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May 04, 2011

10/11シーズン回顧 顕著になったチーム力の差 競技のF1化 (2/3)

ビンディングの革新は、短いスキーでもサッツ後のスキーの上がりを速く、しかも安定させることを可能にした。このことにより、二つのことが起きた。一つ目はスキーの浮力が大幅に増大したことによる、飛び出しの低速化と、それに起因するコンディション・コンペンセーションルールの運用の困難化。二つ目は現状のBMIルールが想定する以上に低体重が有利になり、選手の減量が進行したこと。

モルゲンシュターンはもともと技術・パワー・精神・経験のすべてにおいて最上級の存在であったが、物理的な有利さという意味ではアマンや若いシュリーレンツアゥアーには及ばないというもどかしさを抱え、最高のジャンプをしてもなかなか勝てないという時期が続いた。しかし・・・ビンディングの革新は彼に減量による物理の改善という、禁断の道を開いた。物理のみがモノを言うフライングにおいても戦える物理パフォーマンスを得た彼に敵はいなかった。

飛び出し速度の低速化は、競技の安定性を損なう結果となった。ジャンプ台が想定していないほどの低速条件では、ほんのちょっとした風の不利でどうしようもないジャンプが出てしまう。コンディション・コンペンセーション・ルールはそのような状況を救うことはできず、逆に不条理感をもたらすことがしばしばあった。ビケルスンにおけるフライングがそのもっとも顕著な例だった。

このままでは選手の過度の減量による健康問題の再燃と、持てる物と持たざるものの差が大きくなることによるマンネリ化および不条理な試合の連続によるファン離れが進む恐れがある。

FISもこの問題を認識しており、対策としてBMIルールの変更が議論される。計画ではBMIの上限を21とする。つまり、実質的にはスキーの長さの削減、および重量級ジャンパーの救済。次にビンディングの位置を1%前にし、スキーの前の部分(浮力に直接効く部分)を短くする。この二つによりビンディングの革新によるスキー浮力の上昇を打ち消し、減量による効果を抑える。

しかし、この変更は選手の減量に対する策としては抜本的とはいえない気がする。マテリアルの進歩がここで止まるとは思えないし・・・。体重によるスキーの長さの削減率を大きくするとか、(性別・年齢に基づいた)BMIの下限を設定するとか、マテリアル・レギュレーションの強化が必要に思えるのだが。特にビンディングの規制強化については議論されてはいるようだが、どちらかというと転倒時の安全性の問題の方がクローズアップされている模様。とはいえ、この手の変更には持てるチームの抵抗があるわけで、そう簡単には変わらないだろう。モタモタしているうちにF1のようにならなければいいのだけど。

(続く)

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