« 2人のフリーガーが勝利を分け合う バーダル、チャンピオン獲得 プラニッツァ最終戦 | Main | なんと、ヤコブセン復帰即優勝 »

March 24, 2012

'11-12年シーズン回顧 些細な、でもジャンパーにとっては大きな変更がもたらしたもの (1/3)

朝晩の空気はまだ冷たいが、日差しは日に日に強まり、日中は日なたでは汗ばむほどの陽気となった。今年は春の訪れが早い。一方でこの急な陽気の高まりに妙な違和感を覚える。何か大きな気候・環境変動の前ぶれでなければいいのだけど。

今季のスキージャンプ・シーズンは予想外のことが数多くあった。オリンピック・シーズンの次の次、狭間のシーズンはこういうふうになることが多い。その理由は、オリンピック・シーズンの次の年はその惰性のままで淡々と過ぎるが、それが終わったタイミングでFISがレギュレーションの更新を行うからだと思う。その変更により、今までと違う選手が台頭したり、良かった選手が駄目になったりするのだろう。

0.5/2%/1%---最大限の長さのスキーを履けるBMIの上限が0.5上がり21となったこと、それに伴って同じ体重ではスキーの長さが身長比で2%短くなり(一般的なジャンパーでは4cm)、スキーの最大限の長さも身長比1%下がり145%になったこと(2cm)(春に言われていたビンディング位置の変更はFISの公式ルールによれば変わっていない模様)。この些細とも思える変更がもたらしたものの大きさを思うとき、スキージャンプという競技の繊細さに気づかずにはおられない。

バーダルの総合優勝をシーズン前に予測できた人はいるのだろうか?バーダルが確立された技術と素晴らしいハートを持つ優れたジャンパーであることは、誰もが認める所だ。特にスキーの技術とフライトのバランスは素晴らしい。彼の真っ直ぐで、ランディングバーンの真ん中に下りるジャンプは理想の一つである。しかし・・・・彼の「物理的」な制約・・・高い身長と骨量、おそらく(体重に比して)弱い瞬発力・・・は以前のルールの下では彼が総合トップ10以上の成績に達することを妨げてきたのであった。

今年の彼は3勝「しか」しなかった。しかもそのうちの2勝はシュリーレンツァウアーの転倒によるものと、シュリーレンツァウアーのチャック崩壊事件で伊東が失速したことによるタナボタ的勝利であった。つまり・・・彼のピーク・パフォーマンスは総合2,3,4位のシュレリー、コフラー、伊東に及ばないものであったと言っていい。一方で彼は19戦でトップ10に入っていた。つまりシーズンを通して安定した成績を続けたことで、総合的に3人を凌駕した・・・まさに総合王者にふさわしい戦いぶりだったと言えるだろう。

しかし・・・その安定感、そしてハートの強さはもともと彼の特徴であった。去年までの彼だったら、その安定はトップ10にチョコチョコと顔を出す程度でのものであり、今季のように毎回表彰台を伺うようなことにはならなかったはずなのである。今季の安定しない気候条件が悪条件に強い彼に味方したことは確かにあるのだが、それだけで総合優勝できるはずはない。今季の彼のパフォーマンスは去年より1段上だったということだ。

ただ、29歳という彼の年齢から言っても、フィジカル面・技術面で急に伸びるということは考えにくい。シュテッケルによるオーストリア技術の注入は確かにプラスだったのだろう。でも、半年やそこらの指導で確立されたジャンパーがそう大きく変われるものだろうか?私は、彼は今回のBMIルールの変更により、他の選手のパフォーマンスが一段落ちることで、彼は相対的に一段上がることになったと見ている。彼の技術と身体的特徴から、彼はこの変更の影響をほとんど受けなかったのではないか・・・と。

その2に続く)

|

« 2人のフリーガーが勝利を分け合う バーダル、チャンピオン獲得 プラニッツァ最終戦 | Main | なんと、ヤコブセン復帰即優勝 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/54301175

Listed below are links to weblogs that reference '11-12年シーズン回顧 些細な、でもジャンパーにとっては大きな変更がもたらしたもの (1/3):

« 2人のフリーガーが勝利を分け合う バーダル、チャンピオン獲得 プラニッツァ最終戦 | Main | なんと、ヤコブセン復帰即優勝 »