« 思ったより白熱したチームツアー/バンクーバーオリンピックメダル予想 | Main | エール2 »

February 13, 2010

勝負師の企画力、アマン3個目の金メダル バンクーバーオリンピック・スキージャンプ・ノーマルヒル

アマンにとって今日もっとも重要なジャンプはおそらく試技だったと思う。彼は試技でヒルサイズを大きく超える108.5mを飛び、危なそうなランディングをした。私には、そのランディング後の仕草、表情も含めて、アマンの勝利への筋書きは始まっているというふうに見えた。

ゲート18番、追い風の条件でこのジャンプをされたら、ジュリーはゲートを下げなくてはならない。1回目のゲートは17番に下がった。

1回目は序盤こそ無風の絶好の条件で始まり、なんとか間に合ったチェコのクデルカが100mを超えた。しかし、15人目を越えたあたりから追い風が吹き始め、試技と同じような状況になった。

この条件で17番ゲートからでは、よほどいいジャンプをしない限り100mに到達しない。竹内、栃本も風に負けた。ドイツ・シュミットの99.5mは非常に良いジャンプだった。

その後、少し風が弱まった。葛西のとき、おそらく条件は良かった。しかし・・・かなり踏み外し。それでも100m近くに行っているのだから、すごいのだけど。一方、伊東のジャンプはきちんと嵌ったジャンプだった。

パスカル・ボドマー、こんなときになんでチャックが壊れる?焦るが、直らず、特例で最後に飛ぶことに。しかし、このちょっとした中断が次のウアマン兄さんを助けることになるとは・・・。一瞬の凪ぎの中、飛び出したウアマンのジャンプは103.5m。ジャンプの完成度が100パーセントでなかったのが残念だ。

しかし、凪ぎは一瞬。大穴のヤコブセン、失敗でメダル圏外に。マリシュ、完璧なジャンプながらも103.5m、ウアマンを超えられず。かなり条件が悪い。練習・試技を通じて台への適応に苦しんでいたアホネン、ここ一番のジャンプでなんとかメダル圏に踏みとどまる。一方、オーストリア4人衆はそれぞれイマイチ弾けず。練習・試技と絶好調だったモルゲンシュターンは何か空周りしたようなジャンプ。シュリーレンツァウアーは大踏み外し。それでも100mを超えているのだからすごいんだけど。

そして、ラストのアマン。ちょっと合わせに行ったようなジャンプながら、力の違いは歴然。105m、悠々とテレマークを入れて断然のトップに立つ。

なんとか間に合ったボドマー、最後に飛ぶも95.5m。31位の表示にガックリ。なんともやるせないオリンピックとなった。

2回目はかなり公平な条件で、淡々と進んだ。1回目に風に落とされたシュミット、失敗したヤコブセンらが順位を上げるも、メダルは遠い。伊東、きちんとしたジャンプだったが、力足りず順位を落とす。でも、ノーマル不得意の彼にとって15位は立派な成績。シュリーレンツァウアー、2回目はシッカリ当たったジャンプで106.5m。なんとかメダルを期待できる位置に。一方、モルゲンシュターンはまた空回り。上に抜けたような、ふかしたジャンプでシュリーレンツァウアーのメダルをアシストすることになった。3位のマリシュ、さすがに歴戦の猛者、ちゃんと2本揃えて金メダルに夢をつなぐ。2位のウアマン、あぁ、またソローリとしたジャンプ。悪くはないが、これではメダルには届かない。でもトリノに続く入賞、おめでとう。そして、アマン。自らの書いた筋書きを完成させる、テレマークの入れられるギリギリの飛距離である108mのジャンプだった。

勝つために何をするべきか。アマンの「勝負師の企画力」を感じた試合だった。ランディングに難のある彼にできることは、ゲートを下げさせて飛距離勝負に持ち込みシュリーレンツァウアーとの一騎打ちにすること。彼は、若いシュリーレンツァウアーが2回完璧にはそろえられないことまで予期していたに違いない。そして、モルゲンシュターンが2回、104mで19.0オールだったとしても、ヒルサイズまで飛んでテレマークを入れれば確実にポイントで上回れることも計算していただろう。つまり、試技のスーパージャンプで自分とシュリーレンツァウアーのみがヒルサイズに到達できるゲートに下げさせた時点で、アマンは自分のジャンプができたら勝てる、と確信していたはずだ。私が金メダルに推したマリシュはできることはすべてしたが、主役アマンを脅かすことはできなかった。でも今回は負けて清清しいだろう。そして、ウィスラーの風神は厳しい風を維持して演出した。それすら、アマンの台本には書かれていたのかもしれないな。

ラージヒルもアマンとシュリーレンツァウアーの一騎打ちとなるだろう。でも、シュリーレンツァウアーはアマンに踊らされるままになるような奴じゃない。アマンの台本にない強烈なパフォーマンスを出して、素晴らしい戦いに持ち込んで欲しい。今度はシュリーレンツァウアーの方が挑戦者になれるのだから。

|

« 思ったより白熱したチームツアー/バンクーバーオリンピックメダル予想 | Main | エール2 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/47561435

Listed below are links to weblogs that reference 勝負師の企画力、アマン3個目の金メダル バンクーバーオリンピック・スキージャンプ・ノーマルヒル:

« 思ったより白熱したチームツアー/バンクーバーオリンピックメダル予想 | Main | エール2 »