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April 11, 2008

怒涛のコンサートラッシュ at ケルンフィルハーモニー、シュターツカペレ・ドレスデン/内田光子

4月のケルンフィルハーモニーの日程表には驚かされる・・・
なんと、30日のうち28日にコンサートがあり、その延べ回数は33回!特別な音楽祭があるわけではないのに。しかも、その中には、ウイーンフィル、フィルハーモニア管、シュターツカペレ・ドレスデンという世界最高ランクとされているオーケストラの客演が含まれている。

もし自分が悠々自適の年金生活者なら、毎日のように足を運びたいところ。大概のコンサートチケットは映画2回分ぐらいの値段で買えるから、少し余裕のある人なら金銭的にもそれは可能だろう。しかし、自分の現状では月に2,3回が限度だ・・・・やはり平日のコンサートは仕事持ちには肉体的につらい。

ということで数あるコンサートから選んだのは、シュターツカペレ・ドレスデンのコンサートと、内田光子のソロ・リサイタルだ。

シュターツカペレ・ドレスデンのコンサートの目的は、リヒャルト・シュトラウスの交響詩を生で聴くことにあった。これは高校生の頃、初めて彼の交響詩をFMで聴いてそのスケールと多彩な楽想に圧倒されて以来、念願ともいえるものだった。その機会はずっとうかがっていた。しかし、楽曲のスケールの大きさとそれに比しての知名度の低さゆえに、日本ではなかなか演奏されない。曲の長さが中途半端というのもネックなのだろう。マーラーやブルックナーに比べたらその演奏頻度は10分の1以下だと思う。そういうわけで今まで一度も生で聴くことはなかった。

シュターツカペレ・ドレスデンはR.シュトラウスが指揮者だったこともあり、彼の作品を数多く初演している。つまり、このオーケストラによる彼の交響詩は、正統中の正統ということになる。そこで、奮発していい席を取り、羽振りのよさそうなお年寄りに混じって聴いてきた。

感想は・・・もう、言葉もありません。素直に感動です。交響詩「英雄の生涯」は、ともすればゴテゴテと虚飾に満ちていると評されがちの曲だが、実際聞いてみるとそんなことはまったくなかった。指揮のファビオ・ルイージがその風貌そのままに真摯で虚飾のない演奏スタイルであったことも大きいだろう。あと、曲の最後がいつも聞いているディスクとは違いバイオリンの独奏で静かに終わった。プログラムを良く見ると、初稿オリジナル版での演奏、とある。ルイージはこのオリジナル版でSACDを出しており、よほどこだわりがあるのであろう。

この曲はバイオリン協奏曲と言ってもいいぐらいにバイオリンの独奏が多い。ここで活躍したのがコンサートマスターのカイ・フォーグラーだった。彼のバイオリンは非常に音が大きく、歌う。ただものではない。ソリストとしても世界トップクラスの実力だと感じた。あと、彼の楽器は何なのだろう??ものすごくいい楽器だと思うのだが。

英雄の生涯の他に演奏されたのは、女流作曲家イザベル・ムンドリーの"Balancen”とセバスティアン・クナウアーとの共演によるベートーベンのピアノ協奏曲1番。

Balancenは完全対抗配置された小規模なオーケストラと打楽器による、試験的な楽曲だった。いかに立体的な音場を作り出すかというテーマを感じるとても面白い楽曲で、マルチチャンネルでこれをどれだけ再生できるかなどとオーディオ的な夢想をしながら聞いていた。

ベートーベンの協奏曲は生で聴くのは2回目だと思う。セバスティアン・クナウアーのピアノは精神的・テクニック的にとても余裕のあるもので、とにかく「上手い」と感じる、安心して楽しめるものだった。オケにもうちょっと集中力があれば、もっと良かったとは思うけど・・・Balancenと英雄の生涯の間で少し中だるみになるのは仕方がないとは思うけどね。

このプログラム、ごらんのように楽器の構成がバラバラ。完全対抗配置+特殊打楽器>古典的小規模オーケストラ+ピアノ>現代的大規模オーケストラ(打楽器多数)という無茶なプログラムなのだ。したがって裏方さんは大変。ステージの中央の奈落の底からグランドピアノがせり上がってきたのにはびっくりしたよ。

さて、昨日の内田光子のコンサート。
いやー、こっちもほんまよかったんや~と心から言いたい。

彼女のピアノは、テクニックがどうとか音がどうとかじゃない。彼女は、自分の意思を伝える変換装置として指とピアノを使っている、と思う。そのダイレクトさが凄いと思った。聞かせようとか聞いてもらおうなどという、ありがちなサービス精神を飛び越えて、彼女の心と音楽だけがそこに存在するのだ。そこに観客が居合わせていて、引き込まれていくのである・・・・。

曲目はシューベルトのソナタ、シューマンの交響的練習曲、バッハのフーガの技法などに加え、ハンガリーの現代作曲家クルタークのJÁTÉKOKという連作から、数曲が抜粋して演奏された。この曲、現代曲という感じではなく、非常に情緒と「いいようのない悲しみ」にあふれる旋律があり、私の心にも直接響いた。曲自体が虚飾がなく少ない音で世界を作り出していく。このダイレクトさが内田光子の演奏スタイルにぴったり合致していて、感動を呼ぶのであった・・・・。

平日のコンサートは辛いけど、それでも行く価値があった。
本当はヨーロッパ室内管やフィルハーモニア管、来月のアルフレッド・ブレンデルのリサイタルやミュンヘンフィルにも行きたい。それに、ケルンにはWDRとGurzenich-Orchesterという二つのハイレベルな地元オーケストラがあって、定期演奏会が毎週のようにある。それに加えてゼンデザールとボン・ベートーベンハウスでの室内楽がある・・・。そして、ケルン市立歌劇場ではヴァグナーの「タインホイザー」を連続公演している。なんという恵まれた状況なんだろう!もっと早く気づくべきだった。

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