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February 19, 2012

風神は人間の傲慢さを諌めたもう オーベルストドルフ・フライング

季節の変わり目の不安定な気候は続いている。晴れたと思ったら、風がきて、雨が降ったかと思えば、急に日が差す。土曜、オーベルストドルフの個人戦が非常に良い条件で行われたのは奇跡に近い。良い条件では、フライング、特にオーベルストドルフの台で「ジャンパー」が「フリーガー」に勝つのはほぼ不可能だ。極端に低い飛行曲線を描くフリーガーたちはヒルサイズを10m超えてテレマークを入れられるからだ。伊東の2回はジャンパーとしては究極のフライトだったと思う。あれ以上飛んでもポイントは伸びない。それでも、フリーガーであるコッホがちゃんと2回飛んだら大差がついてしまう。1回失敗したクラニェッツ、明らかに復調してきているアマン、物理特性の鬼シュリーレンツァウアーらに競り勝って2位を確保したのは、ものすごいと素直に思う。

チーム・ツアーでは不調に終わったノルウェーをコッホ・シュレリーの2枚看板でポイントをがっちり獲ったオーストリアが逆転し、最後のチーム戦に勝負が持ち越された。やっぱり、プレッシャーってボディーブローのように効くんだな・・・ノルウェーがイマイチに終わったことも、日本では竹内が1回目に吹かしちゃったのも、そういうことなんだろう。

そして迎えた日曜のチーム戦・・・・・はっきり言ってコメントするのに勇気がいる。究極的に言えば、人間の作った小ざかしいコンディション・コンペンセーション・ルールなんてものは、自然が本気を出したらぶち壊されるということである。そして、人間はそのことをよく肝に銘じて、自然の前では謙虚でなくてはならない。

1人目、葛西のスーパーフライトでチームツアー制覇に望みをつないだ日本チームだったが、2人目の栃本が100mのはるか手前に落ちて万事休す。でも、あれはその前のズィラがものすごいブロアーに煽られて転倒、その結果としてさらにゲートを下げたことによる。14番のゲートから出て、飛び出し直後に追い風を受けたら、落ちるのは当然だ。下にいくら向かい風があっても、そこに到達できなければ意味がない。

その後も湿った雪がどんどん強くなる中、風を待つこともできず、風はきりきりと舞った。オーベルストドルフがなまじ良い台で、ジュリーたちも経験とデータを持っているから、計算上大丈夫なゲートにポンポンと変えて風を待たずに続行。6つ上げ、4つ下げ、また2つ下げ・・・・そして、悲劇は起こってしまった。チームの優勝と引き換えに、スロベニアのプレウツは鎖骨をやってしまったのであった。せっかく、世界と勝負できるレベルにようやく達したのに、彼はまた一からやり直しである。

もはや、チームツアーなんてどうでも良くなってしまった。もう、今日はやめるべきだ、と上で待つクラニェッツやバーダルの顔が語っていた。でも、続行。あぁ、なんと傲慢な人間たちよ。いつもは自然に翻弄されるホファーさんに同情的だけど、今日は彼の肩を持つ気になれない。とりあえず、他に犠牲者が出なくて良かった、日本の4人も無事降りられてよかった、と思うことにするしかないか。プレウツが早めに復帰できることを切に願う。鎖骨は変な折れ方をすると長引くから心配・・・・。

(追記)
プレウツの怪我は鎖骨骨折ではなく、どうやら左肩の腱の損傷のようです。どちらにせよ肩周りはややこしいことになりがちなので心配ですね。

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