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October 03, 2006

凱旋門賞を考察してみる

凱旋門賞の結果を一文で概括すると、

予想外ではないが、人々がそうなると思いたくなかった結果

だと思う。冷徹に馬券勝負を考えれば、“プライドかレイルリンクを軸にしたボックス”は常道だ。日本人がディープに投じたと思われる300万ユーロは、フランスの馬券オヤジが分け合って飲み代に消えたことであろう。素晴らしい経済効果であった。

ディープインパクトがとんでもないパフォーマンスで圧勝することを、ヨーロッパの人々も見たいという雰囲気があった。我々も、武豊は勝つだけではなく圧勝することを信じていると思っていたし、現に彼もそう思っていたであろう。後からビデオを見返してみると、武は安全に勝ちに行ったなぁ、という印象があるが、それもこれも馬の能力は自分のが1番だけど、相手が強いことをリスペクトしているから、と思う。普通の1番人気の乗り方だった。

負けた理由はスローがどうとか、術中に嵌ったとかそういうレベルの話ではないと思う。レイルリンクとプライドは自分の競馬をきちんとやった。凱旋門賞に出る馬に弱い馬などいない。少なくとも何頭かはきちんとしたパフォーマンスを出す。ディープインパクトはそれらを全部打ち負かすだけのパフォーマンスを出せなかった。

なぜトップギアに入らなかったのか。その理由はいろいろ考えられるだろう。実は、私はレース中にディープインパクトが緊張して力んでいるように見えたのである。どうしてそう思ったのかわからないのだけど、そう思った。まるで、オリンピック決勝のアスリートのように緊張している、と。

アテネでハンセンが北島に負けたレースを思い出した。

人々の想いがディープインパクトの肩にずっしりと重くのしかかっていたのではないか。そういうことは、馬はちゃんと察知する。このレースは今までとは違うと。それに応えようと必死に頑張ってしまった。その気持ちにスローペースが噛みあわず、その結果、最後にお釣が残らなかったのではないか、と思う。

調子が良すぎると、あるいは仕上がりすぎた状態では、ほんの少し歯車が狂っただけでそういうことが往々にして起こるものである。東京国際の高橋尚子、アテネのラドクリフ、トリノの加藤条治・・・・。

ほんのひと匙の余裕をディープインパクトに与えてあげなかったのは、我々の強すぎる想いのせいなのではないか・・・そう思った。

究極的に言えば、ディープも、陣営も、そしてファンも経験不足だったということになるのかな。初めての海外、長期滞在、欧州スタイルの競馬、異常なスローペース、先行策、末脚不発、それでも世界最高峰のレースで3着に来たディープの能力は冷静に考えて素晴らしい。もっと誉めてあげるべきだ。そして、無事であったことを喜ぼう。

レイルリンク=パスキエはいい仕事をした。強かった。強い馬に負けた、という池江調教師の言葉が真実なのであろう。

さて、3強の後の2頭について。

ハリケーンランにとっては悪夢のようなレースだった。ズブくなっているので上がり勝負は辛い。ファロンはそれを見越してフォルスストレートから一杯に追っていたが、それでも直線入り口では後ろから来たプライドに先行を許し、その結果下がってきたシロッコに進路を塞がれてしまった。最後伸びてきて能力は示したが、彼のレースではなかった。

さて、シロッコだ。
明らかに言えることは、これは今までのシロッコからは考えられない凡走であるということだ。もちろん、スロー、上がり勝負、良馬場とシロッコにとって3重苦の条件はあった。でも、いつものシロッコなら自分から行ってレースを作れるはずなのだ。スミヨンは初めから走りが良くなかったと言っており、行かなかったのではなく行けなかったというのが実情なのであろう。スミヨンも、牧場関係者も凡走の原因がわからないと言っている。シュレンダーハン牧場長のGebhard Apeltはきちんと調べて原因を究明し、その結果が出るまでは次のことは白紙、と言っている。何か怪我などなければ良いのだけど、といいながらちょっとした怪我とかで説明できたら良いのだけど、とも思う。

そうそう、ドイツ競馬的に忘れちゃいけないのがドラール賞でのSoldierとManduroの中距離王決定戦である。ペリエに導かれたSoldierが直線先頭から押し切る彼独特のレースで会心の勝利であった。我がManduroはまた内に閉じ込められて追い出しが遅れ、最後詰め寄ったがSoldierに及ばず。どうしていつもいつも閉じこめらるのだろう。ここまで続くと理由があるとしか思えない。勝負どころですっと動けない不器用さがあるんだろうか。でも、この2頭での3着以下を引き離してのワンツーはドイツ的にはすばらしい結果であった。

カドラン賞に出走したLe Miracleは逃げて果敢に飛ばしてレースを作り、直線でも脚色は衰えなかった。300mにわたるShamdalaとのデッドヒートは痺れたね。最後は追い込んできたデットーリのSergeant Cecilにやられて3着に終わったけど、本当に良いレースだった。

とにかく、祭りは終わった。
馬も、人も少し休まないとね。
次に向かって・・・。

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Comments

ドラール賞は堪能しました(Manduroにも、ある意味w)。
ただ、ランディスタとしてはTouch of Landにももちょっと……とは思いましたです(^_^;

Posted by: 有芝まはる(ry | October 03, 2006 at 04:29 PM

どうもです。
Touch of Landはどうしちゃったんでしょう・・・馬場も最高でしたし。
ランドっ仔にはちょっとスローすぎたのかもとは思いますが、負けすぎでしたね。
そろそろPrince Floriにバトンタッチ、ですかねぇ。

Posted by: Dr. K.S. | October 03, 2006 at 11:04 PM

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