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February 13, 2011

エーベンセンの翼とジュリーの苦悩、狙い通り世界記録246.5mは出たわけだけど・・・ ビケルスン

世界記録を目指してHS225に拡大改修が行われたビケルスン。この台を認可するため、FISは安全性を確認した上でフライングヒルのレギュレーションを変更した。というわけで今週めでたくお披露目を迎えたわけだけど・・・・まずもって世界選手権の直前にこのモンスターを飛ぶことに対して各陣営は及び腰で、ドイツは主力を送らず、オーストリアは総合優勝のかかっているモルギーとフリーガーのコッホのみ。ノルウェーはすったもんだしたあげく結局ほぼフルメンバーが出場したわけだけど・・・コヨンコフスキーの本音は出したくなかったそうである。その気持ちはわかる。

結論から書いてしまえば、大会は目論見どおりの大成功でロマーレンの前世界記録239mを超えるジャンプが続出し、土曜の予選でエーベンセンが出した246.5mが新しい世界記録として認可される見通しとなった。大会は翼を持つエーベンセンとジェットエンジンを取り戻したシュリーレンツァウアーの一騎打ちとなり、土曜はエーベンセン・シュリ共に譲らず、超高レベルでの同点優勝!日曜はシュリが逆転で勝った。最後のジャンプでアマンとマリシュがそれぞれの技術の粋を込めて230mを超え自国のレコードを更新したが、勝負には入れなかった。また、モルギーは今年の安定とオールマイティな力を出してポイントを積み重ね、めでたく総合王者を確定させた。おめでとう。

とはいえ、大会が進むにつれてフルーク・ショウは下火となっていった。何故かといえば、エーベンセンとシュリが飛びすぎるためにジュリーはゲートをどんどん下げることになったから・・・・土曜にはゲート2番、追い風でエーベンセンが240mを超えたもんだから、ジュリーはたまらない。日曜にはゲート1の下にゲート0番まで出現した。日曜はほぼ無風の絶好の条件となったが、1回目の途中でゲート4でハッポネンが240mに達した。すぐにゲートは2番に、そして向かい風っぽい気流が来たところでゲートはとうとう0番になった。しかし、その向かい風っぽい気流は続かず。葛西はあの条件で177mまで行って凄いなと思った。97キロの飛び出し速度でかすかでも追い風をもらうと、最終飛行体勢に入る前に落ちてしまう。みんな狙いに狙って低めの飛び出しをしているからなおさらだ。「翼を持つ」クラニェッツ、そして絶好調だった伊東も落ちてしまった。2人とも飛行体勢に入れれば200mまで行けるのに・・・・。

でも、その条件でもエーベンセンは230mを超えることができるのだから、ジャンパーを守ると言う意味ではジュリーは間違っていないのだ。ジュリーの身になって考えれば、もし彼にちょっとでも向かい風が吹いたらと想像すると背筋に寒いものが走る。しかし、他のジャンパーにはたまったもんじゃないし、観客も面白くない。今回、ジュリーにとって幸いだったことは強い向かい風が一度も吹かなかったことだろう。

新造のこの台でこのような事態になったのは、マテリアルの進歩で台を作った側が想定していた落下角度よりも浅い角度でジャンパーが飛んでいるということだと思う。それほど急激な進歩がこの台の設計段階と今の間にあったということである。ランディングバーンの角度よりも浅い角度で落ちているから、エーベンセンやシュリーレンツァウアーは山を越えるスピードさえ貰えたら、ヒルサイズまで飛べてしまうのだ。もちろん、こんな状態じゃゲートファクターも役に立たない。

今大会は今季、ジャンプ競技が抱えてきた問題をクローズアップすることになったと思う。来季に向けて2つの対策を行わなくてはならないのではないだろうか。一つ目は、フライングはフライングのポイント順でスタートするということ。今回、エーベンセンとシュリーレンツァウアーはワールドカップポイントではそれほど上位ではないためにゲートが高い状態で早めに飛ぶことになった。すると、エーベンセンで2段、シュリで2段下がって・・・ということになり、この2人の後に飛ぶフリーガーでないジャンパーが割を食うことになった。だから、フライングの大会ではフリーガーはちゃんと後に飛ぶようにしなくてはならないと思う。二つ目は・・・これは抵抗が大きそうな変更だが、マテリアルのレギュレーションをモータースポーツ並みに厳しくすること。そうやってジャンパーの物理をジャンプ台プロフィールの想定範囲内に収めるようにしないと、それを基にして算出されているBMIルールやコンディション・コンペンセーションルールが絵に描いた餅になってしまう。おそらくFISも同じことを考えているだろう。ここから先は政治の世界だ・・・・・。

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