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February 23, 2008

ティルソン・トーマス/WDR マーラー“悲劇的”

今、帰ってきたところ。
現代のマーラーの巨匠となりつつある、マイケル・ティルソン・トーマス(MTTと略されることがある)がWDR交響楽団を振って“悲劇的”を演る・・・・これはもう今後ありえないことなのかもしれないと思い、聴きに行った。

実は、正直に告白しますと・・・マーラーは“巨人”以外は苦手という軟弱者なのである。通して聴けないぐらい・・・。もし、その苦手意識を克服できるとすれば、最高のものによるショック療法しかない。“悲劇的”はマーラーの交響曲の中でも、もっとも難解だと言われている曲である。それを生で聴いてみてどう思うか、一つの賭けだった。

結果・・・演奏は最高だった。これ以上のクオリティの演奏はそうないと思う。オケは極限の集中力でMTTの求めるものをすべて音に変えた。本当に、素晴らしかった。また、MTTは“音量感”に非常に優れた指揮者だと思った。通常音量を押さえ目にすることによって、瞬間的な一撃をより劇的に演出した。

マーラーが凄いことはわかった。絶対的な格という意味では、オーケストラ音楽の至高に位置することは理解した。しかし・・・・やっぱり好きではないんだ、ということも同時にわかってしまった。こんなに凄い演奏でそう思うんだから確かだろう。もう一度この曲を聴きたいかと言われたら、ちょっと返答に迷う。ところどころは「おおぅ」と思うのだけど、全体としては何か腑に落ちない、受け入れ難いものがある。

オーディオ的には、これはなかなか装置では演出不可能ではないかと思った。空気感、エア、みたいなものがとても重要で、「ガツン」と来るときと、「ぶわっ」と来るときの違いがわからないと・・・・打楽器の音が、直接音と間接音にきれいに分離して、間接音が頭の上から降ってこないと・・・・言っていることが意味不明なのは承知だ。とにかく、CDには入りきらないいろんな要素が存在することが良くわかった。そういう意味でも収穫があった。

いかんなぁ、こんなものを聴いてしまっては、ますますオーディオ的満足度ゼロ領域が広がってしまう・・・・。実は今週はもう一ついいものを聴いてしまったのだが、その話はまた来週にでも。

<一晩空けて追記>
うーむ、まだ頭の中でいろんな旋律が鳴っている。これほど影響力のある音楽を聴いたのは初めてかもしれない。消化するためにもう一度聴きたいという気持ちが沸いてきている。

ちなみに、中間楽章の演奏順は古典的なスケルツォ-アンダンテの順だった。しかし、最終楽章でハンマーが何回鳴ったかは定かではない・・・一回聴いただけでは理解できない、というだけなのかもしれない。食わず嫌いだったものを食べたときのような、そんな感じだな。

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