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August 09, 2006

ライヴと再生音楽

いい生演奏を聞くと、やっぱり生はいいなぁって思う。
でも、残念ながら、今までそう思ったことはほんの数回である。

先日、以前テレビで感銘を受けたブレハッチがドイツで初めて弾くということで行ってきたのだが、これがひどかった。ブレハッチのせいではない。場所はドルトムントのとある文化会館。私は、そこにある小ホールで演奏があると思っていた。しかし、行ってみると、会場はビルの吹き抜けに仮設ステージ、その周りに椅子を並べて・・・という状況であった。

そのビルは、いわゆるガラス造型の80年代風のビル。メタルとガラスしかないビルの吹き抜け・・・・オーディオ的にはおぞましい環境であった。また、仮設ステージの強度がスタインウェイのグランドピアノを支えるには明らかに不足していた・・・彼が強奏するとステージごと揺れていることがわかるぐらい。いくらブレハッチが頑張ろうと、その状況のピアノからいい音が出るわけが無い。しかも、そのビルは幹線道路と鉄道に面している。その場所のS/N比がどのようなものであるか、それだけで想像できるだろう。

観客もかわいそうだが、ブレハッチはもっとかわいそうだった。プロとして初めて演奏したであろうハイドンやベートーベンに向かう彼の集中力は、それはすさまじいものがあった。でも、明らかにピアノがそれに応えてくれていなかった。休憩中に調律が入ったが本質的な問題ではなかった。

そんなこんなで私は楽しめなかった。

今回のことは極端な例だけど、生演奏は、多かれ少なかれそういう環境要因によって影響される。音楽を純粋に聞くと言う意味では、よほど慎重に時と場所を選ばなければ、がっかりする。たぶん、私は音楽を聴きたいのであって、その場の雰囲気を楽しみたいわけではないからだろう。

だから、再生音楽は私にとって必要だ。勝手知った装置で、問題の無いソースを再生すれば、音楽を楽しむと言う意味では生演奏よりもずっと平均点は上である。

誤解を与えたくないのではっきり言うが、再生音楽がライブに勝るなんて言うつもりはない。
ライブでなければ得られないものは、確かにある。鳥肌の立つようなことは、ある。素晴らしい演奏家の手にある本当の楽器の音は、それはふんわりとしていて、再生音が近づくことを許さない。でも・・それが感じられるコンサートは残念ながら多くないことを悲しんでいるのだ。

最近発見したのだが、大道芸人の演奏はアコースティックな意味ですぐれている。オープンエアで直接音のみ、アンプを通すことも無い。びっくりするぐらい腕の立つ人もいる(特に東欧から流れてきた人たち)。近頃は大道芸人の演奏を聞いて、本当の楽器の音を耳に刻んでいる。

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