« エンゲルベルク大会 | Main | コスモバルクよ、Yavana's Paceになれ! »

December 23, 2004

コスモバルクよ、Yavana's Paceになれ

先日、JCの時にYavana's Paceという馬について少し触れたが、有馬記念を前にして少しこの馬のことを書いてみたい。

Yavana's Pace [IRE], 1992 v. Accordion - Lady in Pace 血統表

この馬をはじめて見たのは2001年のオイロパ賞だった。私がケルンで初めて競馬に行った週のことである。そのときのことはここに書いた。ダービー馬Borealが落馬で競走中止、ゴドルフィンのKutubが圧勝というレースだったのだが、2着に突っ込んで大荒れのレースを演出したのがこのYavana's Paceだった。彼はそのとき既に9歳。もともとこれといって特徴のない栗毛の去勢馬で、しかも歳なのではっきり言って見栄えは良いとはいえない。そういうわけで、その後も彼とは何度も競馬場で顔をあわせることになるのだが、いつも私は最終的にパドックで切ってしまう。そして、いつも彼は良く走り馬券に絡んで来て、いつも私は後悔する。そういう、私にとっては馬券的には相性の悪い馬なのであった。

Yavana's Paceは10歳の夏、悲願のG1制覇を私の目の前で果たし、そして、その年のカナディアン・インターナショナル(3着)で競走能力喪失に近い(ジョンストン師談)怪我をしてターフを去った。通算成績74戦16勝。それだけでタフに走り続けたことがわかるすばらしい成績だが、もっと凄いのは勝ちクラ以外に25回も入着しているということである。つまり、出走したレースの半分以上で賞金を得て、馬主孝行をしているということだ。(実は、まだ競走馬登録を抹消していないらしい。歳が歳だけに無理かとも思うが、もしかしたら復帰するかもしれない。)

彼のレース振りはいつも同じ。スタートはそれほど良くないのだが、そこから少々引っ掛かり気味にハナに立つ。鞍上はそれに逆らわないばかりか、行きっぷりが悪いと気合をつけて行く。道中も抑えず、レースをハイペースにセットする。中だるみもさせない。そして、残り1000メートルぐらいの地点、普通の競馬場なら3コーナー入り口でもう仕掛けるのだ。超ロングスパートである。後ろの馬、特に人気を背負う馬は厳しい判断を強いられる。よどみないペースで来たのだから、早く仕掛けたくない。しかし、Yavana's Paceは逃がしてしまうと危険な馬だ。だが、ついて行けば足を使わされる・・・。

彼の勝ったCredit Suisse Private Banking Pokalもそういうレースだった。人気を背負うのは、女傑Salve Reginaと英国セントレジャー馬Millenary。Salve ReginaのStarkeはYavana's Paceを徹底マークした。MillenaryのPat Edderyは内々の中段で体力を温存した。4コーナー入り口からSalve ReginaはYavana's Paceを捕らえにかかり、直線半ばでは一旦前に出た。しかし・・・Yavana's Paceはタレない、諦めない。最後の1ハロン、ドイツダービー2着のSalve Reginaの脚色がStarkeの腕をもってしても鈍る。内のYavana's Paceの脚色が勝る・・・結局ゴール板では半馬身差し返していた。そのとき、Millenaryは4馬身後方であがきながらゴールしていた。

本当に強い馬には勝てない。持ったままついてこられて、切れる脚を使われたら勝てない。でも、上がりのかかるスタミナ根性勝負に持ち込めば、底のない馬には負けない。肉を切らせて骨を絶つという「スタミナ型逃げ馬」の真骨頂である。こういう馬が一頭いると、レースがビシッと引き締まり、本当の力勝負になる。彼のレース振りは大好きだ。

日本の現役馬でいえば、タップダンスシチーがそういう馬だということになっている。でもタップはYavana's Paceよりもっとスピードもあるし、末も切れる。たぶん、逃げなくても強い。
そして、ようやく表題に戻るが、私はコスモバルクがYavana's Paceに近いものをを持っているように思う。有馬記念でバルクが勝つ気があるのだとしたら、タップを差し置いてでもハイペースのレースを作り、バルクのスタミナ、根性を最大限生かすしかないのではないかと思うのだ。SS産駒の底を割るようなレース。デルタブルースとヒシミラクルが好走するようなレース。バルクはスピードもあるから時計勝負もできる。ガンガン行って、レコードを出し、レース上がり1ハロンが13秒に近くなるような・・・。一旦前に出たロブロイを差し返すような・・・・。どうだろう。変に抑えて不完全燃焼よりはそれがいいんじゃないかなぁ。それで、ロブロイやタップが勝つなら、それはそれで彼らが本当に強かったということだ。

バルクよ、Yavana's Paceになれ!人のエゴの生んだ”理想の競走馬”の枠をぶち破れ!強い馬には、オーダーなど必要ないことを見せつけてやれ!

|

« エンゲルベルク大会 | Main | コスモバルクよ、Yavana's Paceになれ! »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64278/2359125

Listed below are links to weblogs that reference コスモバルクよ、Yavana's Paceになれ:

« エンゲルベルク大会 | Main | コスモバルクよ、Yavana's Paceになれ! »