最後まで安定しなかった。彼はおそらくまだ体が固まっていないのだろうと思う。その結果として、今回のBMIのことでいろいろとバランスが定まらなかったのだろう。成長と共に彼のBMIは高まりつつあるはずであり、基本的には今季のこの変更は彼にとって有利に働くと思っているのだが。彼だけでなく今季は(特にシーズン前から序盤)天候不順のあおりで多くのジャンパーが調整不足に陥っていたと思われる。「感覚的」なジャンパーと「練習で固める」ジャンパーがいるとすれば、後者は特に今回のいろいろな変化に対応しづらかったはずだ。おそらく彼は後者なのだろう。来季は強いヤツが戻ってくるはずだ。そうでないと面白くない。

日本チームでは伊東だけでなく、竹内も躍進した。一方で栃本や湯本など、絶不調に陥ったジャンパーがいる。飛行曲線、BMI、器用さ・・・・こういう点からこの差を見れば、「クラニェッツ、バーダル」と「モルギー、アマン」の図式は「伊東、竹内」と「栃本、湯本」の図式にそのまま当てはめることができると思う。流れから言えば来季は伊藤謙司郎あたりが出てくるのではないかと予想している。葛西は腰痛の影響が大きかった。彼は身体能力の高さを武器にする万能選手だから、体さえ大丈夫ならどんな変化にも対応するだろう。だからこそ、ここまで続けられてきているのだ。生けるレジェンド、NORI KASAIは不滅であって欲しいと皆が思っている。

そういえば、ドイツチームについては何もコメントしていなかった。ドイツはフロイント、フライターク、ヴァンクの3人の才能が開花しつつあり、未来は明るい。彼らはもうすぐにでもモルギー、コフラー、コッホのレベル(タイプもこの3人に似ている)に到達しそうである。特にフロイントのポテンシャルは現役ジャンパーの中でシュリーレンツァウアーの次、2番目だと私は勝手に思っていて(つまりアマンや伊東よりも上だと・・)、今季、彼が総合優勝争いに加われなかったことを不満に思っているほどなのだ。来季はシュスターの手腕が問われる年になると思っている。

フィンランドは本当にどん底だった。マッチ・ハウタマキの引退は残念だけど仕方がないんじゃないかな。数年前からモチベーションが失われていた。彼は能力的にはアホネンに匹敵するものがあった。ノルディックトーナメントを4連勝したときの、あの絶対的なパフォーマンスは記憶に新しい。あと、ティールに「典型的フィンランドランディング」と揶揄され続けた、失敗したときの気の抜けたランディングもね(これは、ハリ・オリとセットで)。歴史に名を残す偉大なジャンパーの一人だと評価している。アホネンと共に、フィンランドの黄金時代を彩った選手として語り継がれるであろう。彼の引退と共に、フィンランド・チームは「グレート・リセット」を敢行しなくてはならない。

コンディション・コンペンセーション・ルールの運用はひとまずこなれてきたのだが、問題は山積みとなっている。特に古い台における低速条件ではあまりに風や飛び出し速度の影響が大きすぎて不条理感が大きい。また、そういう状況でゲートを上げざるを得なくなった時、ゲートファクターのマイナスが大きすぎて話にならないということが一度ならずあった。このあたりの改善には台のプロフィール規定の変更が必要なのだろうだが、昨今のヨーロッパの経済状況では台を改修する予算のある場所は多くなく(だから古いままなのだ)、そうなる見込みはない。ゲートを上げるときと下げるときにファクターに違いを与えるとか、横風対策としてウインドファクターに風のベクトルを組み込むとか、そういう運用面での最適化で改善していくよりほかないだろう。

あと、一つ懸念していることがある。BMIレギュレーションにより選手の画一化が進んでいるように感じるのだ。どんな補正表を使ったところで、あるルール上では物理的に最適なBMIは厳然とあるわけで、そうなるとみんなそのBMIにあわせていくようになる。同じBMIの選手なら、ある一つの飛行曲線を描いたときに最適になる。つまり、この方向で突き詰めていけばみんな同じ飛び方になっていくことになる。現に、極端に低い飛行曲線は排除された。このままいくと、選手のバラエティがなくなってしまうのではないかと・・・・。ま、人の体はBMIだけで決められるものではないから、杞憂だとは思うけど。

今季も個人的な印象をもとに、スキージャンプについて主観的なことをつらつらと書いてきたが、結局は自分がどういう風に思ったかを記録することが第一の目的なのである。スキージャンプはシーズンオフが長すぎて、そうしないと記憶や印象はすぐに忘却のかなたに消えて、昨シーズンのことすら思い出せなくなってしまうから・・・。単なる個人的な日記では続かないが、一応公開されているブログだからある程度はきちんとした形にするというプレッシャーがあり、続けられているのだろう。とはいえ、ここに書いたことは一ファンの戯言を超えるものではなく、多々間違いや勘違いもあるはずだ。ま、だからこそ公開しても波風が立たないのだが。来冬もこのぐらいスキージャンプが楽しめる安定した生活が送れたらいいなと願っている。


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