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December 31, 2010

10年

そこかしこで花火の音が聞こえる。今年も年が明ける。
なんと、ドイツに来て10回目の年越しということになる。ミュンヘンで初めて花火の洗礼を受けた時には、そんなに長くここにいることになるとは露ほどにも思っていなかった。

この10年の間に自分は変わったのだろうか。それは、主観的にははっきりしない。たぶん、だいぶ変わっているのだろうとは思う。日本に行った時に、感覚的に戸惑っている自分を発見するから。でもコアのところは変わらないようにも思う。

一方、ドイツはこの10年でずいぶん変わった。まだ、いわゆるドイツという国の矜持というか、そういうものが残っていた2000年。通貨はマルクだった。マルクがユーロに変わり、ドイツはグローバル化の波にさらわれて、流されていっている。いまや、日本の媒体で見聞きするような、ステレオタイプな古き良きドイツはすでに失われていると思う。そのカケラを見つけることすら難しくなりつつある。

最近、それをCDの中に見つけた。旧DDR、ドイツ・シャルプラッテンの音源の中に。Edel recordsが、その音源の中からBerlin Classicsのレーベルで廉価版CDを出している。安さにつられてあまり期待せずにいくつか買ってみたのだが・・・これがほとんどハズレがないのである。それを聞くと、最近のCDを買うのが馬鹿らしく思えてくるのだ。それらの録音からは、真摯で妥協のない芸術の追求と、誠実な音楽製作が聞こえる。そして、その頃のドイツ人が持っていた共通の意識・・・いや、波動といったほうがいいと思うが、を感じることができるのである。同じものを食べ、同じ教育を受け、同じ文化的背景を持つ集団だからこそできる、ほんのちょっとの「溜め」のようなものまでが「無意識の意識」で揃うアンサンブルがそこにはあるのを感じる。

もしかしたら、そういうものは70年代には西側ではもう失われつつあったのかもしれない。それが東側には80年代まで残っていた。(東)ベルリン放送交響楽団、ドレスデン・シュターツカペレ、ライプツィヒ・ゲヴァンドハウス管・・・これらの楽団によるアナログ最後期の録音は、最高の録音場所(ベルリン・キリスト教会(カラヤンがよく使った西側のイエス・キリスト教会とは別物)、ドレスデン・ルカス教会など)での贅沢なセッション録音ということもあって、クオリティの面でもまったく問題ない。それどころか、売ることを意識していない、恣意的な感じがない素直さにおいて、現代の録音よりも勝っている。

しかし・・・そのCDに記録されている芸術水準の高さと4.99ユーロで売られる廉価版CDのチープさのギャップは物凄い。きちんとクレジットすらされていないCDを見ると悲しくなってしまう。このCDに、現在のドイツが象徴されていると言ったら言いすぎだろうか?一部の心ある人たちの頑張りは大量消費社会の中で埋もれていってしまい、キャッチーな標語や表面的な輝きが幅を利かす社会に・・・・・。

もう少し、ドイツという国を深く知りたい。10年かかって、ようやくそう思うようになった。
そうすれば、上に書いたものが表面的な理解でしかないと知ることになると思う。手遅れになる前に。そのためにすべきことは、ここの言葉をちゃんと使いコミュニケーションを取ること。2010年はそのベースを築くのに費やした。2011年は実践を「始める」年にしたい。そういう大それたことを考えられる現状の安定に感謝しつつ、新年を迎えようと思う。

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