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September 09, 2005

コストパフォーマンスを語ってみる(3)

さて、前回の結論は「金のある人にはコストパフォーマンスなど関係ない」であった。しかし、小市民は金がないのが普通である。なので、まず、製品の満足度を「絶対満足度」と言い換え、小市民の商品に対する真の満足度は以下のような式で表す。

真の満足度=絶対満足度÷製品の値段に対する拒否感

そして、商品の値段と、それに対する拒否感の関係は、次のような感じだろう。

グラフ5

costpffig5


つまり、拒否感は限界点aで無限大となる、指数関数的なものだろうと思う。この感覚は理解してもらえると思う。それを考慮に入れて小市民にとっての、値段と真の満足度の関係を書き表すと次のようになるだろう。

グラフ6
costpffig6


限界点a以上の価格の商品は、拒否感無限大で満足度もゼロである。買えない、といった方がいいか。中間価格帯のある点に満足度最大の点がある(b)。それ以上の値段では、値段に対する拒否感から製品に過剰な要求をしてしまい、結局のところ後悔してしまう。b以下の値段では相対的に高い満足度となる。これは、まぁ値段なりだなという割安感が付加されていると言える。

結果として、相当に安い場所に良い点があることになる。近年の大量生産・大量消費の時代を反映しているといえるだろう。この満足度にはコストによる補正が既に入っているので、心情的コストパフォーマンスレペル、と言い換えてもいいだろう。

これを、オーディオに一言ある人(とりあえず、オーディオマニア、と呼ぶことにする)に最適化するために、二つのパラメーターを導入する。

グラフ7と8

costpffig78


1)オーディオマニアは音質にうるさい。音質(絶対満足度)がある一定以上でなければ、まったく満足しないばかりか、腹が立って仕方がない。したがって、その点(c)以下では満足度はゼロとなる(グラフ7)

2)オーディオマニアの製品の値段に対する拒否感は、一般人と異なりある価格(d)までは指数関数的ではない。もちろん、その人の経済状況によって限界点amは存在するが、その点は一般人よりかなり右側にあり、そこまでは(パンの耳をかじってでも)買ってもいいと思っているのでamにおいても拒否感は無限大ではない(グラフ8)。

これらを勘案したうえで、マニアにとっての真の満足度と値段の関係を書き表すとグラフ9のようになる。満足度最大の点は高額価格帯に移動し(bm)、点cからその点まで右肩上がりの曲線を描く。bmより先はさすがに拒否感が大きくなり少しづつ満足度は下がってしまう。

グラフ9

costpffig9


このグラフから、マニアにとってのオーディオ製品は値段によって4つのクラスに分類されることになる。
A 満足度ゼロ地帯(~c)・・・“安物買いの銭失い”の言葉がぴったり。
B 満足度漸進地帯(c~bm)・・・アップグレードが楽しい、のめりこむ地帯。
C 満足度飽和地帯(bm~am)・・・投資に見合う見返りが得られない、苦しい地帯。
D 購入不能地帯(am~)・・・ショウルームや試聴室で見てはため息をつく地帯。

視聴スタイル、聞く音楽の種類、耳のよさ、キャリア等によってcやbmは変化する。オーディオマニアにとっては、現時点でのcとbmを見極めて、B地帯の製品(の中でさらにC/Pの高いもの)を買い、そこから徐々にbmに近づいていくのが一番楽しめるということになるだろう。bmに達したら、経済状況が変わるまではそこで止まり、ソフトなどの充実にお金を使うべきということになる。

経済状況によってamが大きく移動するのは言うまでもない。苦しいのはamが左に移ることである。ありがちなのは独身貴族の間はamがかなり右にあったのに、結婚して一気に左に移行するというケースだ。基本的にcやbmは徐々に右に動くので、下手をすればamがcに重なり、満足度ゼロ地帯が融合するという事態となる。こうなると、一般人に戻るか、何も買わないか、どちらかを選ぶしかなくなる。大概の人は一般人に戻り、30年後、退職金を手にマニアに戻ることになるのだ。

一応結論に達した。ただ、これは強引に一般化した概念であり実情とは異なる部分も多い。特に人が買い物をするときの浮かれた状況は、このような理論を受け付けないものがある(苦笑)。とはいえ、モノの値段とそれに対する人の心の動きのつぼは押さえていると思うのだが。オーディオに限らなくてもいいかもしれない。

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Comments

 はじめまして。遅すぎるコメントで失礼します。
 この理論(?)とっても面白いです。細かいことを言えば、もっと複雑な曲線も描けそうな気もしますが、うんうんと肯きながら読んでいました。僕は独身ながら収入少ないのでamは結構低いんです。故長岡氏の信者なのでプラセボ効果込みで(^^;スピーカーは長らくスーパースワンで十分満足していますし。
 オーディオの世界は、ある程度以上の価格になると、純粋に音質が高まるのではなく、どこかで一旦「質」を満足して、そこから上は製品ごとの「味わい」に転じていく嗜好の領域になりますよね。とはいえ、結局一般庶民としてはamに負けて、ある妥協点で満足するように自分に言い聞かせてます。

Posted by: ぶーすか | November 25, 2005 at 03:26 PM

ポジティブなコメントありがとうございます。
スーパースワン、いいですねぇ。私の中では、スーパースワンはかなり高級な部類に入りますし(汗)、それにひとつの究極だと思います。

おっしゃるとおり、オーディオ機器は値段が倍になったからといって、音質が比例して倍になるなんてことはないですよね、実際は。でも、気持ちは大きく変化する・・・微妙なものです。一般化すること自体が間違いじゃないか?なんて一方で思っています。

Posted by: Dr. K.S. | November 26, 2005 at 11:56 PM

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