« 共感と不安の渦の中で ラハティ | Main | アダム・マリシュ ~スキージャンパーのプライドのかたち (1/4) »

March 20, 2011

マリシュのラストジャンプ/最後もオーストリア プラニツァ

いろいろと考えることの多い一週間だった。

原発の問題における、ドイツと日本の温度差・・・・報道内容にほとんど違いはないのにもかかわらず、その受け取り方に大きな違いがある。驚いたことに、福島から1万キロ近くも離れているにもかかわらずドイツの人の方が心配しているのだ。日本の人たちは冷静に対応している。ドイツ人は、福島からたった200キロしか離れていない東京で人々が普通に通勤しようとしてカオスになっていると聞いて、驚き、畏怖の念すら抱いている。もちろん、これにはチェルノブイリの記憶が大きく影響していることは間違いない。でも、それだけだろうか。このことは、日本人には他の存在(他人だけでなく、自然とか、運命とか、時の流れとか)に身を任せることができるという、特殊な才能(文化、と言うことも出来るか)があるということを示しているんじゃないかと思った。また、日本がこの問題に対処できなかったら世界の誰にもできない、と複数の人が言った。これは、ドイツ人が日本のテクノロジーと秩序を信頼していることを示している。世界に影響を与えかねない問題を起こしながら、それでも人にそう言わせるのは並大抵の信頼ではない。過去半世紀にわたって日本が築いてきたものの大きさを知り、そのことを誇りに思うと共に、過去のすべての日本人たちに感謝の念を禁じえない。

上手く言えないけど、日本には他にはない力があるんだと思った。きっと何とかやっていく。そして、外にいる自分が心配しても何の役にも立たない。こっちはこっちで普通にやることをやろう。多数の日本人が日本で、そして、世界各地でそうやっているように。その普通の活動だって、めぐりめぐって災厄の傷を癒すことにつながっていくんじゃないかな。

では本題に戻ろう。シーズンの最後を飾るのは、いつも通りプラニツァ、フライング祭り!やっぱり、この台のフライングは見ごたえがある。大きさではビケルスンに追い越されたかもしれないけど、あの台は高さがない。プラニツァFHの無茶なプロファイルは、飛ぶ選手には申し訳ないけど、見る側にとっては最高だ。

雨が降ったりしてトレーニングや予選はかなり難しい状況になっていたようだ。アプローチの溝の深さが左右で違っていたという話を聞いたがほんまかいな?トレーニングではボドマーと湯本が危険な転倒をしてしまった。幸いにも湯本は大きな怪我が無く済んだそうだが、ボドマーは肩を骨折して手術が必要となり、動けるようになるまで数ヶ月は掛かるそうである。葛西も予選で転倒し、日本は伊東一人チームとなってしまった。今の状況で日本選手に普通にプラニツァを飛べと言うのは酷だった気がする。大きな怪我が無く終われたことを喜び、無事の帰国を祈ります。

日曜の最後の試合が強風で壊れてしまったのは残念だった。マリシュのファイナルジャンプを見るために待って待って待ちくたびれて・・・・でも、見られてよかった。最後も216m!プラニツァの風神も祝福していた。彼が飛び出したとき、くるりと風が変わった。ついでにストッコを勝たせてポーランドの帝位禅譲もサポート。しかも地元のスター、クラニェッツも表彰台に上げて・・・・出来過ぎや。ええ放送作家を雇うたんとちゃう?

まだ戦える力を残して、颯爽と去るマリシュ。名残惜しいけど、これでいいんだ。ヒルデとアマンがマリシュばりの口ひげを蓄えて飛んだのが可笑しかった。みんな、マリシュが好きなんだ。

結局、最後もオーストリア。この力には脱帽するしかない。条件が公平だった金曜の個人戦は表彰台独占、もちろん土曜の団体はぶっちぎりで勝った。シュリやコッホはいい、彼らは特殊な才能を持つ奴らだから。しかし、ジャンパーのはずのモルギー、コフラー、そしてロイツル兄さんまで飛べるというのは、明らかにマテリアルの後押しがあると思う・・・・。特に団体戦2回目、モルギーの自己記録232mには鳥肌が立った。ジャンパーの飛ぶフライングとしては、これ以上のものはないと思うぐらい・・・・20.0オール出せ、と思った。高く行っても落ちない・・・だからHSを超えてテレマークが入れられる。モルギーの場合はおそらく減量の効果も大きいと思う。顔に刻まれた皺(彼はまだ24才だぞ!)に、体を削ってまで至高を目指す彼のアスリート精神を見るが、一方でこれでは体が持たないと心配になる。FISには過度の減量を防止する早急な対策を求めたい。もう、ハンナヴァルトの悲劇を生み出してはならない。

ジャンパーの皆様、長いシーズンご苦労様でした。今年もいい戦いを見せてくれてありがとう。とりあえずゆっくり休みましょう。
シーズン回顧は後ほど。

|

« 共感と不安の渦の中で ラハティ | Main | アダム・マリシュ ~スキージャンパーのプライドのかたち (1/4) »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/51173221

Listed below are links to weblogs that reference マリシュのラストジャンプ/最後もオーストリア プラニツァ:

« 共感と不安の渦の中で ラハティ | Main | アダム・マリシュ ~スキージャンパーのプライドのかたち (1/4) »