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March 23, 2010

2009-2010年シーズン回顧 オリンピック直前に起こったトレンドの転換とスキー・ジャンプのアスレチック競技化-スーツ・レギュレーションの厳格化とKAMビンディングがもたらしたものとは?(1/3)

例年どおり、今シーズンのスキー・ジャンプ界を勝手気ままに総括してみよう。

全体の流れ

今シーズンを二つに分けるとしたら、クリンゲンタール以前とクリンゲンタール以降に分けられる。クリンゲンタール以前は「パクス・オーストリアーナ」、クリンゲンタール以降は「1にアマン、2にマリシュ、3、4がなくて5にその他大勢」と名づけよう。

オーストリアは昨シーズンを席巻したシュリーレンツァウアーとロイツルだけでなく、モルゲンシュターン、コフラーが復活。ジャンプ週間まではイマイチ弾けないシュリーレンツァウアーを他の3人がサポートし、アマン・アホネンを撃退するという構図だった。コフラーのジャンプ週間王者は偶然の流れで、結局はオーストリアの誰かが取ればよいという感じだったと思う。そして、ジャンプ週間の後、シュリーレンツァウアーは去年とほぼ同じレベルに戻った。ポイントナー・コーチとしては自信を持って、メダルラッシュを期待してバンクーバーに乗り込んだに違いない。

しかし、KAMビンディングの登場によりクリンゲンタールにおいて状況は一変していたのだった。そこでアマン・マリシュがシュリーレンツァウアーを上回ったのは、1回だけの偶然ではなかったのである。それ以降、ウィンドファクター・ルールの後押しもあり、アマンは一度も負けなかった。オーストリア勢、特にモルゲンシュターンの調子は本当に最高だった。それでも、束になってもこの2人にまったく歯が立たなかった。シュリーレンツァウアーは銅メダル2個を手にして、それを良しとせざるを得なかったのである。アマンのビンディング騒動は、その時のオーストリア・チームの焦燥感を如実に物語っていた。

その他のチームは勝負の外で頑張らざるを得なかった。現役復帰したアホネンの挑戦も結局はサイドストーリーに追いやられてしまった。ドイツはオリンピックの団体・銀メダルを得て燃え尽きた。日本チームはオリンピックでほぼ100%の力を出したが(これは凄いこと)、メダルには遠く及ばなかった。

1にアマン、2にマリシュ

アマンとマリシュ。彼らが何故シュリーレンツァウアーやモルゲンシュターンを完全に上回るパフォーマンスを出せたのだろう?もちろん、彼らが技術的に最高レベルのジャンパーであることは疑いの余地がない。いや、いままでもずっとそうだった。だから彼らは身体的能力に優れたオーストリア勢に太刀打ちできていた、と言える。でも、なぜ急にその均衡が崩れたのだろう?

アマンとマリシュには2つの共通点がある。1つは低身長と軽量。もう1つはサッツにおけるスピード。サッツ時にスピードのロスを究極まで抑え、飛行初期の前へのモーメントを最大限にする技術を持っていることである。

彼らのこの2つの特徴が、今期、何らかの形で有利になったと考えるべきだろう。私は、スーツ・レギュレーションの厳格化とスキー・マテリアルの進化が、その疑問を解く鍵を握っていると思う。

(続く)

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