July 06, 2008

シュタルケ五度目の美酒 Kamsinをダービー父子制覇に導く BMW 139. Deutsches Derby

今年のダービーは難しかった。Daressalamが回避して心の中の本命が消えてしまったこともあるが、一番悩ましかったのはLiang Kayとヘリヤーを応援したいのに、このコンビが勝つイメージがどうしても描けなかったことだ。今年のハンブルクは馬場が例年より良好だということも、波乱を予感させるものだった。

馬場が良いということで注目していたのはLandoの仔、Ostlandであった。妙にいい騎手を鞍上に確保したシールゲンの2,3番手は危ないというのは、この前の1000ギニーで刷り込まれていた。

そしたら、直前の雨。結局ちょっとだけOstlandの単勝を買い、外国馬2着、3着がLiang Kayという3連単の“宝くじを馬券”買っただけになってしまった。

スタートして、シールゲンの二騎、シュタルケのKamsinとデフリースのOstlandが前へ。この段階で、あぁ、やられたか!と思った。今日のレースは全体的に差しが決まらない状況だった。その上に直前の雨。有力な逃げ馬はいない。Kamsinは僚馬を従え、悠々と自分のペースで行けてしまった。最後は突き放して余裕の逃げ切りとなった。2着もそのままOstland。Liang Kayもうまく立ち回ったが、結局最後には脚が止まってしまい、最後にTop Lockに差し返されて4着に終わった。2'39''29のタイムからしても、注文相撲の様相の濃い、かなり残念なレースとなってしまった。Top Lockだって前々にいただけだからな・・・。

とはいえ、最後のKamsinの爆発力は、まさに父Samumの面影があった。勝負服も鞍上も同じだからデジャヴ感はさらに大きい。今回のレースがフロックではないことを、今後のレースで証明して欲しい。

今年はテレビ放映がない(!)ので、インターネット中継で観戦するしかなかったのだが、実は、中継がさあ直線!というところで一時的に切れ、戻ったのはゴール後だった。最悪!これって、自分だけのことだったのだろうか。そうであって欲しい。というわけでまったくもって不完全燃焼のダービーとなってしまったなぁ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 29, 2008

Romanische Nacht

もう7月になろうとしている。競馬の方も、いつの間にかもうダービー週間になっている。今日はなかなかの好メンバーのそろったハンザ賞があるし、来週はダービーだ。月日は飛ぶように去っていく。巷ではサッカーの欧州選手権で盛り上がっていて、バカンスシーズンと言うこともあり何かこう、そわそわした雰囲気だ。ちょっと影響されてしまって、物事が手につかない感じになってしまっている。この時期、サマータイムのこともあり夜が長い。10時でも外で本が読めるぐらいに明るく、人々は長い夜をベランダなどで過ごしている。

そういうわけで、かどうかは知らないけど、ケルンではもう20年も前からRomanischer Sommerという音楽祭が開かれている。Romanischとはローマ時代から続く古い建物を使ってコンサートをやろうというコンセプトを表していて、古楽に限らずいろんなジャンルの音楽をそういう場で演奏することで何か化学反応を起こそうということだろう。

先週の金曜に、Romanishe Nachtと題して、その音楽祭の最後を飾るコンサートがSt. Maria in Kaptolで行われた。7時半から始まり2時に終わるという、壮大なコンサートであった。

このコンサートのコンセプトは、一言で表せば民俗音楽、特に雅楽と西洋バロック音楽の融合、と言うところだと思う。教会という場を考えれば、プログラムの中心となるのはバッハのモテット、ハインリヒ・シュッツのMusikalische Exequien<音楽による死者のためのミサ曲>ということになるが、それに対比する形で雅楽器”笙”の演奏家である宮田まゆみ、打楽器の中村功、アコーデオンのStefan Hussongという多彩なソリストにより、細川俊夫の作品が演奏された。これらの作品群はすべて「響き」-教会という場においてどのような響きが作られるか、ということに主眼が置かれ、選曲されていると思った。

6時間にわたるコンサート、そのすべてにコメントするのは無理である(汗)。音楽祭のファイナルで座席指定なしということもあり、とにかく人が多かった。St. Maria im Kapitolは音楽的においしい場所は限られていることを知っていたので、開演の1時間以上前に行ったのだが、もう百人以上並んでいていい席は取れなかった。一番人が多いときは半数が立ち見みたいな状態になっていた。準備のいい人はゴザや折りたたみ椅子、クッションなどを持参していたので、毎年こうなんだろうな。

ということでコンサートの前半は、せっかくの教会の響きが人に吸われてしまうし、人が多ければそのぶん暗騒音が多くなると言うこともあって、音的には厳しい状態になってしまっていたのが残念だった。そんな中でも、細川俊夫の新作、“混声合唱と打楽器のための二つの日本唱歌<さくら>と<五木の子守唄>”(邦題は不明なので直訳です:以下細川作品については同様)は特に日本人の自分には非常に親しみやすく印象的な作品だった。風鈴かな?や拍子木のような打楽器が効果的に用いられ、なんといいますか・・・“間”が作られていた。そういった意味でももっとノイズの少ない状態で聞きたかったというのが、正直なところだった。

後半に入って人が少なくなり空気も清浄になってきてようやく、このコンサートのコンセプトが明確に現れだした。いい席に移り、今日の主眼ともいえるハインリヒ・シュッツの音楽と笙の音を堪能することができた。話には聞いていたが、一度も聴いたことがなかったシュッツの音楽。先日のモンテヴェルディにもびっくりしたが、このシュッツの音楽も素晴らしかった。一言で表せば、その音楽は素直なのだった。実直といってもいい。わたしには、作曲家としての彼の意図は、「作曲家の意図を隠すること」にあるのではないかというふうに聞こえる。テキストと歌を通じて地上と天上をつなぐことに集中している、といいかえることができるだろうか。これに比べたらバッハですら技巧的で、モンテヴェルディは装飾的に思える。いわんや後期バロックからロマン派の音楽とは立ち位置がまるで違う・・・・。近いのは作曲家が死を意識したときにみせる無の境地で作った佳作たちか。シュッツの音楽は教会と聖書と共にあり、現代のマスメディアに乗ることはないだろう。貴重な体験だった。

コンサートの最初と最後に、笙とアコーディオンのための“調子”が演奏された。最初のは人が多くてざわざわした状態だったので良くわからなかったが、最後まで残った100人ぐらいの観客のみで聴いたその音は・・・地上のものではないようだった。笙はバルコンで演奏され、教会の中央で演奏されるアコーディオンと絶妙なブレンドをした。まるで、天上から音が降ってくるような、どこから鳴っているのかわからないような不思議な音場が造成され、微妙に変化していく笙の和音・・・にアコーディオンの高音が乗り、まるで教会が一つの楽器になったような印象を与えた。アコーディオンの音は笙の音に驚くべき親和性を見せた。おそらくは発音方式が似ているせいだろう。これはCDなどで聴けるものではない。これだけでも、夜遅くまで粘っていた甲斐があった。早く帰ってしまったひとには、心よりの憐憫の情を禁じえない。

家に帰ったら3時を回っていた。さすがに疲れた。このコンサート、音楽やコンセプトは間違いなく素晴らしかったが、それを生かすために運営的な部分でもうちょっと何とかしたほうがいいぞ・・・このままじゃ演奏する人たちもかわいそうだと思う。聴く方からすれば、これは生のコンサートの根源的な問題であり、結局は音楽を日常として愉しむためには再生音楽も必要であるという考えに至るわけである・・・とはいえ、一方では今回のように、その場でなければ味わえないものも絶対的にある。現状では両方にお金と時間を費やすことは無理だから、難しい。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

June 20, 2008

Dai Jinのレースを見直してみた

Union-Rennenをビデオで見直してみた。
現場との印象とは違い、レースのレベルは結構高いかもしれない、と思った。
特にDaressalamとLiang Kayはダービー向きの底力を秘めていると思う。

そこで、Dai Jinの勝った2003年のUnionとダービーを見直してみた。
Liang Kayの走りは本当にDai Jinに似ている。追われてからの低重心のピッチ走法はそっくりだ。また、Dai JinのUnionのレースは馬場の悪い内をすっと抜け出した、実にスマートなものだった。えらい記憶の印象と違う。

Dai Jinって爆発的な末脚で制したダービーの印象が強いけど、実は思ったよりパワー・スタミナ系の馬だったのかもしれない。ケルンでは伸びそうで伸びないように見えたのは、単に絶対スピードの不足のせいかも・・・・。

今年のUnionは、直前の雨で渋った馬場がLiang kayに流れるDai Jinの血を呼び覚ました感じがする。この馬がケルンのマイルで勝負できていたのは、実は凄いことなのではないか。こじんまりとまとまっているように見えるのは、逆に父にない素軽さを持っているからかも。そう考えると、ハンブルクのボコボコ馬場では父のように圧勝してもおかしくないと思った。

Daressalamはいわゆるスタミナ系ワンペース馬。ダービー好走の条件を備えている。少し折り合いに進境があれば、Liang Kayを大いに苦しめるであろう。

ダービーがちょっと楽しみになってきた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 15, 2008

Liang Kay、父の影を追う Union-Rennen

Preis der Diana(ドイツオークス)の日程変更に伴い、Diana Trial(旧Schwarzgold-Rennen)が今年からUnion-Rennenと同日に行われることとなった。ダービーとオークスの最も重要なトライアルを一度に見られるようになったのは非常にうれしい。いうわけで今日は喜び勇んで出かけていったのだが・・・・。

特に、今日注目していたのはDiana Trialに出るフェアホフのGoathemalaであった。新馬戦の勝ち方が非常に印象的で、ここでもあっさり勝つのではないかと思っていたのである。いや、確信していたと言っていい。なのでここで大勝負するつもりでいた。

しかし。パドックで見た彼女は、私が期待していたよりもずっと普通の仔だった。特に、歩様が良くない・・・・前走、リステッドで勝ったもののレース振りからたいしたことないと思っていた(失礼)Servenyaの方がずっと良く見える。また、バルトロメイのBalia Meも雄大な馬体を持ついい馬だった。迷いに迷い、結局勝負しなかった。その判断は結果として正しかったのだが、超スローから上がりだけの競馬となり、最低人気のSplash Mountainが2着に残っちゃって波乱という結果に(勝ったのは前々でレースをしたBalia Me)。レースレベルとしても非常に不満の残るレースとなった。

実は、それまで晴れていたのに、このレースの直前から急に冷たい風が吹き荒れ、かなり強い雨まで降り出した。山の上みたいな天気の変わり方に驚いているうちにメインのUnion-Rennenに。急な雨は上滑りのする馬場を生み出し、どうなるかわからない状況を形成する。トライアルのような、能力を測りたいレースででこのような状況になってしまうのは興醒めだ。しかも、パドックではシュレンダーハン、レットゲンの看板を背負うAgapanthus、Daressalamの両騎はそれほどの印象を与えず(もちろん、悪い馬ではない)、またフランスから遠征してきたアガ・カーンの馬はギリギリに仕上げて賞金を取りに来ましたという感じで、スケールと言う点では物足りない。一方、人気の一頭であるLiang Kayは幅が出てかなりお父さんのDai Jinの印象に近くなった。Dai Jinも背が低くて幅のある馬だった。

レースは何頭かがかかり気味に先手を争った結果、妙なハイペースになった。1番人気のDaressalamはその中を積極的に行き、最後まで粘ったが4着まで。勝ったのはLiang Kayであった。最後方をトコトコついていき、直線は外をピッチ走法で差してきて勝ってしまった。5年前の父親のレースの影を見た・・・・と言いたいところなんだけど、うーん、どうなのかなぁ。あの時は完璧に勝ちパターンだったNorth Lodgeを力で、それも本気とは思えない走りでちょっとだけ差したDai Jinに寒いものを感じたのだけど(ある意味怒りさえ覚えた)、そういうのはまったく感じなかった。どちらかと言うと、乱ペースで差しが嵌ったという印象。馬体の印象とともに、こじんまりとまとまってしまったDai Jinみたいな、そういう感じである。ま、比べるのが酷といわれればそうなんだけど・・・・。

というわけで、勇んで行った割には、残念ながら両トライアルともに本番の参考になるとは言いがたいレースだった。

一方、イタリアではQuijanoがミラノ大賞典、Goose Bayがイタリアオークス勝利ということで、おめでとうございます。いまや、一番いい馬は外で稼がせるというのは常識になりつつある。国内の空洞化も、賞金の差を考えたら致し方のないところだ。イタリアオークスとDiana Trialは同じ格でも賞金は5倍以上違うのだから・・・・・・。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 01, 2008

モンテヴェルディ 聖母マリアの夕べの祈り

古楽への扉は突然開かれた。

実は、いくつかの伏線はあった。
3年ぐらい前に、一枚のCDを買った。現代の天才ホルン奏者、バボラークがバッハの「ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ」をホルンで吹き上げると話題になったCDだ。これを聴いて、何故かバッハの音楽に惹かれたらしい。「らしい」というのは、そのとき、そう意識したわけではないからである。次に、ユリア・フィッシャーのコンサートのアンコールで聴いたバッハのパルティータ。そのCDも買った。その後すぐ、ヨーヨー・マの無伴奏チェロをライヴで聴く機会に恵まれた。その後もアルフレッド・ブレンデルやグレン・グールドのCDを「何故か」買っている。別に強い動機があったわけではないのに、頻繁にバッハの音楽を聴き、CDを異常な割合で買っているのである、今振り返ってみると。

でも、実はそれらのCDのバッハにはあまり感銘を受けなかった。バボラークのCD以外はあんまり聴いてない。

その頃、オーディオ評論家のY氏が絶賛している、リンレコードからリリースされたダンディン・コンソートによるヘンデルのメサイアのSACDを聴いた。確かに素晴らしい録音のディスクだが、悲しいかな私のシステムでは彼の言うような広大な音場は現れなかった。このCDも非常に再生のハードルの高いディスクなのであった。でも、そうか、古楽器だ、という認識が生まれた。それは、現代楽器の音の鋭さ、そして、ピリオド楽器風演奏への拒否感とリンクしていた。そして、先日、ボンのベートーベンハウスで至近距離で、最高の条件で、一流の奏者による室内楽を聴いたにもかかわらず、結局本質的な「音」の部分での違和感は解消されなかったことが、古楽器を聴いてみたいというそのときの発言につながっていたのだ・・・・。

心に思うことが、それを実現させる最低条件だと言われる。しかし・・・実は心に思った瞬間にもう実現に向けてのレールができてしまっているのではないかと思うことがある。

このことはまさにそうだった。先々週、Mehl-Muelhens-Rennenの日に競馬場にてある方々との出会いがあり、古楽器によるバロック以前の音楽を演奏する活動、もちろんそれは教会音楽と不可分なものだが、が活発に行われていることを知った。古楽への扉は突然、開かれたのである。

昨日、その方々とともに、ケルンSt. Maria im Kapitol教会で行われた、Bach Verein Köln (ケルンバッハ協会)主催の古楽器による「聖母マリアの夕べの祈り」の演奏会に行った。バロック以前の音楽にまったく関心が無かったのにもかかわらず、モンテヴェルディという作曲家および「聖母マリアの夕べの祈り」という曲については、名前と時代ぐらいは知っていた。つまり、メジャーな曲ということになる。古楽への橋渡しと言う意味では最適だろう。

ケルンSt. Maria im Kapitol教会はローマ時代に建てられ11世紀にはもう今の形になっていたという、非常に古いロマネスク様式の教会である。十字架型の聖堂の中央にステージが置かれ、3方向に観客席が伸びていた。

コンサートはあっという間に終わった。100分もあったとは信じられない。モンテヴェルディはこの曲を書く以前は大衆音楽を書いていたそうだが、それが良くわかった。わかりやすい旋律に豪華な合唱、変化に富んだ構成に「エコー」などの仕掛け・・・・これが400年も前に存在していたというのは驚きである。実際、どこかで聞いた旋律がたくさんあった。生きている音楽だった。

古楽器の音は現代楽器より柔らかく、自然な音がする。人の声と良く調和し、主張しすぎない。このことは、この時代の音楽が、人の声を主としていたことを物語っている。特にZinkというリコーダーと雅楽で使う篳篥(ひちりき)の中間のような音のする管楽器は重要な役割を持っている。この楽器が一番強い音が出せ、人の声に呼応するように使われていた。

ルネサンス期の音楽は「ポリフォニー的」と評される。それの意味するところは言葉ではまったく理解できなかった。今回のコンサートではその意味することを少し感じることができた。教会と言う特殊な「場」における残響と、それを計算に入れた重なり合う旋律により、倍音成分の重なり合いが相乗効果を生み出す・・・おそらく共鳴を利用したもの。やっぱり言葉で説明するのは不可能だ。

でも、なぜ少ししか感じられなかったのかというと、このコンサートには残念な点もいくつかあったからである。一つは会場が特殊で、大きすぎたと思う。私達は演奏を横から聴いていたのだが、やはり人の声は前に出るので独唱者たちの声の直接音があまり聞けなかった。そういうわけで、人の声によるポリフォニーを感じるという意味では限界があった。また、会場が大きすぎることは、古楽器の根源的問題、音量が取れないという問題をクローズアップする結果となっていた。そんなこんなで、合唱ばかりが目立つというアンバランスな状態になっていたのである。もう一つ、マイナーな問題は、椅子がパイプ椅子だったため、そこかしこから椅子のきしみ音が絶え間なく聞こえていたこと。パフォーマンスそのものは私としてはもう手放しで絶賛できるものだっただけに、残念でもあった。

聞くところによると、この演奏でも、もっといいものを聴くと不満に感じる点があるという。とはいえ、今回は大きく広がる古楽の世界の一部を垣間見ることができた、ということで満足している。いろいろと難癖をつけたみたいだけど、本心は素直に感動し、目からうろこが落ちたというにふさわしい演奏会だった!いろいろと情報を得たので、少しづつその世界に足を踏み入れていこう。テキストの理解など、その真髄を理解するのにはまだまだ先のことだろうが、それはたぶん向こうからやってくると思う。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

May 18, 2008

寝込む/Overdose驚愕のバーデン制圧

先週の異常な陽気は去り、また肌寒くなった。
これが普通なのかもしれないが、差が大きすぎる。コートや毛布は洗濯して収めてしまったと言うのに。職場では変な咳をしている奴がちらほらいて気をつけねばと思っていたのだが、結局風邪を引いて寝込んでしまった。すでにほぼ治ったが、週末が潰れてしまった。ま、休みなさいという神のおもしべしでしょう。

さて、競馬の方は春のバーデン開催開幕。
その前に、SaddexのイタリアGI制覇おめでとう。Pressingが会心のレースで勝つべきところを力でねじ伏せてしまったというレースだった。次は大きいところを狙ってくださいませ。余談だが、最近SaddexとEgertonが頭の中でごっちゃになる。ラウ厩舎はこれほどの大駒を2枚も抱えて絶好調ですな(大変だろうけど)。

バーデン。注目していたBadener Meileの前に、Lanson-Cup(3歳リステッド、1200m)でのOverdoseの驚愕のパフォーマンスについて言及しないと。オープンクラスの1200mで9馬身差なんて!実況のチャップマンですらこんなの見たことがないと叫んだ、とてつもない速さだった。なんとこの馬はブルガリアハンガリー調教馬。ここまでの7戦、負け知らずで2着につけた着差は合計76馬身!それもすべて短距離で。ドイツ制圧ということで、次はフランスか?最終的にはアベイユドロンシャン賞とかを狙っていくのであろう。関係者の夢を乗せて・・・。

Badener Meileはケルンからの転戦組に故障から復帰戦となるWiesenpfad、今年緒戦となるSantiago、そしてクラシック登録がなくここに来た3歳Black Outが加わり、見所の多いレースだった。好スタートから飛び出したのはBlack Out。Wiesenpfadはスタートで大きく立ち遅れて後方からの競馬となってしまった。Santiagoも後方から。最終コーナーで軽快飛ばすBlack OutにMolly Maxが並びかけていくところ、いつの間にか追いついてきていたWiesenpfadが最内を文字通りぶち抜いて一気に全馬ごぼう抜きしてしまった。2着も後ろから脚を伸ばしたSantiagoが入った。Molly Maxが小差の4着に残っているところから見ても、乱ペースだったとは考えにくい。結局、Wiesenpfad、Santiagoの2頭のスケールが他馬と大きな差があったということだ。ドイツのマイル路線はこの2頭を中心に回ることになるであろう。Wiesenpfadの方は中距離路線も視野に入る。今日の感じだとマイルはちょっと忙しい。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

May 12, 2008

今日は牡馬よりも牝馬の日 Schwarzgold-Rennen

先々週ぐらいから急に天候が良くなり、春を通り越して夏の陽気となった。春だなぁと感じたのは2,3日ぐらいだったなー。今日も快晴、風はさわやかなものの陽射しがギラギラと痛く、暑さに適応し切れていない体は早くも夏バテのような感じですらある。

とはいえ、競馬日和には違いない。今日のケルンはパンパンの良馬場で新馬戦3つに3歳牝馬・牡馬のマイル最速を決めるレースが行われ、非常に内容が濃かった。

中でも白眉だったのは、牝馬GIIIのSchwarzgold-Rennenだ。昨年のWinterkoeniginの上位馬が勢揃いした上に別路線で勝ちあがってきた馬も集まり、1000ギニーを差し置いてさながら牝馬最速決定戦の様相を示していた。

しかし・・・このレースは、とにかくパドックが凄かったのである。いや、正確にはパドックの前からそれは始まっていた。遠くで装鞍した馬がパドックに周回する前に引かれているのを何気なく見ていた。すると、一頭の黒鹿毛が目に飛び込んできた。凄く遠いから目に見えている、とは言えない。しかし、その馬の発する“気”は遠くからでも際立っていた。Peace Royaleだった。こんな凄い気配は、そうお目にかかれるものではない。黒鹿毛の毛ヅヤは割り引いて見なくてはいけないとわかっていても、彼女の非常にうるさい仕草を見ても、このレースはこの仔が勝つと思った。一方、Winterkoenigin馬のLove Academyも素晴らしい馬で、歩様の柔らかさ、賢く素直な気配とともに走る馬の雰囲気をプンプンと漂わせていた。他の馬も良い馬が多く、レベルが高かった。これほどパドックのレベルが高い牝馬戦は、うーん、Paitaが出た3年前のSchwarzgold-Rennen(あの頃は2200m、最終的にGI馬4頭)以来だろう。

結果は、その通りとなった。着差以上の楽勝だった。Peace Royaleはなんとあれで右前を落鉄していたそうである。この仔は、国内にとどまるべきではない。1000ギニーからコロネーションSへ。勝負になると思う。Love Academyの方は距離が伸びて良さそうな気配がある。こちらはフランスオークスに出てみてはいかがか。とにかく、夢の広がるいいレースだった。

一方のMehl-Mülhens-Rennenもいいレースだったと思う。Precious BoyがLiang Kayと三度目の勝負を地の利で制した。2着にKönig ConcordeがKY突っ込みをして少し場を白けさせたのだが(笑)。ちょっと残念だったのは英国から参戦のSolent Ridgeの作ったペースが緩くてヨーイドン的な競馬になってしまったことか。Precious Boyは雄大な馬体を持つ柔らかい馬で、今後のマイル路線を引っ張っていけそうである。Liang Kayは、このパンパンの良馬場でマイラーに負けたからといって評価は下がらず。ダービー路線を着実に進んでほしい。

ダービー路線といえば、3レースの2200m未勝利戦はハンブルクに向けての最終便ともいえるレースだったと思う。Sumitasの全弟Sushitanに注目していたのだが、ちょっとまだ出来上がっていない感じの馬であった(6着)。勝ったのは新種牡馬Black Sam Bellamyの仔Valdinoだった。なかなかの馬だと思ったが、^^せん馬で残念ながらダービー登録がないようだ。

今日はSchwarzgold-Rennenで稼がせていただいた。Peace Royale、追いかけて見て行きたい馬が久しぶりに現れた、その出会いに感謝。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 01, 2008

シュレンダーハン、ケルンは調教場?

日曜日は今年一番の絶好の好天だった。しかし、風がかなり強くて馬場はどんどん乾いていったようで、発表の4.4よりも堅かったと思う。こういう馬場はドイツではそうはないので、各レースとも破格の時計が出た。

メイン以外他のレースに関してもコメントを残しておこう。

1、2Rの3歳未勝利戦。なんといっても、シュレンダーハンの超良血牝馬WalzertraumとGuantanaが始動するとあって期待して行ったのだが、両馬とも惨敗といっていい内容だった。Walzertraumは母親のWalzerkoeniginの面影をほとんど感じない小さな馬で、これという印象はなかった。父がRahyということもあり、繁殖目的の配合ではないかと。Guantanaの方は母Guadalupeの印象はある。ただ、まだまだ子供でまったく実が入っていなかった。両方とも思ったより人気にならないだろうなというのは、パドックで既に感じることができた。
1Rに勝ったRoyal PepperはRaffelbergerの下。母のRoyal Catの仔はこれで5頭連続で勝ち上がり。ただ、レースぶり自体はあまり印象の強いものではなかった。2Rの勝ち馬All The Windsはヴェーラー師が期待している馬のようである。父Samumの面影が非常に強い好馬体を持ち、かなり瞬発力がありそう。差は小差だが余裕のある勝ち方だったと思う。2着のGiulianiもLandoらしい柔らかい馬で、良馬場で力を発揮しそう。この2頭はダービー路線を進む。

4RのスプリントL。Lucky Strikeが直前回避しちょっと拍子抜けだったが、もう一頭の10歳馬Sachoが去年に続いてこのレースを制した。絶好の馬場、仮柵撤去ということで初めから内枠の馬を狙っていた。人気をかぶるであろうAlaska Riverは外枠に入ったこともあり、この良馬場では絶対飛ぶと思った。というわけで個人的に勝負レースだった。1枠のSachoから総流しで稼がせていただきました。が、2着が2番人気のShinko's Bestということで配当があまりつかずがっかり。それでも全額単賞勝負の方が3倍もつくなんておかしくないか・・・・。馬券親父はみんな同じように狙っていたんだろう。

6RのマイルL。Konig Turfが引退した後の覇権を伺う明け4歳馬たちの将来を占うレースだと思っていたが、なんと古豪Willinglyにあしらわれてしまうという残念な結果となった。確かにWillinglyは良馬場でよく走る馬で私もヒモで狙っていたが、あんなに簡単にやられてしまうようでは先が思いやられる。メインでも4歳馬惨敗ということも踏まえると、やはり世代レベルがイマイチということになってしまうのかもしれない。

とはいえ、今回はシュレンダーハン・ヒルシュベルガーの馬が人気を背負いながらことごとく惨敗した。どの馬も緩いつくりで明らかに仕上がり途上だった。レースに向けてまじめに仕上げていない。調教の一環としてレースに出ているだろ!と言いたくなる。新しくプライベートジョッキーとなったT.P.Queallyにも厳しい結果となったが、彼のせいではないのは明白である・・・。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 27, 2008

Oriental Tiger 覚醒す ~73. Gerling Preis

「アイネスフウジン・中野栄治をやりやがった」
Gerling-PreisでOriental Tigerがゴール板を先頭で駆け抜けたとき、頭に浮かんだのはそんな言葉だった。

このレースの主役はダービー馬Adlerflugのはずだった。
戦前のレースの見立ては、Oriental Tigerが逃げるが、強い馬がつぶしに行くからこの前のようには簡単にはいかないだろうというものだった。穴党としては、その結果ハイペースとなりレースが潰れて、後ろから決め打ちに行った馬が突っ込んで荒れる可能性を狙おうと思っていた。好天ですばらしい良馬場になっていたことも一つの判断材料であった。

したがって、私ははなからOriental Tigerを切って勝負するつもりでいた。
しかし。
Oriental Tigerのパドックでの雰囲気はすばらしかった。前回のような気の抜けた感じとも違う。落ち着いているのに、じわっと気合があり、目の奥にかすかな妖気を漂わせていた。休み明けの他馬と比べたら、その差は歴然としていた。

絶対切るつもりの馬が断然良く見える、これは悪夢である。ヒモで狙おうと思っていたPoseidon Adventureは悪くない。でも、この馬は軸馬って感じではないし、Oriental Tigerと絡む可能性はないと思った。軸になる馬を探した。Adlerflugはもともとパドックではあまり良く見せるタイプではない。明らかに緩い感じだが、ここは能力を信じようと思った。が・・・理性と直感が完全に相反したこの状況では強気にはなれなかった。もう、ヒモをきちんと探す時間もない。結局、Adlerflugの単のみを買った。

ゲートが開いて、Oriental Tigerが逃げた。ペースはとてつもなく速い。向こう正面では5,6馬身は後続に差をあけた。Adlerflugを始めとする有力各馬はOriental Tigerを射程圏内に入れるべく、積極的に追いかけた。予想通りと思った。

しかし、誤算があった。Oriental Tigerは軽快だった。しかも、ヘリヤーの手綱にしたがって3コーナー手前で息を入れた。そして、最加速。後ろから追いついてきた好位各馬は息が入らなかった。

直線に入って、Oriental Tigerは追い出した。差がみるみる開いた。好位グループにいた各馬は直線に入ってもう余力がなかった。Adlerflugも・・・。後ろから内をすくったPoseidon Adventureも最後の1ハロンは脚があがった。そしてほぼ最後方で死んだフリをしていたDickensが最後の最後に突っ込んできた。しかし、そのとき、Oriental Tigerは既にゴールに到達していた。コースレコードであった。

追いかければ潰れ、溜めれば届かない。Oriental Tigerのレースは、スタミナを最大限に生かせるスピードを兼ね備えた、真に強い逃げ馬のそれだった。思えば、去年までの彼はまだ子供だったのだろう。本当に実が入って、気性も大人になったところに、手の合うヘリヤーと出会ったのだ。これを休み明けの馬が負かせるはずがなかった。

いいものを見せてもらいました。
他のレースについてはまた明日にでも。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 11, 2008

怒涛のコンサートラッシュ at ケルンフィルハーモニー、シュターツカペレ・ドレスデン/内田光子

4月のケルンフィルハーモニーの日程表には驚かされる・・・
なんと、30日のうち28日にコンサートがあり、その延べ回数は33回!特別な音楽祭があるわけではないのに。しかも、その中には、ウイーンフィル、フィルハーモニア管、シュターツカペレ・ドレスデンという世界最高ランクとされているオーケストラの客演が含まれている。

もし自分が悠々自適の年金生活者なら、毎日のように足を運びたいところ。大概のコンサートチケットは映画2回分ぐらいの値段で買えるから、少し余裕のある人なら金銭的にもそれは可能だろう。しかし、自分の現状では月に2,3回が限度だ・・・・やはり平日のコンサートは仕事持ちには肉体的につらい。

ということで数あるコンサートから選んだのは、シュターツカペレ・ドレスデンのコンサートと、内田光子のソロ・リサイタルだ。

シュターツカペレ・ドレスデンのコンサートの目的は、リヒャルト・シュトラウスの交響詩を生で聴くことにあった。これは高校生の頃、初めて彼の交響詩をFMで聴いてそのスケールと多彩な楽想に圧倒されて以来、念願ともいえるものだった。その機会はずっとうかがっていた。しかし、楽曲のスケールの大きさとそれに比しての知名度の低さゆえに、日本ではなかなか演奏されない。曲の長さが中途半端というのもネックなのだろう。マーラーやブルックナーに比べたらその演奏頻度は10分の1以下だと思う。そういうわけで今まで一度も生で聴くことはなかった。

シュターツカペレ・ドレスデンはR.シュトラウスが指揮者だったこともあり、彼の作品を数多く初演している。つまり、このオーケストラによる彼の交響詩は、正統中の正統ということになる。そこで、奮発していい席を取り、羽振りのよさそうなお年寄りに混じって聴いてきた。

感想は・・・もう、言葉もありません。素直に感動です。交響詩「英雄の生涯」は、ともすればゴテゴテと虚飾に満ちていると評されがちの曲だが、実際聞いてみるとそんなことはまったくなかった。指揮のファビオ・ルイージがその風貌そのままに真摯で虚飾のない演奏スタイルであったことも大きいだろう。あと、曲の最後がいつも聞いているディスクとは違いバイオリンの独奏で静かに終わった。プログラムを良く見ると、初稿オリジナル版での演奏、とある。ルイージはこのオリジナル版でSACDを出しており、よほどこだわりがあるのであろう。

この曲はバイオリン協奏曲と言ってもいいぐらいにバイオリンの独奏が多い。ここで活躍したのがコンサートマスターのカイ・フォーグラーだった。彼のバイオリンは非常に音が大きく、歌う。ただものではない。ソリストとしても世界トップクラスの実力だと感じた。あと、彼の楽器は何なのだろう??ものすごくいい楽器だと思うのだが。

英雄の生涯の他に演奏されたのは、女流作曲家イザベル・ムンドリーの"Balancen”とセバスティアン・クナウアーとの共演によるベートーベンのピアノ協奏曲1番。

Balancenは完全対抗配置された小規模なオーケストラと打楽器による、試験的な楽曲だった。いかに立体的な音場を作り出すかというテーマを感じるとても面白い楽曲で、マルチチャンネルでこれをどれだけ再生できるかなどとオーディオ的な夢想をしながら聞いていた。

ベートーベンの協奏曲は生で聴くのは2回目だと思う。セバスティアン・クナウアーのピアノは精神的・テクニック的にとても余裕のあるもので、とにかく「上手い」と感じる、安心して楽しめるものだった。オケにもうちょっと集中力があれば、もっと良かったとは思うけど・・・Balancenと英雄の生涯の間で少し中だるみになるのは仕方がないとは思うけどね。

このプログラム、ごらんのように楽器の構成がバラバラ。完全対抗配置+特殊打楽器>古典的小規模オーケストラ+ピアノ>現代的大規模オーケストラ(打楽器多数)という無茶なプログラムなのだ。したがって裏方さんは大変。ステージの中央の奈落の底からグランドピアノがせり上がってきたのにはびっくりしたよ。

さて、昨日の内田光子のコンサート。
いやー、こっちもほんまよかったんや~と心から言いたい。

彼女のピアノは、テクニックがどうとか音がどうとかじゃない。彼女は、自分の意思を伝える変換装置として指とピアノを使っている、と思う。そのダイレクトさが凄いと思った。聞かせようとか聞いてもらおうなどという、ありがちなサービス精神を飛び越えて、彼女の心と音楽だけがそこに存在するのだ。そこに観客が居合わせていて、引き込まれていくのである・・・・。

曲目はシューベルトのソナタ、シューマンの交響的練習曲、バッハのフーガの技法などに加え、ハンガリーの現代作曲家クルタークのJÁTÉKOKという連作から、数曲が抜粋して演奏された。この曲、現代曲という感じではなく、非常に情緒と「いいようのない悲しみ」にあふれる旋律があり、私の心にも直接響いた。曲自体が虚飾がなく少ない音で世界を作り出していく。このダイレクトさが内田光子の演奏スタイルにぴったり合致していて、感動を呼ぶのであった・・・・。

平日のコンサートは辛いけど、それでも行く価値があった。
本当はヨーロッパ室内管やフィルハーモニア管、来月のアルフレッド・ブレンデルのリサイタルやミュンヘンフィルにも行きたい。それに、ケルンにはWDRとGurzenich-Orchesterという二つのハイレベルな地元オーケストラがあって、定期演奏会が毎週のようにある。それに加えてゼンデザールとボン・ベートーベンハウスでの室内楽がある・・・。そして、ケルン市立歌劇場ではヴァグナーの「タインホイザー」を連続公演している。なんという恵まれた状況なんだろう!もっと早く気づくべきだった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

«おとなしいOriental Tiger ~Grand Prix Aufgalopp