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February 07, 2010

思ったより白熱したチームツアー/バンクーバーオリンピックメダル予想

オリンピック直前ということもあり、マリシュ・アマン、そしてフィンランドAチーム不在の中ヴィリンゲンの大会は行われた。土曜の個人は当然のようにシュリ対ヤコブセンの一騎打ちの様相となり、シュリが1回目にスーパージャンプを決めて逃げ切った。シュリーレンツァウアーは2回目にブーツのトラブルで飛ぶ直前まで修理、おそらく無理やり固定したような状態で飛んで逃げ切ったのだから恐れ入る・・・。

ということでチームツアーの方もオーストリアがトップに立ち、もう間違いないと思っていた。しかし、日曜の団体戦スタートリストを見ると・・・オーストリア(シャベライター、ヘイベック、トゥルンビクラー、ツァウナー)・・・・なんと、10万ユーロをBチームに託し、オリンピックチームはバンクーバーへ。おいおい、ノルウェーに対するリードはたったの40点なんだぞー!団体戦の40点なんて無きに等しい。ノルウェーはトップチーム、しかもヒルデの復調でかなり強いんだぞ!

でも、ふたを開けてみればオーストリアBチームは大健闘。トゥルンビックラーが調子落ちで足を引っ張りながらも、ヘイベックとツァウナーがスーパージャンプを連発して他チームのエースと互角に渡り合う。3位で迎えた最終ジャンパー・ツァウナー。その時点でトップのノルウェーとの差は45点。つまり、チームツアーでは5点ビハインドということになる。しかし、ノルウェーは3人目のヤコブセンのスーパージャンプをもってようやく逆転した状態で、最終ジャンパーは調子が下降線のロマーレンであった。そしてツァウナーは物凄い高さのジャンプで142m!しかも実はその時、ずっとあった向かい風がぴたっと止まっていたのである。つまり、ロマーレンはリードを保つために無風でゲート10から138m飛ばなくてはならないのだ。しかも、今日の試合でここまで2位のドイツ・ウアマンまで今期一番のスーパージャンプでロマーレンにプレッシャーを掛ける。ロマーレンは降りた瞬間、頭を抱えた。あまりプレッシャーに強くないロマーレンを4人目にした作戦のミスと言えるが、実はノルウェーは8本とも130mを超えていて、ヤコブセンはエースの役割を存分に果たしている(141m/145m)のである。これで40点差を逆転できなかったのは、まさにオーストリアBチームが強かったということに他ならない。もし、トゥルンビックラーの代わりにコッホが飛んでいたら・・・地元で神がかり的なパフォーマンスだったドイツともいい勝負をしていただろう。

ドイツが団体戦で勝ったのは2005年以来だそうで・・・・オーストリアAチームがいなかったとはいえ、強いノルウェーに勝ったことは誇れるだろう。オリンピックに向けて立て直してきたことは間違いがない。

しかし、ほんまなんでオーストリアからはこんな奴らが出てくるんだ!?ツァウナーは非常に左右のバランスの悪いジャンプなのに、とんでもないパワーとスピードで他人よりも一段上を飛ぶ。まさに原田のような、恐るべき素質の持ち主だ。一方、ジュニアの世界選手権で金を取って乗り込んできたハイベックは洗練された大人のジャンプで楽々と伸ばしてくる。空中もとても良い。こいつら、今の時点でも他のチームなら堂々のメダル候補としてバンクーバーに行ける力がある。完成したらどうなるんだろう?

あと、オーベルストドルフで転倒してオリンピック出場が危ぶまれたコフラーも土曜は元気に飛んでいて良かった。そうそう、もう一つの驚きは湯本の復調ぶり。何か詰まっていたものが取れたような、思い切りの良いジャンプで上位に食い込んでいた。大倉山で葛西・伊東に勝った力は伊達ではない。

さて、いよいよ来週に迫ったオリンピック。恒例のメダル予想をしてみます。

ノーマルヒル
金 マリシュ
銀 モルゲンシュターン
銅 ロイツル

ノーマルはマリシュ悲願の金メダルと予想する。かなり願望も入っているが、年が明けてからの彼のジャンプには凄みが感じられるからあながち穴予想ともいえないだろう。とにかく技術勝負になるノーマルヒル、彼の経験に賭けよう。モルゲンシュターンは調子としてはパーフェクトでジャンプも非常にバランスがいい。ランディングも上手く、飛型点が出るのも強み。ロイツルは本来なら金メダル候補だが、今年は爆発力がないので銅どまり。シュリーレンツァウアーは2本揃わないことが多いので、メダルを逃すとしたらノーマルだろう。アマンは飛型点で損をするので、HSを大きく超えないとメダルには届かないだろう。また、もし、葛西が個人でメダルを取るとしたらノーマルだと思う。

ラージヒル
金 シュリーレンツァウアー
銀 アマン
銅 モルゲンシュターン

ウィスラーのラージヒルでは、他のジャンパーがシュリーレンツァウアーに勝つのはかなり難しいと思う。アマンとモルゲンシュターンの両金メダリストを従え堂々、頂点に立ってほしい。穴としては、やはりハリ・オリ。風次第で金までありえる。HS越えが連発になったりしたとき、彼のスーパーフラットなジャンプは飛距離だけではなくランディングでも有利だから。そういう条件では、クラニェツやヤコブセンも怖い。もし、超大穴を狙うとしたら、アマン軸でオリ、ヤコブセン、クラニェツの(風使い)3連単ボックスだろう。本当ならコッホを足したいところだけど、彼は出られまい・・・。

団体
金 オーストリア
銀 ノルウェイ
銅 ドイツ

正直、オーストリアが負ける姿を想像できない。よほどのことがない限り金メダルだろう。2位以下ははっきり言って混戦。日本にもチャンスはあると思っているけど、準備や臨戦過程を考えるとちょっと厳しいのではないかと思ってしまう。長い準備期間を取ったのに、妙に忙しくてちゃんと調整できていないように思え、しかも本当の意味での勝負勘が失われてしまっているのではないかと危惧している。杞憂であれば良いのだが。逆にノルウェイとドイツがチームとしてちゃんと仕上げてきている感がある。メダルの大穴はチェコ。平均的に飛べるジャンパーが揃っているうえ、大将ヤンダが復調気配。クデルカがいれば・・・とないものねだりをしたくなるところだろうな。

あと・・・不気味なのはアホネン。彼はオリンピックのメダルのためだけに復帰したようなものなのだから、当然ここにピークを持ってくるだろう。もし、彼が全盛期の力と気迫を取り戻したら・・・・そううまくはいかないと思ってはいるが、気にはなる。

嬉しいことに、今回のオリンピックは時差の関係で(ヨーロッパでは)ゴールデンタイムにライブが見られる。とにかく楽しみ。

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Tracked on February 07, 2010 at 11:02 PM

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