March 19, 2017

苦い結末 RAWAIR ビケルスン

最後のヴェリンガーのフライトは、ほんの少し、サッツのタイミングが早かったかもしれないが「普通」の範囲内だと思う。しかし・・・飛び出した彼のスキーには、なんの支えも感じられなかったに違いない。ゲート8、97キロを下回る飛び出し速度で、飛び出したところの空気の支えがなければ、なすすべもなく落ちる。166m。彼が本来的フリーガータイプであればもう少しなんとかなったかもしれないが、すべて、タラれば、である。

微妙に、ヴィックナーの転倒がジュリーを怯えさせたことが、最後、ゲートを下げすぎるという判断に繋がったように思う。ゲート8であってもストッホは240近くまで行ったんだから、間違っていたとは一概には言えない。彼のフライトは勝ちに値する、素晴らしいものだった。ただ・・超低速がヴェリンガーのようなとんでもない、どうしようもないジャンプを生み出してしまうことを考えたとき、1回目ほどの風はない状況でゲートを安全のためだけに下げる・・・ことが正しかったかどうか。

クラフトの大失敗・・・こちらは人的要因も大きかったが、思いっきり行って、行き過ぎたところに空気の支えがまったくなかったからああなってしまったのであって・・・・。本当によく立て直してあそこまで行ったよ。運も良かったと思う。

RAWAIRの戦い全体を見渡した時、最終的にクラフト、ストッホ、ヴェリンガーの順になったこと自体には納得感があるのだけど、あまりにもショッキングな結末に、ヴェリンガーの運のなさを感じずにはいられなかった。これも、ジャンプ、なのだけど。

せっかくの葛西の自己記録更新&最年長表彰台記録更新を喜びたかったんだけどなぁ。困った。彼の2回目のフライトは本当にすごかった。決して良い条件じゃなく、しかもゲートは9。あの条件で記録更新とは恐れ入る。伊東に破られた日本記録、プラニツァですぐに取り返せそうである。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

March 18, 2017

ミラクルの連続 RAWAIR

季節は春に変わろうとしている。このあたりでも風、雨・・・。
ノルウェーにおいても風が出るのは当然だった。中止、順延、なんでもありで、しかもスケジュールに全く余裕はない。運営側の人たちは大変だ。

でも・・・今日のチーム戦ですべてが報われた気がする。ふたつの世界記録、ノルウェーの勝利、そして転倒無し。風は強く、方向・強さともに変化していた。コリャだめだと何度もつぶやいたぐらいのひどい風だった。この台は改修されてかなりマシにはなったが、風に強い台ではない。1回目は向かい風、2回目は追い風、この両方でフライング・ショウを演出しながらも、最終ラウンドでは適切なゲート下げで飛びすぎを防いだジュリーたち、特に新しくスタートシグナル・ボタンを押す重責を担っている、ゼットラックの仕事を称賛したい。明日もよろしくお願いします。

とにかく、クラフト、ヨハンソン、ヴェリンガー、ストッホ・・・彼らのフライトには痺れました。ヨハンソンの世界記録は数分しか持たなかった。クラフトのフライトに12.0を出したノルウェーの審判の人、気持ちわかるなあ・・・。確かに微妙だった。微かな触感を尻に感じたかどうかは、クラフトのみが知ることだろう。

驚くべきことに、最終戦を迎えてトップのヴェリンガーと2位クラフトのRAWAIRポイントの差は6.2点しかない。3位と4位のストッホとステヤネンの差に至っては0.3点である。予選でクラフトが2回もやらかしたから、差が縮まってこういうことになった。こんなうまくいくなんて、ミラクルとしか言いようがない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 12, 2017

オスロ

土曜の団体、日曜の個人ともに、風がくるくる回る戦いだった。渋いゲート設定で飛び出し速度が抑えられた状況では、中間付近の風が追うと「ひゅううぅ」と落ちてチャンスがない。どこで風をもらったかが重要なので、ウインドファクターでは条件の良し悪しがわからない。そんな設定でも、トップジャンパーは向かい風をもらうとヒルサイズを大きく超えられるから、ジュリーも苦しい。またこの台はK点以降に下降気流が出るらしく、みんなランディングでストンと落ちてつんのめっていた。台の形(周辺の造形も含めて)に問題があるような気がする。

一方、日本のジャンパーにとっては、この台は大倉山に近いのでラハティよりは攻略しやすかったと思う。伊東の4位は嬉しいが、条件が整ってようやく彼のクオリティが成績に繋がったということで驚きはない。アイゼンビヒラーが2回目に、5回に1回しか出ないレベルのジャンプを出さなければ表彰台だった。

今回、日本が相対的に好成績だったこと(端的なのは、伊東とアイゼンビヒラーのパフォーマンスが今回はほぼ同じだったこと)は台との相性だけでは説明できそうにない。金曜の予選でスーツのチェックが厳しく行われて多くのジャンパーが失格になったことに「訝しさ」を感じているのだが、あまり深く考えないことにしよう。日本チームの努力が実を結んできたと考える方がいい。

個人戦はまたクラフト対ヴェリンガーだったが、クラフトがどうしようもなく強くてヴェリンガーがかわいそうになってきた。とうとう、ユーロスポーツの実況でクラフトはロボット、機械と呼ばれるようになってきた。この呼称は非常に良い意味で使われていて、機械のように正確に飛ぶことを言い表している。マリシュ、シュレリーがものすごく強かった頃、そう呼ばれていたことを思い出す。昨シーズン後半のピータープレウツもそうだった。そういえば日本人でそう言われたのは船木、そして今の高梨で、原田・葛西はいくらすごいジャンプを出してもそうは言われなかった。また、何故かアマンは魔法使い、ハリーポッター、だった。機械と言われるためには技術が安定しパフォーマンスレベルが高い状態が長く続くことが重要らしい。

伝統のホルメンコーレンなのに、そしてあれだけ大量のポーランド応援団がいるのに、スタンドに白い場所が目立った。ノルウェーのジャンプ熱低下を物語っていて、それがRAWAIR Norwayシリーズ創設の動機となっている。このシリーズではジャンプ週間を超える6試合のジャンプ総合得点(RAWAIRポイント)で10万ユーロの賞金が争われる。ただ、予選や団体のジャンプも全部RAWAIRポイントに加算されるというのはちょっと行き過ぎだと思うなぁ。最後の方は差がつきすぎて白けたり、トップレベルの人が予選で叩き落されたり、団体で他人の不運(転倒など)で2回目に進めなかったりしたら・・・・と思うと、それはそれで緊張感があるのだが、自分でコントロールできない要素が多いスキージャンプ競技では不条理感が出る可能性がある。いや、もしかしたら全部入れることで逆に運不運が均されるという考え方もできるのかな。予選も入れるということは、個人戦4試合の8本、その予選4本、団体戦2試合の4本、合計16本(うち5本がフライング)が合計されるのか。やっぱり団体戦のポイントは個人とは別にするべきじゃないかなぁ・・・。それか、団体16本プラス、各個人戦の上位4人のポイントで国別対抗RAWAIRポイントにするとか。まぁ、とにかく新しい意欲的な試みなので、成功してほしいと思う。場合によっては来年はないかもしれないそうだ。

ただ、選手にとって10日で6試合は厳しい。RAWAIRポイントがあるので予選免除組も休めない。スヴェン・ハンナバルトによれば、毎日試合がある状況では体重の維持、筋力の維持に問題が生じる可能性があるとのことだ。その上で最後はモンスターフライングのビケルスン。選手が無事であることを祈る。

女子はここで最終戦を迎え、伊藤の完勝だった。ピーク・パフォーマンスでは彼女がトップにあることが再度証明された。そして、高梨のクリスタルトロフィー獲得は最強の証。国別も当然のように圧勝。素直に嬉しい。

別競技だが、複合の渡部暁斗には驚かされる。ジャンプでビハインドがあるはずなのに、距離で勝っている。ということは、ジャンプでのマテリアル・ビハインドが少なくなったときに連勝し始める可能性がある。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 04, 2017

ポーランド、悲願達成 ラハティ世界選手権 団体

1回目は風の状況が比較的良かった。しかし、2回目に入ってからはラハティ特有の、意地悪な後ろ横風が吹き始めてしまった。一定ならいいんだけど、強さ・方向ともに刻々と変化し、防風ネットの影響と思われる渦状のエアポケットが出現するような、選手泣かせの状況となった。

調子のいいジャンパーなら、悪い状況でも悪いなりになんとかする、とは言える。ただ・・・悪い条件の下では、ほんのちょっとした失敗、相性の悪さ等が、運のめぐり合わせという、やるせないパラメーターで何倍にも増幅されることになる。

今回、そういう悪いめぐり合わせに当たってしまったのは、ドイツのライエだった。彼の2回目は確かに失敗気味のジャンプだった。ただ・・・あれ一発で取り返しのつかない差がついてしまったのは、本当にかわいそう。あの条件でウィンドファクターがほとんどつかないなんて、あんまりである。ドイツはアイゼンビヒラー、フライタークの2人が台に合わせることに成功して奮闘したのだが、結局メダルに届かなかった。

ポーランドの強さは、事前の予想以上だった。名実ともに、これでポーランドはジャンプ強国となった。コーチになったホルンガッヒャーは素晴らしいものをチームにもたらしたと思うが、なによりもその刺激に応えるだけの積み重ねがチームにあったということだろう。彼がしたことは、最後のブーストボタンを押すという、簡単だが難しい仕事だった。

オーストリアはしっかり8本揃えた。クラフトの2本は凄かったが、それだけでドイツに競り勝てるほど甘い勝負じゃなかった。横風に耐えたフェットナーの2本目は、飛距離こそ120mそこそこだけど、実はすごいジャンプだった。ノルウェーは追い風に弱いファンネメルの2本目の失速をみんなでカバーして堂々の銀。フォアファングが戻ってきて、ファンネメル・ステヤネンのフリーガーコンビも好調。今後の地元開催、フライングシリーズで怒涛の巻き返しがありそうだ。

フィンランドの6位はこれ以上は望めない、素晴らしい成績だろう。これでアンドレアス・ミッターは仕事がやりやすくなる。ジャンパーたちのサッツにオーストリア技術が注入されていることが明らかだった。アホネンすら変わっていた。少なくとも、反転攻勢の始まりを、期待を、みんなの心に植え付けることができただろう。実は、ミッターの成し遂げたことは、ホルンガッヒャーよりも大きいんじゃないだろうか。

日本の7位はもう、仕方がないというか・・・今回は本当にみんな、特に葛西の風の巡りが悪すぎた。とはいえ、上位4国との差はどうしようもないほど広がってしまっている。選手の出来不出来の問題ではないだけに、状況は深刻である・・・。

来週からはシーズン終了に向けて怒涛の連戦。FISも無茶な日程を組んだものである。ヨーロッパの天候が不穏なのも心配。みんな怪我のないように祈るしかない。


| | Comments (2) | TrackBack (0)

March 02, 2017

クラフト、2冠達成 世界選手権LH ラハティ

ふぅ・・・なんちゅうスリリングな試合だ。深呼吸。

ラハティの台は小さい。今日みたいに風が大丈夫ならこういう試合になるのか・・・。ラージヒルなのにノーマルヒルの続きのような、最後までどうなるかわからない試合だった。ウィンドファクターは全然効いていない感じで、ちょっとした横風とか空気の巻き方みたいなので勝負が決まっている感じがした。その、飛んでみなければわからない感と、超タイトなポイント差・・・・これが見る者にスリルを味合わせることになった。

それでも、クラフトとヴェリンガーの戦いの構図は変わりようがなかった。2人の力は飛びぬけていた。2人とも、それも2回のジャンプ両方でかなり悪い状況で飛んだのに、結果は御覧の通りである。両者のパフォーマンスはほぼ同じだが、勝敗を分けたのは飛型点だった。フラットな台で追い風条件においては、飛行曲線の高いヴェリンガーはランディングでドーンと落ちることになるので、テレマーク姿勢がパーフェクトには決まらない。一方のクラフトは飛行機の着陸のように、スッと楽にテレマークが入れられる。

しかし・・・今日のような条件ではヴェリンガーが飛距離差で圧倒して勝てると思っていた。しかもクラフトの2回目は非常に条件が悪かったと思う。あれで勝ち切ったということは、クラフトのジャンプが素晴らしかったということだ。まさに、「至高の洗練度」のロスゼロジャンプだったと思う。ヴェリンガーも相手が悪い、普通なら2冠なのに。

日本勢はしっかりと飛んだと思うが、それぞれに変な風に当たったように見えた。基本的なパフォーマンスレベルはかなり改善されていたと思う。葛西は残念ながら2回目に進めなかったが、ジャンプ自体に問題があったように見えなかった。この台は基本的に(もっと言えば竹内以外の)日本人には合わない台だと思う。フラットなのに、カンテの角度が上向きで、瞬間的な出力と飛び出し速度が要求されるから・・・。

今回の上位20人ぐらいのパフォーマンスはあり得ないほど高いレベルだと思う。それを端的に示しているのがアマンの14位という順位だ。彼の2回のジャンプは本当にほれぼれするようなジャンプだった。1回目はランディングもちゃんと入った。彼自身もジャンプの出来自体には納得しているはず。しかし、それで14位である。だから、伊東15位、竹内17位だけど、彼らだって決して悪いパフォーマンスではない。本人たちも、順位には納得がいかないに違いない。

さて・・・今日の感じのままなら、団体戦でポーランドに他チームが勝つのはかなり難しいように見える。この台はポイント差がつかないので、4人が高レベルでそろっていることが重要となる。ドイツはアイゼンビヒラー、フライタークの二人が台にフィットしていない。オーストリアはハイベックが調子落ちで、しかも4人目が・・・。一方、ノルウェーのジャンパーたちが思ったよりもフィットしていて4人揃いそう。メダル争いは混沌としてきたと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 26, 2017

ドイツ、驚異的な強さ 混合団体 世界選手権 ラハティ

日本はメダルを獲れてよかった。高梨の2回目以外の7本は100%に近いジャンプだったが、条件が噛み合わず、大きな流れを作ることはできなかった。流れをつかめなければ、力差のあるドイツ・オーストリアに勝つことはできない。

日本がドイツに対して勝機を得るとしたら、高梨の1回目でトップに立つ、つまりフォクトに勝つしかなかった。しかし・・・あそこまで風の条件に差があってはどうしようもない。全ての流れがドイツ有利に働いた。2回目の高梨はもう、普通に飛べるような精神状態ではなかったに違いない。彼女がもっと楽に飛べる流れになればよかったのだけど。

終わってポイント差を見て、今日の銅メダルはきちんとやることをやって、しっかりと勝ち得たものだと納得した。高梨・竹内と立て続けに後ろ横風に落とされた時にはかなり腹を立てていたのだが(--;)、おしなべてみればオーストリア・スロベニアもそんなに条件が良かったとは言えないし、実力通りの結果だと思う。ノルウェーのようにネガティブスパイラルに入る可能性はあったのだから。

今日の試合をみても、今回の舞台では高梨がフォクトに勝つ可能性は、たとえ高梨が100%のジャンプをしたとしても小さかったということがわかる。そして、高梨の受けていたプレッシャーは、フォクトには想像も及ばないものだろう。なんというか、不公平だ。やることをやり、銅メダルをしっかりと得て、落胆するようなことはなにもない。

リセット。ラージにはラージの風が吹く。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 25, 2017

クラフトとヴェリンガーの決戦 再び 世界選手権NH ラハティ

風は昨日より幾分、強かった。ウィンドファクターによって弱められたスパイスが絶妙に効いている、ひりひりするような緊張感のある戦いだった。ジャンプ競技の醍醐味を感じられる、素晴らしい試合だったと思う。

結果としては、オーベルストドルフのフライングとまったく同じ頂上決戦であった。結局、トップレベルではフライングもラージもノーマルも関係がないということ。新しい、現代の飛行曲線に合わせられた台ならということだけど。ノーマルでは勝負には入れないと思っていたストッホもしっかり食い込んできたし・・・アイゼンビヒラーは今日の2回目レベルのジャンプが2回に1回ぐらい出るようになれば勝てるのだが。

クラフトの2回目は「至高の洗練度」と呼んでも大げさじゃないジャンプだった。世界選手権のラストジャンパーでこれができるのは、本当にすごいことだと思う。ヴェリンガーも相手が悪かったとしかいいようがない。1回目の追い風も微妙に効いてしまった。

伊東の10位も、今の競技レベルを考えたら・・・日本選手としてダントツ史上最高の絶対能力だと思う。短期間でよくここまで来たと思う。

ウインドファクター・コンペンセーションはノーマルヒルの大会のためにあるように感じる。この緊張感はラージの大会にはないものだ。是非、FISはノーマルヒルの大会をプログラムに組み込んでほしい。特に序盤、終盤の気候が安定しない時期に・・・。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 24, 2017

必然性がある、とはいえ

今日のフォクトのジャンプは2回とも素晴らしかった。ラハティという場所を考えればこれ以上望めないほど、公平な試合だった。高梨のジャンプも9割以上成功していた。どちらかというと、伊藤の方がもう少し行けた感じ。最後のルンビーはバラバラのジャンプだったね。経験不足が出てしまったということだけど、これもめぐり合わせ。とにかく、フィジカルの有利さを生かしきったフォクトを褒めるべき試合だろう。

でも、ねぇ・・・・フォクトはワールドカップでは2勝だが、これで世界選手権・オリンピックは3連覇。その3回ともフラットな新しい台。必然性があるのだが、それでいいのかという気持ちが湧くことを、止めることができない。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

February 20, 2017

ラハティの世界選手権プレビュー

ドイツでのピョンジャンワールドカップの放送は平日の午前・・・見られるわけがなかった。抜粋の録画などを見た限りでは、台自体は良い感じに見える。ただ、風がひどいなぁ。オリンピックのために新たに作られる台は場所の気象条件を考慮できないので、こうなってしまうのは仕方がない。オリンピックの試合が奇跡的に好条件になることを切に祈るしかない。

スキージャンプにおいてはオリンピックの一発勝負に大きな価値を見出すのはやめよう、といつも思っている。これは、このピョンジャンの例でもわかるように、オリンピックの試合が公平な条件になることがまれで、しかも新しい台で行われるからである。あまりに、「調整力」や「運」のパラメーターがものを言う感じになり、結果が総合力を反映しない。シュレリー、アホネン、マリシュそして葛西がオリンピックで個人の金メダルを取れていないのには、必然性があるのだ。スキージャンプをずっと見ている人には、金メダルを取っているアマン、ストッホ、モルゲンシュターン、船木と、取れていない4人を比較したときに何か感じられるはずだ。

高梨の53勝はとてつもない偉業である。勝率6割は本当にすごい。しかし・・・彼女の繊細な技術上位のジャンプは「新造台」「悪条件」では100%にはなりえないので、五輪の一発勝負には不利である。今回のラハティの世界選手権も、改装された台で行われる。しかも台はどちらかというとフラットで、風は強く、試合はフィジカル上位のジャンパーに有利となる可能性が極めて高い。こういう条件の下では高梨は100%でなくても勝てる状況でない限り金メダルは難しいが、マテリアル上の不利のためだと思われるが、彼女のアドバンテージはここ数年では最も小さい状況にある。しかも今回はルンビー、伊藤という、彼女よりもかなり大柄でフィジカル寄りの強敵がいる。私が予想家なら金メダルの可能性が最も高いのはルンビーと言わざるを得ないのだが・・・報道媒体上ではそのような現実を踏まえた論調をみることが、残念ながら、ない。いちスキージャンプファンとしては、高梨選手には、結果を考えずに、おもいっきり、100%のパフォーマンスを出してほしいと切に願うのみです。

男子では、追い風・横風ではヴェリンガー対タンデ、向かい風ならクラフト対ストッホ。ラハティは後ろ横風になることが多いのでヴェリンガー本命となる。ノーマルもヴェリンガー本命、対抗コット、大穴ハイベックとしたいが、驚きの結果になる可能性があると思っている。ちょっと気になるのがヤン・ジオブロ・・・。

(24.2追記 なんと、クバツキも好調でジオブロ出られないとは。トレーニングでよっぽどのジャンプを出さない限り、おそらくLHも・・・。ポーランドチーム、なんというチーム内競争だ。)

団体はドイツ対ポーランドの頂上決戦。そして混合団体でおそらくラストジャンパーになるであろう葛西がガチガチにならないことを祈る。体調不良ぐらいのほうが(力が入りすぎなくて)いいかもしれない。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 12, 2017

大倉山

今日は抜粋の録画放送しか見られなかったので、ごく簡単に。
ヴィスワの試合の時に危惧していたように、大倉山は超低速の試合になった。変化する向かい風の条件で86キロ台の飛び出し速度では安定した試合になりようがない。このスピードで飛び出して、アグレッシブに前に行き、風による支えがないと今日の葛西やテペシュのようになる。かといって体重移行を遅らせれば風があったときにスピードを失う。なので、みんな思いっきり行って風が無かったらしょうがないというジャンプになってしまっていた。こういうジャンプを普通の台でしたらストンと落ちるような、スヴェンがよく言うところのzu aggressivなジャンプである。ここで練習していたらおかしくなるんじゃないかなぁ・・・・。日本人以外では、この台はフラストレーションが溜まって耐えられない気がする。
自然と、試合はいわゆる「福引試合」となる。それでも結局強いジャンパーが表彰台に立つのだけど。

ヴェリンガーのジャンプのクオリティは凄い。史上最高レベルに達したと思う。条件が合わなくて勝つことは出来なかったが、土日とも2回目、あの条件で130mを超えたのは信じられない。この調子のままプラニツァまで行ってほしい。総合の大逆転もありうるし、なにより彼がプラニツァでどのくらいの高さに達するかを見たい。

伊東のジャンプは良かった。素晴らしいスピードだった。現状ではこれが精いっぱいだろう。これでマテリアル面で追いつけば勝負になる。

なんで、タンデと葛西はこんなにひどい風に当たるんだろう。ほんま、不運というのを超えた意地悪さだった。今日のタンデのようにありすぎる向かい風も良くない。土曜の葛西なんて、彼がゲートに座るたびに風がピタッと止まっちゃってかわいそうだった。

コットがようやく勝てて良かった。ジャンプも復調している。これで重石が取れるかも。ピーター・プレウツはかなり復調してきたが、休みの間にかなり無理して絞ったように見える・・・。24才に見えない。スヴェンやモルギーに近い感じになってきたので心配している。


(2/20追記)
今年の1月にFISより発行された大倉山シャンツェの証明書を見ると、今季から「冬だけ限定」のプロフィール変更がなされたことがわかる。K点付近のランディングバーンがフラット化(角度が37度から34度)されている。おそらく、ランディングバーンに雪を盛って先に伸ばしてあるのだろう。実は今回、試合のレビューにあるようなことを言いながらも「思ったよりも大丈夫だった」という感覚があり、それでちょっと気になって調べてみたのだった。つまり・・・FISは大倉山の問題を認識していて、改善を迫ったのだと思う。そうでもしないとワールドカップレベルでは試合にならないという、切迫した状況が透けて見える。抜本的対策が図られることを願うが、それに必要な(億単位の、おそらくもう一桁上の)金をどう工面するか、想像もつかない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

«オーベルストドルフのフライング ふたつの最適解